当店では、生産者の思いや考えを知り、その熱い思いをお客様にお届けできればと考え、不定期ではありますが全国の産地訪問をさせていただいております。

 「産地との連携(福島編)」は福島県の生産者を取り上げたページです。

産地との連携(福島編)

~福島県昭和村・南会津町編~

 2024年6月25日に、福島県大沼郡昭和村・南会津郡南会津町の生産者の方々へお伺いしました。
 昭和村ではかすみ草の、南会津町ではりんどうの産地への訪問です。

 以下にそれぞれの生産者の方々へ訪問した様子を具体的に記載していきます。

昭和村のかすみ草(2024年)

 昭和村は夏場におけるかすみ草の生産量が、全国シェアのおおよそ70%前後と圧倒的なシェアを誇っています。
 弊社でも年間でかなりの量を取り扱っていますが、一度は伺いたいと常日頃から考えており、今回初めてお伺いすることができました。

かすみ草部会長・立川さんとの対談

 まずは昭和村かすみ草部会の部会長・立川さんとの対談を行いました。
 昭和村でのかすみ草は若い人の新規参入が非常に増えているとのこと。現在は全体で約90名の方が生産を行っており、他県からの移住者も増えているとの話でした。

 立川さんは標高200m、500m、700mのそれぞれの場所で年間1回ずつかすみ草の生産を行っているとのこと。2回以上生産を行うと連作障害が発生する可能性があるためです。これは旧来から行われているヨーロッパの三圃式農業に近い形態だと思いましたが、1期だけ生産を行い、残りの3期は休閑にするとの話でした。

 特に冬場の大雪が稲作で言うところの代掻きと同じような役目になるとのことで、2年目以降も連作障害が発生せず、立ち枯れ病を含めた病気の発生を防いでいます。

 昭和村は山に囲まれた、言わば陸の孤島と言っても過言では無いぐらいの場所となっていますが、その山間の地形の特徴を非常に上手く利用していると感じました。

JA会津よつば・雪室施設訪問と「雪室」

 続いて、JA会津よつば・昭和村農林水産物集出荷貯蔵施設(雪室施設)を訪問しました。JA会津よつば・雪室施設はかすみ草の集積場となっていますが、冷房に大きな特徴があります。

 それは「雪室(ゆきむろ)」と呼ばれる施設。雪室とは、この地域特有の大雪が降る特長を生かした施設です。

 具体的には3月初旬の重い雪(おおよそダンプ300台分の量)を貯蔵し、その雪により夏場の冷房の電気代を節約しながら、湿度70%の冷気で収穫したかすみ草を8℃の状態で一日冷やし、冷やした状態で出荷する施設のことです。

 そもそも何故集荷後に冷やすかと言うと、それは品質を維持するため。切り花の鮮度は「(切り花収穫後の)時間」×「温度」の積算値ですが、8℃に冷やすことで小さな蕾も開かせながら、花の温度を下げて出荷しています。

 近年は温暖化の影響で豪雪地帯の昭和村も最低気温が2℃高くなったとのこと。そのため、年によっては冬に10mの積雪の場合もあれば、数十cmしか積もらない場合もあるとのこと。
 そこでこの雪室は、雪が降らない場合に備えてエアコンとのハイブリッドとなっているそうです。

 仮に電気のみでこの施設に集荷として集まった約3000ケースのかすみ草を冷やした場合、試算では月間100万円のランニングコストがかかるそうです。しかしながら雪とのハイブリッドで冷やすことで、ランニングコストを3分の1に圧縮できるとのことでした。

 上の写真は雪室の内部の様子。先述のように3月初旬に集めたダンプ300台分の重い雪だそうです。しかしながらこの雪も、雪室施設周辺の雪をかき集めただけとのこと。それでも高さ約10mほどの雪が6月下旬でも溶けずに残っています。
 まさに地域の特性を最大限に利用した施設と言えます。

 上記写真は染めかすみ草の集荷の様子。染めかすみ草もカラーバリエーションが豊富であり、赤~黄色~グリーン~ブルーと、8種類の色に対応しています。

 エルフの水の中には匂い抑制剤も添加しているため、かすみ草特有の強い香りもあまりなく、ブライダル等にも安心して使用できるのが昭和村のかすみ草の特徴です。

かすみ草の圃場の様子

 かすみ草のビニールハウスは、春に建てて秋に解体するため、比較的簡易的な作りとなっています。もっとも、冬場に10mの大雪が積もる場合があるため、通常のビニールハウスでは冬期間そのままにしておくと雪の重みで潰れてしまいます。

