季節の変化を感じて~秋の花材ドウダンツツジから冬の花材石化柳へ~

葉付きのいいドウダンツツジが入荷しました。
季節は秋。真っ赤に色付いたドウダンツツジです。
実はこのドウダンツツジ。この時期にどうしてもドウダンツツジが欲しいと市場の競り人に相談したところ、生産者が庭から切って出荷してくれた、特別なものとなります。
びっくりするぐらい状態のいいドウダンツツジです。市場で手にした時はここまでいいものがあるのかとびっくりした素晴らしい枝物となります。

今年初入荷(4月)のドウダンツツジとは全く別物のような存在感です。初夏のドウダンツツジは真っ青で涼しさを感じますが、秋の紅葉したドウダンツツジは日本人ならではの季節感を強く感じさせる花材となります。

この写真を見てお分かりになると思いますが、このドウダンツツジ、葉が細かく、紅葉がグリーンから赤へとグラデーションに変化しています。ドウダンツツジだけでも一つの商品になりうる、素晴らしい枝物です。
今回はこの紅葉したドウダンツツジの他に、紫陽花(アナベル)も入れてみました。アナベルも今年の出荷は今回で終わり、また来年まで見納めになります。

一方、市場に出始めてきたのが高く伸ばした石化柳。柳は冬の花材として代表的なものであり、石化柳の他にも雲龍柳や赤芽柳、行李柳等々、多くの種類が流通します。

行李柳を使った生け込みでは、行李柳の直線を生かし、溜めを作らずに真っ直ぐに生けてみました。一方、石化柳は独自の曲線(1本1本全て形状が違います)ですので、あえて高めに立体感を出すように生けてみました。
残念ながら写真では平面に見えてしまうのでちょっと面白みに欠けるような印象になってしまいますが、実際の生け込みでは、石化柳を立体的に生け込んでいます。

今回は花材の種類を抑え、ほぼ同系色でまとめてみました。紅葉しているドウダンツツジと溶け込むように染雪柳、高さを出した雲龍柳、中間に二本松市の武藤さんが栽培したスプレー菊を2種類、そして紫陽花(アナベル)です。
あえて「強いグリーン」の色を抑え、紅葉したドウダンツツジと色を繋ぐように、薄いグリーンのアナベルを取り入れました。
10月も後半となり、いよいよ冬に向かう直前の、秋の極地とも言える状況でしょうか。「紅葉」を全面に押し出しつつ、冬の花材の石化柳も使いながら、冬に向かっていく様を表現してみました。
(追記)

納品後、3日目の様子。
傷み等は全くありませんが、ドウダンツツジなどの枝物は水の吸い上げ量が多く、こまめに水を足さなければなりません。今回は、2Lほどの水を継ぎ足しました。