2022年・千両市

 今年も年に一回のセリである「千両市」が、2022年12月14日に行われました。
 今年は6月頃の高温の影響により、千両の出荷量が大幅に減少し、昨年対比で30%以上減となるなど、「裏年(うらどし)」の影響をもろに受けることになりました。

2022年・千両市

セリ前の様子

 下の写真はセリ前の千両が並んでいる様子の一部。
 等級に応じて箱の中の本数も変わりますが、産地によって実付きがどうなのか、セリ前に確認しながらセリに参加していきます。

 千両の主な産地は千葉県房総半島、茨城県鹿島、そして静岡県の大井川(藤枝市)などの暖地となります。

 当地福島県は寒冷地のため、千両の栽培には残念ながら適していません。

 セリ前にサンプル品として箱の中身が一部開封されているので、等級と産地を確認しながら、実付きなどの状態を見ていきます。

 今年は「裏年」にあたるため、実の付き方もいまいちだとは聞いていましたが、等級別の出荷物を見る限り、等級に応じた実の付き方になっていました。

 逆に言うと、各等級に適さないような実付きのモノが今年は多いため、出荷に適さない千両は無理して出荷しなかっことが、前年対比30%減に繋がったようです。

等級の区分と価格

 ちなみに等級の区分は「特上」・「特」・「1級」・「2級」・「3級」・「4級」・「5級」の7段階に区分けされ、更に「大」や「鎌付き」、「3房以上」など、等級以外にも長さや枝のボリュームなどで区分けされていきます。

 等級の差は基本的には実付きの差・枝ぶりの差であり、品質の差ではありません。

 上の写真はフラワーショップ アリスがセリ落とした「特級」の千両。

 そして下の写真は左から「2級」と「3級」。私たちプロは実付きの違いが分かりますが、写真で一目見て違いが分かりますか?

 千両は等級に応じて参加者である花屋がセリで値を付けていきますが、最上ランクの「特上」と「5等」では、1本あたり20倍近くの価格差となります。

 セリでは瞬間瞬間で判断し値を付けていきますが、千両は正月限定の特殊花材のため、使用用途を各自の花屋が判断して、セリ落としていきます。

 ここでも、経験が浅い花屋では何を買えばいいのかがよく分からず、相場の雰囲気(千両市独特のセリの雰囲気)に飲まれ、大量に仕入れてしまったり、或いはあっという間に流れて入札できなかったりしますので、そこにはかなりの経験と判断力が必要になってきます。

 また、当然ながら、千両の等級に応じて使用用途が全く変わってきます。1本・店頭売りで税込2200円もする「特級」の千両は、生け込み用や単品での店売りに使用しますが、それを例えば税込3300円のアレンジに入れることはできません。

 フラワーショップ アリスではtotalで2000本以上をセリ落としていきますが、使用用途に応じて必要な本数というものが決まってきますので、セリにかけられる千両を瞬間瞬間で判断しながら、用途別に必要数を確保していきます。

千両の水揚げ

 仕入れた千両は、写真のように金槌で茎の先端を潰していき、水の吸い上げをよくしていきます。ただ、これも2000本以上ではかなり時間と労力がかかる作業になります。

 当然ながら等級ごとに区分けしないとたいへんなことになりますので、そこもしっかりと分けながらの作業になります。

セリ前の南天と千両に対する弊社の考え方

 下の写真は「千両市」の前にセリにかけられた南天。赤い実という点では千両と同じですが、「南天市」というものはありません。あくまで「千両」は特殊であり、「千両市」も特別な市となります。

 写真は千両市と同一日にフラワーショップ アリスが仕入れたその他枝物。左の写真・奥は木瓜(ボケ)、手前は根引き松。右の写真が南天。

 関東の大手量販店などでは、千両があまりに高額なため、千両を使わずに輸入品のヒペリカムを正月花として使用しているとの話を聞いていましたが、今年は輸入品のヒペリカムも不作で、カーネーションに切り替わっているとのことです。

 しかしながら、千両は千両であり、やはり「正月」にはふさわしい花材の一つでもあります。

 フラワーショップ アリスでは、季節感を大事にしながら、相場の乱高下に左右されることなく、これからもいいものを提供していこうと考えています。