 下の写真はかすみ草「ピンクシンフォニー」の圃場の様子。こちらは標高700mの、山の斜面の一角となります。

昭和村のかすみ草のみの花束

 下の写真は昭和村のかすみ草のみの花束。森昌子さんはかすみ草が好きだそうで、昭和村のかすみ草で作って欲しいとのお客様(ファンの方)からのご要望でお作りした花束です。

 下は同じく昭和村のかすみ草のみを使った、複色のかすみ草の花束。白のみのかすみ草の花束と比べても、だいぶ印象が変わってきます。

南会津町のりんどう(2024年)

 南会津町のりんどうでは、五十嵐さんと斎藤さんの2人の生産者へ伺いました。いずれの生産者のりんどうもフラワーショップ アリスでは年間で数千本使用しています。
 その品質の高さからいつかお伺いしようと考えており、今回初めての訪問を実現することができました。

五十嵐さんの圃場

 まず初めに五十嵐さんの圃場から。五十嵐さんは20数種類生産しているりんどう専門の生産者です。りんどうは品種改良により極早生(ごくわせ)~早生(わせ)の品種が登場するなど、出荷が早いものは6月から、最終的には11月頃までの収穫となっております。

 訪問する前はビニールハウスで生産しているものだとばかり考えていましたが、実際見てみると露地栽培でした。
 りんどうは苗を植えてから3~4年で収穫するのが一般的で、それまでは収穫がありません。ただ、収穫が始まってから数年間は品質が落ちずに収穫できること、また、いくつも分岐して成長するのが特徴です。

 五十嵐さんに話を伺うと、秀品として出荷できるのは約30%ほど。これはユリなど他の生産物でも同じような割合ですが、当然ながら全てを秀品として出荷ができるわけではありません。等級は秀・優・良・外などに分けられ、かつ長さでも市場でのセリ値が変わるため、できれば秀品ばかりを出荷すれば理想ですが、実際はそうもいかないのが現実です。

斎藤さんとの対談

 斎藤さんはりんどうの生産者でもあり、育種家でもあります。育種とは、複数種のりんどうを掛け合わせて、新たなりんどうの品種を作ること。

 斎藤さんの代表的なりんどうの品種に「かせん」があります。「かせん」は福島県のオリジナルりんどうとして、県内各地で大々的に生産されるようになっています。

 昔は8月頃がりんどうの出荷時期でしたが、斎藤さんの育種などにより早生品種だけで無く、極早生品種も誕生し、今では6月から11月とかなり長い期間出荷ができるようになってきました。

 育種の現場を実際に見せて頂きましたが、さすがに企業秘密なので写真撮影は控えました。なんでも標高1800mのところにある原種のりんどうの花粉も取って育種をしたことがあるとのこと。育種でできたりんどうの種(たね)も非常に小さく、その30年以上に渡る育種への熱意と情熱に圧倒されました。

 下はりんどうの選別機。今では改良されて随分使い勝手が良くなってきているそうですが、こちらは県内初導入の約30年前に購入したもの。佐賀県の今村機械という会社から購入されたとのことですが、この機械そのものも改良に改良を重ね、使い勝手を良くしてきたとの話でした。

 対談後、さっそく今年初出荷の斎藤さんのりんどうを頂いてきました。軸もしっかりしており、葉も小さいのでりんどうの青い花がよく見え、使い勝手がいいりんどうです。

~福島県南相馬市・浪江町・富岡町編~

 2024年1月30日に、福島県南相馬市・浪江町・富岡町の生産者の方々へお伺いしました。
 訪問した生産者は計4カ所。南相馬市は「根本園芸」、浪江町は「JINフルール」「なみえ花工房」、富岡町は「夜の森ローズガーデン」となります。

 以下にそれぞれの生産者の方々との交流を具体的に記載していきます。

福島県南相馬市 根本園芸(2024年)

