産地との連携②

 当店では、生産者の思いや考えを知り、その熱い思いをお客様にお届けできればと考え、不定期ではありますが全国の産地訪問をさせていただいております。

 花の産地はなかなかお目にかかることがないと思います。この機会に是非ともご覧下さい。

~福島県二本松市編~

福島県二本松市 武藤園芸(2020年)

 2020年7月21日に福島県二本松市にある武藤園芸の武藤さんの圃場にお伺いしました。

 武藤さんのスプレー菊・ピンポンマムを当店では長年積極的に取り扱っています。特徴としては茎を含めた菊の形状が他産地と違い独特であり、日保ちも断然長持ちします(一般的に流通するスプレー菊・ピンポンマムの約2倍)。

 もちろん品質がいいのは分かっていましたが、何故そのような形状になるのかが長年疑問であったため、この度、その疑問点も含め伺いたいことがあったため、直接圃場を見させて頂くことになりました。

 武藤さんの圃場ではビニールハウスが10数棟ありますが、このスプレー菊のハウス一つを取っても、今現在25000本が栽培されています。この25000本は全てお盆の時に出荷されますが、一つのハウスで春から年末まで、3度に分けての植え付け~収穫を行っています。

 また、スプレー菊の他に、寒さに強いカンパニュラ(冬季限定)などの生産も行っています。

 スプレー菊は3ヶ月半(約100日)前後での出荷となります。
 他産地では通常、水と肥料をふんだんに与え、一本一本の花を十分に生育させてから出荷しています。

 一方、武藤さんは敢えて水を与えず、肥料も少なめにするなど、花にストレスを与えています。生育途上の菊が水不足で萎れてから水を与えることを繰り返すことにより、しっかりと大地に根を張り、結果的に日保ちのする、品質のいい菊を作ることに成功しています。

 地面がひび割れしているのが、写真でも分かりますか?
 これは今年の2月に沖縄に行った時に見たトルコキキョウの圃場と同じです。敢えて水を与えないことが特徴です。

 また、土壌は花崗岩を母体にした山土です。水を与えたらすぐに浸透するようなふわふわの土壌とは全く違います。これも赤土を主にした沖縄県の土壌と同じようになっています。

 更に、下側の葉も手作業で削いでいます。これも菊にストレスを与えることに繋がり、結果的に日保ちのする、品質のいい菊を作ることに繋げています。

 水を与えず肥料を少なめにするため、結果的に重量のある2Lクラスのスプレー菊やピンポンマムがあまりできず、LやMクラスの菊が大半を占めてしまいますが、通常のスプレー菊の倍は日保ちしますので、その点に武藤さんは非常にこだわっています。

【通常、2Lの方が市場での競り参加者の評価が高い(高く売れる)ため、他産地の多くはとにかく肥料と水を与えてボリューム感のある花作りを目指します。武藤さんのやり方は、他生産者とあえて逆のことをしています。当店では、その結果から生まれる抜群の品質のよさを非常に評価しており、年間数千本単位で使わせてもらっています。】

 写真左側は袋をかけた状態の菊。右側の写真は芽かきの実際。

 芽かきも一本一本の菊に対して手作業で行っています。芽かきをすることで、栄養分が上部の花に集まり、結果的に花が大きくなります。また、茎もしっかりしてきます。

 袋をかけるのももちろん手作業です。

 この2枚の写真は共に「オペラピンク」という名前の菊です。右側も左側も同じ品種ですが、夏の高温が続くと右側のように色が薄くなってしまいます。また、生育も遅くなります。

 今年は梅雨が長く曇天が続いているため、写真左側のように色が乗っている菊が大半です。また、晴れ間の続く高温ではないため、お盆出荷予定の花が前進している状況です。

 菊が開花するためには日照時間が11時間以下にならなければなりません(本来、菊は秋に咲くため)。そのため、ビニールハウスの上部に遮光カーテンも取り入れています。

 また、生育には日照が必要なため、右側の写真のような電飾も出荷時期によっては必要です。

 近年はスプレー菊やピンポンマムも従来の菊の使われ方(仏用)だけでなく、花束やアレンジ、生け込みにも積極的に使われるようになってきました。

 天候によりピタリと狙った時期に出荷できる訳ではなく、設備の維持も非常にコストがかかります。そんな中で一生懸命こだわり抜いて生産している武藤さんの菊を、これからも当店では積極的に取り扱っていきます。

