テトラード配色を意識した生け込み ~赤とグリーン、青とオレンジの補色対比と彩度差・面積比を意識して~

 テトラード配色を活用した美しい生け込みを、その理論から具体的な実践まで紐解きます。
 今回は赤とグリーン、青とオレンジの補色対比を活用し、明度差や面積比を考慮に入れた独特な配色法を紹介します。

 これは、色彩の組み合わせを通じて、より深みと調和のある花の作品を創り上げるための重要な手法です。
 季節感に応じた生け込みにも触れつつ、テトラード配色の効果的な利用法をご提案します。

テトラード配色を意識した生け込み ~赤とグリーン、青とオレンジの補色対比と明度差・面積比を意識して~

テトラード配色とは

 テトラード配色とは、色相環を正方形、或いは長方形で4分割した位置にある色を組み合わせた配色です。

 今回は赤とグリーンの補色対比の組み合わせ、そして青とオレンジの補色対比の組み合わせを行いました(長方形のテトラード配色)。

 補色関係にある2組を使うため、はっきりした、カラフルで賑やかな印象になりますが、正方形で4分割した位置にある色を結んだテトラード配色に比べ、長方形のテトラード配色は類似色同士での組み合わせのため、マイルドな印象の色合いとなります。

そもそも「補色」とは

 色相環で正反対に位置する色の組み合わせのことを補色と言います。組み合わせの代表例としては、「黄色と紫」「オレンジとブルー」「グリーンとピンク」など。

「補色」について詳しくは

赤の花材とグリーンの花材

 今回は補色対比を構築する赤とグリーンの花材として、次のものを利用しました。

 赤の花材としてはボケ(木瓜)とほぼ同系色・同彩度のヒペリカム。
 グリーンの花材としてドラセナとアレカヤシ、そして形状が特徴的なラナンキュラスの葉を使用しました。

 ボケもヒペリカムもやや彩度が高い赤のため、ドラセナも明るめのグリーンのものを使用し、彩度差を合わせての生け込みです。

青の花材とオレンジの花材

 青の花材としては彩度が低いエリンジューム。
 オレンジの花材は彩度の低いエリンジュームに合わせ、彩度が低いプロテア「ピンクミンク」とバラ「ハロウィン」を使用しました。

 彩度が高いグリーン・赤と彩度が高い青・オレンジの組み合わせの4色のテトラード配色もありますが、彩度が高い色合い同士を組み合わせると、ビビッドトーンと言われる、鮮やかな色合いとなります。

 今回は「4色(ラナンキュラスのピンクも含めれば5色)」を使う多色使いの構成のため、4色(5色)全てがビビッドトーンですと色同士が主張しすぎるため、あえて1組は彩度が高いもの、もう一組は彩度が低いものを利用し、コントラスト効果を出す赤とグリーンの組み合わせの一方で、青とオレンジの補色対比が主張しすぎないようにしました。

色の面積比について

 花の配色においては、色の面積比を考えることも必要です。面積比によってコントラストの効果が増大したり減少したりします。

 メインの色(今回はグリーン)を考えた場合、補色としてのアクセントカラーである赤が仮に1:1の等量だと色同士がぶつかり、色彩としてのコントラストの効果が半減します。

 逆にメインカラーの割合を7~8、そしてアクセントカラーの割合を3~2に抑えた場合の方が、よりアクセントの効果が高くなり、コントラストが強く出ます。
(下はメインカラー:アクセントカラー=8:2を図表化したもの)

 今回はメインカラーのグリーンの割合を7、そして補色としての赤の割合を1に抑えてコントラストを強く出してみました。

 また、青とオレンジの補色対比の面積割合は1:1としました。このためコントラストがあまり出ず、また、全体の中でも青とオレンジの面積割合を抑えたため、全体で見るとそれほど違和感のない仕上がりとなっています。

テトラード配色での生け込みのポイント

 テトラード配色は4色を使いますが、補色関係の2組を使うため、ともすると色がカラフルになりがちです。

 今回は全体の中でグリーン:赤:青:オレンジの面積割合を7:1:1:1とし、更に彩度が高いグリーンと赤、そして彩度が低い青とオレンジと、彩度差の組み合わせも変えての生け込みを行いました。

 結果、グリーンと赤のコントラスト効果が高まり、青とオレンジを入れても色の違和感がない生け込みに仕上がりました。

 生け込みやアレンジにおいては、2~3色でまとめる方がきれいに仕上がる場合が多いですが、今回のように4色、或いは5色と色を増やす場合、テトラード配色を使った色彩構成を目指すのもいいかと思います。

 しかしながら面積比や彩度など、他の部分での変化を付け加えることで、カラフルすぎず、違和感のない仕上がりになるかと思います。

使用花材

・ボケ(木瓜)・プロテア(ピンクミンク・ラナンキュラス・ドラセナ・ヒペリカム・アレカヤシ・エリンジューム・バラ(ハロウィン)

この記事を書いた人

菊地充智
菊地充智代表取締役社長
 こんにちは。フラワーショップ アリスの代表取締役、菊地 充智と申します。
 福島県本宮市出身で、元々は教員として子どもたちの教育に尽力していました。その経験は私にとって大切な基礎となり、人と心を通わせる重要性や、強い絆を築くことの意味を深く理解させてくれました。

 2007年、私は新たな挑戦としてフラワーショップ アリスに加わりました。それ以来、花々と共に日々成長し、お客様に最善のサービスを提供するために常に努力しています。
 そして、花の美しさとそれぞれの物語をより深く理解し、お客様に届けるため、全国の花の産地を訪れています。

 私の経営理念は、お客様に最高の満足を提供し、常に改善と修正を行いながら、お客様にとってベストの選択を追求することです。この理念は、私が書く文章にも反映されています。

 皆さんが私の記事を通して、花の世界の美しさや、そこに込められた物語を感じ取っていただければ幸いです。それが私が記事を書く大きなモチベーションとなっています。どうぞよろしくお願いいたします。

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