 根本園芸さんの鉢物は長年弊社でかなりの量を取り扱っており、一度は伺いたいと考えていましたが、今回初めて訪問することができました。

 根本園芸さんは下の写真のようなシクラメンクレマチス紫陽花、ラナンキュラスなどの鉢物を生産しています。特にシクラメンに関しては、全国品評会で毎年連続で金賞を取るなど、全国トップクラスの品質を誇っています。

 下の写真からは訪問時のハウス内の様子。下の写真は種を取っているところ。

 上の写真の「ブルーシクラメン」は根本園芸さんのオリジナル品種となります。原種について聞いたところ、下の赤いシクラメン「シトラウス」の突然変異で紫になったとのこと。

 てっきり他の品種との掛け合わせで作ったのかと私は考えていましたが、DNA的にも「シトラウス」由来ということが証明されたそうです。

 下は圃場内の様子。紫陽花やクレマチスは5月の母の日用として。ラナンキュラスは2月一杯が出荷期間とのことでした。

 昨年は特に夏の猛暑が厳しく、また、全体的に年間を通して暖かいため、出荷期間が短くなったり、早まったりと、本来出荷したい期間とのズレに非常に頭を悩ませているとの話でした。

 下の写真は現在生産中のラナンキュラスの一部。ポンポンシリーズの「メルリノ」「イグルー」「ハーマイオニー」などもありました。

 このポンポンシリーズは切り花でも非常に人気があるため、「切り花でも出荷して下さい」と言いかけましたが、あくまで鉢物生産者なので、初対面でそこまで言うのも失礼な話なので言うのを控えました。

 切り花で出たらかなり使いたい色合い・ボリューム感のラナンキュラスばかりでした。

 下の写真は各市場に出荷する直前の様子。

 新品種のブルーシクラメンに関して、弊社では今年の冬は昨年より多めに取り扱いたいと考えており、年末の出荷予約をさっそくお願いしてきました。また、母の日用の紫陽花も、昨年とは違った色合い・品種のものが出るとのことで、非常に期待しております。

福島県双葉郡浪江町 JINフルール(2024年)

 JINフルールでは、創業者の川村さんと話を伺いました。非常に気持ちのいい方で、生産に関してもたいへん意欲的な方だと感じました。

 年間栽培計画の意見交換を行いましたが、夏場のトルコキキョウに代わる品種を模索中とのこと。私としてはいくつかの案を提示させて頂きましたが、何を作ってもJINフルールさんの商品は間違いが無いので、きっと素晴らしい品を生産するのだろうと非常に期待しています。

 ちなみに東京オリンピックで使われたビクトリーブーケのトルコキキョウも、JINフルールさんが生産したものです。

 下は圃場の様子。現在はキンギョソウ(スナップ)の出荷の最盛期で、この後にストックが、そして3月からは(切り花の)マリーゴールドの出荷となります。

 ちなみに弊社でも3月に(切り花の)マリーゴールドを使用したいので、JINフルール・川村さんにマリーゴールドの予約注文を入れてきました。

 下はセネシオ(サイネリア)の圃場の様子。私自身はセネシオを初めて見ましたが、生産者の取り決めにより、関東の極一部の市場にのみ出荷が許可されている品。

 こう見えて、非常に高価な花材となっています。ちなみに全国ではセネシオの生産者が10軒のみだそうで、全て同じ市場に出荷しているとのことでした。

 下は出荷最盛期のスナップの様子。スナップはそのほとんどが90cm以下の切り花として出荷されていますが、実際にはその丈が約1m50cm前後になる植物です。

 通常90cm以下で出荷される理由は、トラックを2段にして輸送するそうで、その1段目の高さが最大90cmだからとのこと。1m50cm前後でも出荷しようと思えば出荷できるとのことですが、その場合は、2段分の花のスペースを食うため、通常の倍の価格で取引されないと割に合わないとのこと。

 下はトルコキキョウの圃場。3年目を過ぎたあたりからトルコキキョウでは立ち枯れ病(注1)が発生しやすくなるため、その対策への試行錯誤をしているとの話でした。

(注1)立ち枯れ病とは何か?