 4月頃から年末頃までが武藤さんの菊の出荷時期となっています。
 当店では「武藤さんの菊が欲しい」とのご要望にも喜んで対応できますので、ご安心下さい。

~福島県郡山市編~

福島県郡山市 齋藤さんのトルコキキョウ(2020年)

 2020年6月27日に当店から車で10分ほどにあるトルコキキョウ生産者、齋藤さんの圃場にお伺いしました。

 齋藤さんのトルコキキョウの何がすごいかというと、驚くほどの茎の太さ。この茎の太さは、2月~3月に出荷の最盛期を迎える沖縄県のトルコキキョウに匹敵する、或いはそれ以上のものとなっています。

 この太さが非常に日持ちのする高品質なトルコキキョウの要因ですが、なぜこの時期にここまで太くできるのか、そんな疑問を持ちながら訪問させて頂きました。

 福島県でのトルコキキョウは、6月頃から8月頃が最盛期を迎えます。トルコキキョウはほぼ通年で入手できますが、初春頃に沖縄から出荷が始まり、そこから季節を追って北上していき、お盆過ぎ頃には北海道での出荷となるなど、日本列島の南から北まで、産地が移動していきます。

(写真3)左側が齋藤さんのトルコキキョウの茎。右側が一般的に流通するトルコキキョウの茎。明らかに太さが違います。
(写真4)齋藤さんの圃場での茎の様子(写真をクリックすると、拡大します)

 齋藤さんに伺ってみますと、定植が11月頃、出荷が6月頃で、冬の間は暖房を一切かけないでじっくりと生長させているそうです。

 通常なら冬の間は暖房(重油)をかけ暖かくし、或いは夏のお盆頃の出荷であれば4月に定植、8月に出荷で、わずか3~4ヶ月で出荷のところを、齋藤さんのトルコキキョウはなんと7~8ヶ月もかけていました。

 つまり、当店で取り扱う熟成胡蝶蘭と同じように、通常の定植~出荷までの期間を倍に延ばしていることから、ここまで太い茎になるそうです。

 トルコキキョウは夏の花と言われていますが、温度さえ一定の暖かさに保てば、スルスルっと伸びていきます(もちろん、日照や水なども必要ですし、一定の品質以上に生育させるためには、土作りを含めた技術も必要ですが)。平均3~4ヶ月で出荷の場合、通常は写真3の右側のような細い茎になります。

 トルコキキョウも他の植物もそうですが、茎は太ければ太いほど日持ちが良くなります(水の吸い上げが関係してきます)。もちろん花の種類により茎の太さにも限度が出てきますが、この齋藤さんのトルコキキョウは、この時期に出てくるトルコキキョウの中でも別格の存在です。

 「熟成トルコキキョウ」とネーミングを付けて出荷してもいいぐらいの商品価値のあるトルコキキョウです。このトルコキキョウは、大田花きなどの東京・関東方面へは出荷しておらず、当店など極めて限定した店舗でのみの取り扱いとなっているところにも、希少性を感じます。

 齋藤さんは親子二代でのトルコキキョウの栽培を行っていますが、娘さんも非常に熱心で、当店にもよくご来店頂き、トルコキキョウに関する意見交換を行っております。

 先日は娘さんから、2輪で蕾ありのトルコキキョウと3輪で蕾無しのトルコキキョウのどちらがいいかとの質問を頂きましたので、市場に出荷するためには蕾無しでも3輪の方がいいと思う旨をお伝えしました。