 立ち枯れ病は、植物が突然枯れ始め、葉が黄色く変色し、最終的には全体が枯れる症状を示します。この病気は主に土壌中の菌類(フザリウム等)によって引き起こされ、根系を通じて植物に侵入します。

 フザリウムは、多くの植物に影響を与える一般的な病原菌です。この菌は、トルコキキョウの根や茎に侵入し、水と栄養素の流れを妨げます。感染が進行すると、植物は徐々に枯れ、回復が困難になります。

 この立ち枯れ病は生産者にとっては死活問題であり、例えばトルコキキョウの立ち枯れ病は、最初の苗の段階では全く症状が出ず、ある程度成長した段階で発生します。

 立ち枯れ病は、植物が出荷可能な状態になる前に発生することがあり、その場合、生産者は重大な損失を被ることになります。例えば、ハウス内で立ち枯れ病が大発生した場合、それまでの暖房費やその他の生産コストが全て無駄になってしまうのです。暖房費には重油代が含まれ、これは100万円単位にものぼることがあります。

 病気の発生により、これらの投資が全く回収できなくなるため、生産者にとっては金銭的にも深刻な打撃となります。このように、立ち枯れ病は単に植物の健康だけでなく、生産者の経済的安定にも直接的な影響を与えるのです。

福島県双葉郡浪江町 なみえ花工房(2024年)

 なみえ花工房の渡瀬さんは、今現在スナップを生産・出荷の真っ最中の中でお伺いさせて頂きました。

 これまで関東に流れていた花を福島県で直接取引する取り組みで昨年からお世話になっており、渡瀬さんの生産するスナップの品質が非常に高ため、弊社でもかなりの数量を取り扱いするようになりました。

 今回、初対面の中で話を伺う中で、実は渡瀬さんは長年関東で会社員をやっており、生産者としての花作りは2年目とのこと。

 今現在、この浪江町で他県からの移住者が増えているそうで、その移住者の方々の中で花を生産したいという方も増えているそうです。

 渡瀬さんは2年目とは思えないぐらいスナップの品質が高く、茎もしっかりとして非常に使いやすいと感じています。

 先程のJINフルールの川村さんとも話をさせて頂きましたが、夏場の生産物について悩んでいるとのこと。そこでこちらからもいくつかの意見・考えをお伝えしました。

 恐らく私が提案したものを打診で今年の夏は生産されると思いますので、その際には是非とも購入・使用し、意見交換を更に進めていきたいと考えています。

福島県双葉郡富岡町 夜の森ローズガーデン(2024年)

 夜の森ローズガーデンさんもこれまで関東に流れていた花を福島県で直接取引する取り組みで昨年からお世話になっているバラの生産者です。

 福島花卉の社長から「ものがいいよ」とは話を伺っていたのですが、土耕か水耕か、何の種類の薔薇を生産しているのか、どのぐらいの生産量・出荷量があるのか等々、個人的に分からないことがあったため、是非とも直接伺いたいと考えていました。

 圃場は水耕栽培で行われており、第一印象は非常に丁寧な管理が行き届いていると感じました。

 現在は8種類の薔薇を生産しています。赤バラは「レッドエレガンス」と「サムライ」。黄バラは「ゴールドラッシュ」、ピンクは「スィートアヴァランチェ」と「ブロッサムピンク」、そしてオレンジは「ケンジントンガーデン」と「マドリード」、複色で「ジュミリア」となります。

 特に「ケンジントンガーデン」は珍しい品種で、弊社でも夜の森ローズガーデンさんから積極的に取り寄せています。

 「ケンジントンガーデン」は「ジャパンフラワーセレクション2020-2021」受賞品種となり、咲き方も非常に特徴的です。花も終わり頃になるとこのオレンジがピンク色に変化していく、たいへん面白い品種です。

「福島県南相馬市・浪江町・富岡町編」まとめ

 浜通り地方となる南相馬市・浪江町・富岡町は、福島県中通りに比べて冬の曇天が少なく、晴れの天気が続く比較的暖かい地域です。そのような地の利を生かしながら、生産者の方々は「いいもの」を作ろうと努力している姿が垣間見られました。

 また、浪江町では生産者が徐々に増えていること、特に花生産を全く行ったことの無い方々が意欲的に挑戦することで、今や一大生産地となってきています。

 フラワーショップ アリスでも、いいものを作る生産者、そして市場の方々と三者一体となり、お客様にいいものを提供できるよう取り組んでいきたいと考えています。

 この度、南相馬市・浪江町・富岡町の生産者の方々におきましては、貴重な時間を割いて頂き、たいへんありがとうございました。こちらもたいへん勉強になりました。
 また、今後ともよろしくお願い致します。

~福島県福島市編~

福島県福島市 鉄砲屋 高野さん(2021年)

 2021年10月5日に、福島県福島市にある鉄砲屋 高野さんの圃場にお伺いしました。

 高野さんは枝物の生産者です。以前からいい枝物を生産・出荷しているため、是非とも伺いたいとこちらから希望して、初めての訪問となりました。

 ちなみに屋号の「鉄砲屋」とは、ひいおじいさんの代に鉄砲撃ちの猟師だったため、その頃から「鉄砲屋」との屋号を使っていたそうです。

 高野さんの枝物は多品種少量生産を特徴としています。

 まずはハウス1棟目。写真1の左側にはケイトウ、右側にはアガパンサスが植えられています。写真2の球根はギガンジウム。写真1の中央部分の土をならしたところには、このギガンジウムの球根を植え付ける予定だそうです。

 写真3・4はカキツバタ。生け花用花材となります。もともとこの土壌は田んぼだったそうですが、今はこのようにカキツバタやガマが植えられています。

 カキツバタを生産しているところは初めて見させて頂きましたが、アヤメと違い、土ではなく水を張った田んぼでの生産をしています。

 写真5は紅ヒマ(べにひま)。これも基本的には生け花用花材。フラワーショップ アリスでは生け込みにも使いますが、一般的な花屋では通常置いていない花材です。

 写真6は木瓜(ボケ)。出荷の際に根元から切らないと次に伸びてくる枝が不揃いになり、出荷に適さなくなるそうです。また、この木瓜も含め、高野さんの枝物は日の出前に収穫しているとのこと。理由は、日の出前と太陽が昇ってからでは日持ちが変わるため。これは例えばスナップなど他の花材にも言えるそうで、日の出前に収穫するものは日持ちがするため、高野さんは日の出前からの収穫を徹底しているとの話でした。

 写真7はバイカウツギ。白い花が咲く枝物です。バイカウツギも基本的には一般的な花屋ではあまり取り扱っていません。

 写真8の手前にあるものはフトイ。そして写真9は珊瑚水木(さんごみずき)。珊瑚水木はこれから枝が赤くなりますが、葉を取って出荷します。主に12月頃出荷される枝物です。

 写真10はオミナエシ。このオミナエシは出荷させず、このまま種を取るそうです。

 写真11は圃場の一部を撮影したところ。このハウスの奥に写真3のカキツバタの田んぼがあります。また、写真では撮影できませんでしたが、他にもオクラレルカや桜、紫陽花なども生産・出荷しています。桜は促成栽培をしており、床暖房施設の室(むろ)も見させて頂きました。

 収穫した木瓜の花。さすが高野さん、いいものを作っています。

 近年では枝物の生産者もたいへん少なくなってきており、高野さんのようにいいものを作ってくれる生産者も後継者がいない場合が多い状況です。
 30~40年前の生け花全盛時代に比べれば枝物の需要もかなり少なくなってきていますが、かといって全く無くなるのも非常に困ります。

 弊社ブログ記事「入才ラン ~生け花花材の現状~」では、このような生け花花材の現状について記載しております。

 フラワーショップ アリスでは、このように従来の固定観念にとらわれない枝物の使い方を模索しながら、お客様によりよいものを提案できればと日々取り組んでおります。

 今回は初の枝物の生産者である高野さんの圃場を見させて頂きましたが、たいへん勉強になりました。高野さんにはこの度の訪問を快く受け入れて頂き、たいへんありがとうございました。

~福島県二本松市編~

福島県二本松市 武藤園芸(2020年)

 2020年7月21日に福島県二本松市にある武藤園芸の武藤さんの圃場にお伺いしました。

 武藤さんのスプレー菊・ピンポンマムを当店では長年積極的に取り扱っています。特徴としては茎を含めた菊の形状が他産地と違い独特であり、日保ちも断然長持ちします(一般的に流通するスプレー菊・ピンポンマムの約2倍)。

 もちろん品質がいいのは分かっていましたが、何故そのような形状になるのかが長年疑問であったため、この度、その疑問点も含め伺いたいことがあったため、直接圃場を見させて頂くことになりました。