 他生産者のトルコキキョウを当店で入手したり、他生産者の圃場に行ったりと、非常に研究熱心な方です。

 この齋藤さんのトルコキキョウ、是非飾ってみませんか?
 品質の良さ、日持ちの良さ、一輪一輪の大きさなどにきっと驚かれると思います。

 季節限定の希少種です。例年、6月から8月頃までが入手可能な時期となります。写真では紫のトルコキキョウが写っていますが、これからはピンクのトルコキキョウも出てきます。お楽しみに。

~山形県山形市編~

山形県山形市 千歳園(2020年)

 2020年6月16日に山形県山形市の百合生産者、池野さんの経営する千歳園にお伺いしました。

 池野さんとは10年以上の付き合いとなり、当店でも積極的に池野さんが生産した百合を取り扱っています。
 メインはオリエンタル百合の生産ですが、他にもLA百合なども手がけています。

 さっそく圃場の様子。写真左は8月のお盆頃に出荷予定のオリエンタル百合。LA百合とオリエンタル百合では球根からの生育期間が違いますが、LA百合では平均で50日前後で出荷、オリエンタル百合は平均60日~70日前後での出荷となります。

 右側の写真は収穫後の様子。ところどころ残しているのは、色合いや花の大きさ、日持ち等について確認するため、あえて収穫しないようにしています。

 この後トラクターが入りますが、うなるだけでもハウス片面で2時間はかかるそうです。球根は残せばもちろん次も咲きますが、品質にばらつきが出てきてしまうため、基本的には1回のみの定植~収穫にとどめています。

 続いて定植の様子。
 球根はオランダから輸入しています。品種改良も全てオランダで行われており、その球根を世界中に輸出しています。

 お国柄で好みの色合いというものがあり、中華圏では黄色の百合が好まれ、欧米でははっきりした色合いの百合が好まれます。

 一方、日本では白、或いは淡い色合いのピンクなどが好まれています。

 近年は無花粉と呼ばれる、花粉が付かない百合も開発されています。ピンクの無花粉百合は当店でも取り扱っていますが、白の無花粉百合については開発中(※)で、将来的には流通すると思いますが、まだ先のようです。
(※一応、白の無花粉もあるにはあるのですが、品質等について課題がまだまだ多く、また、ピンク無花粉に比べ全国での流通量が少なく、改良待ちの状態です。)

 オランダから輸入した球根もそのまま植える訳ではなく、ある程度芽を出してからの定植となります。

 溝も丁寧に掘って定植しています。近年は機械導入によりだいぶ楽になったようですが、手掘りはかなりの労力がかかるそうです。

 左の写真は収穫前のオリエンタル百合の様子。そして右側はLA百合の生長途上の様子。

 ビニールハウスも1棟だけではなく、何棟もあるため、収穫期間を少しずつずらしながらの定植を行っています

(写真左)池野さんが生産した八重百合「エリナ」。季節限定の珍しい一品です。当店では珍しい八重百合を積極的に取り扱っていますので、八重百合が必要な際には、是非とも当店にお問い合わせください。
 もちろん、生産者のお墨付きですよ。

(写真右)株式会社 千歳園 代表取締役 池野さん。非常にやる気のある生産者で、品質向上・事業拡大に精力的に取り組んでいます。私も産地訪問で度々伺っておりますが、行く度に刺激を受けます。

山形県山形市 千歳園・特別寄稿「ユリへの想い」(2020年)

 ここで、池野さんから特別寄稿「ユリへの想い」を頂きました。熱い思いが伝わってきます。是非ともご覧下さい。

~ ユリへの想い ~

 ユリは蕾が咲くという感動を楽しむ花です。

 咲くと豪華。そしてユリの清らかな香りや癒やしも魅力の一つです。

 私たち千歳園は、親子二代で培った土作りの技術を生かした有機物の富んだ土に、ひとつひとつのユリの球根を植えています。

 スタッフによる丁寧な手仕事と、山形の四季豊かな気候により、時間をかけて、とても豪華で大きな蕾、そして日持ちのするユリを作っています。

 是非、飾って頂けたらと思います。

(リンク)
白百合(ユリ)と色彩の組み合わせ