 武藤さんの圃場ではビニールハウスが10数棟ありますが、このスプレー菊のハウス一つを取っても、今現在25000本が栽培されています。この25000本は全てお盆の時に出荷されますが、一つのハウスで春から年末まで、3度に分けての植え付け~収穫を行っています。

 また、スプレー菊の他に、寒さに強いカンパニュラ(冬季限定)などの生産も行っています。

 スプレー菊は3ヶ月半(約100日)前後での出荷となります。
 他産地では通常、水と肥料をふんだんに与え、一本一本の花を十分に生育させてから出荷しています。

 一方、武藤さんは敢えて水を与えず、肥料も少なめにするなど、花にストレスを与えています。生育途上の菊が水不足で萎れてから水を与えることを繰り返すことにより、しっかりと大地に根を張り、結果的に日保ちのする、品質のいい菊を作ることに成功しています。

 地面がひび割れしているのが、写真でも分かりますか?
 これは今年の2月に沖縄に行った時に見たトルコキキョウの圃場と同じです。敢えて水を与えないことが特徴です。

 また、土壌は花崗岩を母体にした山土です。水を与えたらすぐに浸透するようなふわふわの土壌とは全く違います。これも赤土を主にした沖縄県の土壌と同じようになっています。

 更に、下側の葉も手作業で削いでいます。これも菊にストレスを与えることに繋がり、結果的に日保ちのする、品質のいい菊を作ることに繋げています。

 水を与えず肥料を少なめにするため、結果的に重量のある2Lクラスのスプレー菊やピンポンマムがあまりできず、LやMクラスの菊が大半を占めてしまいますが、通常のスプレー菊の倍は日保ちしますので、その点に武藤さんは非常にこだわっています。

【通常、2Lの方が市場での競り参加者の評価が高い(高く売れる)ため、他産地の多くはとにかく肥料と水を与えてボリューム感のある花作りを目指します。武藤さんのやり方は、他生産者とあえて逆のことをしています。当店では、その結果から生まれる抜群の品質のよさを非常に評価しており、年間数千本単位で使わせてもらっています。】

 写真左側は袋をかけた状態の菊。右側の写真は芽かきの実際。

 芽かきも一本一本の菊に対して手作業で行っています。芽かきをすることで、栄養分が上部の花に集まり、結果的に花が大きくなります。また、茎もしっかりしてきます。

 袋をかけるのももちろん手作業です。

 この2枚の写真は共に「オペラピンク」という名前の菊です。右側も左側も同じ品種ですが、夏の高温が続くと右側のように色が薄くなってしまいます。また、生育も遅くなります。

 今年は梅雨が長く曇天が続いているため、写真左側のように色が乗っている菊が大半です。また、晴れ間の続く高温ではないため、お盆出荷予定の花が前進している状況です。

 菊が開花するためには日照時間が11時間以下にならなければなりません(本来、菊は秋に咲くため)。そのため、ビニールハウスの上部に遮光カーテンも取り入れています。

 また、生育には日照が必要なため、右側の写真のような電飾も出荷時期によっては必要です。

 近年はスプレー菊やピンポンマムも従来の菊の使われ方(仏用)だけでなく、花束やアレンジ、生け込みにも積極的に使われるようになってきました。

 天候によりピタリと狙った時期に出荷できる訳ではなく、設備の維持も非常にコストがかかります。そんな中で一生懸命こだわり抜いて生産している武藤さんの菊を、これからも当店では積極的に取り扱っていきます。

 4月頃から年末頃までが武藤さんの菊の出荷時期となっています。
 当店では「武藤さんの菊が欲しい」とのご要望にも喜んで対応できますので、ご安心下さい。

福島県二本松市 武藤園芸(2023年)

 2023年8月6日に武藤さんの圃場へお伺いしました。
 武藤さんはひまわりも生産しており、夏はスプレー菊とひまわりがメインの出荷物となります。

 下の写真、画像1は収穫したばかりのひまわりです。こんな「ガチガチ」のひまわりが、1日経つと画像2のように大きく開きます。

 当然ながら武藤さんはハウス栽培でひまわりを生産していますが、露地栽培のひまわりの場合、雨に当たると茎に点々の黒い「シミ」のようなものが付きます。しかしながら、ビニールハウスで生産したひまわりには、そのような「シミ」が付きません。

 上の写真を見て頂ければ分かると思いますが、ビニールハウスで生産した武藤さんのひまわりは、茎がきれいで、黒い「シミ」などもありません。これが露地栽培のひまわり、引いては単に庭で作ったひまわりとの違いです。

~福島県郡山市編~

福島県郡山市 齋藤さんのトルコキキョウ(2020年)

 2020年6月27日に当店から車で10分ほどにあるトルコキキョウ生産者、齋藤さんの圃場にお伺いしました。

 齋藤さんのトルコキキョウの何がすごいかというと、驚くほどの茎の太さ。この茎の太さは、2月~3月に出荷の最盛期を迎える沖縄県のトルコキキョウに匹敵する、或いはそれ以上のものとなっています。

 この太さが非常に日持ちのする高品質なトルコキキョウの要因ですが、なぜこの時期にここまで太くできるのか、そんな疑問を持ちながら訪問させて頂きました。

 福島県でのトルコキキョウは、6月頃から8月頃が最盛期を迎えます。トルコキキョウはほぼ通年で入手できますが、初春頃に沖縄から出荷が始まり、そこから季節を追って北上していき、お盆過ぎ頃には北海道での出荷となるなど、日本列島の南から北まで、産地が移動していきます。

(写真3)左側が齋藤さんのトルコキキョウの茎。右側が一般的に流通するトルコキキョウの茎。明らかに太さが違います。
(写真4)齋藤さんの圃場での茎の様子(写真をクリックすると、拡大します)

 齋藤さんに伺ってみますと、定植が11月頃、出荷が6月頃で、冬の間は暖房を一切かけないでじっくりと生長させているそうです。

 通常なら冬の間は暖房(重油)をかけ暖かくし、或いは夏のお盆頃の出荷であれば4月に定植、8月に出荷で、わずか3~4ヶ月で出荷のところを、齋藤さんのトルコキキョウはなんと7~8ヶ月もかけていました。

 つまり、当店で取り扱う熟成胡蝶蘭と同じように、通常の定植~出荷までの期間を倍に延ばしていることから、ここまで太い茎になるそうです。

 トルコキキョウは夏の花と言われていますが、温度さえ一定の暖かさに保てば、スルスルっと伸びていきます(もちろん、日照や水なども必要ですし、一定の品質以上に生育させるためには、土作りを含めた技術も必要ですが)。平均3~4ヶ月で出荷の場合、通常は写真3の右側のような細い茎になります。

 トルコキキョウも他の植物もそうですが、茎は太ければ太いほど日持ちが良くなります(水の吸い上げが関係してきます)。もちろん花の種類により茎の太さにも限度が出てきますが、この齋藤さんのトルコキキョウは、この時期に出てくるトルコキキョウの中でも別格の存在です。

 「熟成トルコキキョウ」とネーミングを付けて出荷してもいいぐらいの商品価値のあるトルコキキョウです。このトルコキキョウは、大田花きなどの東京・関東方面へは出荷しておらず、当店など極めて限定した店舗でのみの取り扱いとなっているところにも、希少性を感じます。

 齋藤さんは親子二代でのトルコキキョウの栽培を行っていますが、娘さんも非常に熱心で、当店にもよくご来店頂き、トルコキキョウに関する意見交換を行っております。

 先日は娘さんから、2輪で蕾ありのトルコキキョウと3輪で蕾無しのトルコキキョウのどちらがいいかとの質問を頂きましたので、市場に出荷するためには蕾無しでも3輪の方がいいと思う旨をお伝えしました。

 他生産者のトルコキキョウを当店で入手したり、他生産者の圃場に行ったりと、非常に研究熱心な方です。

 この齋藤さんのトルコキキョウ、是非飾ってみませんか?
 品質の良さ、日持ちの良さ、一輪一輪の大きさなどにきっと驚かれると思います。

 季節限定の希少種です。例年、6月から8月頃までが入手可能な時期となります。写真では紫のトルコキキョウが写っていますが、これからはピンクのトルコキキョウも出てきます。お楽しみに。

全国編はこちらから

 全国各地の生産者と圃場を巡った「産地の連携」ページもありますので、宜しければそちらもご覧下さい。