季節感に応じた花材選び⑤~晩秋を表現する~

 フラワーアレンジメントや生け込みは、漫然と制作してもきれいなものができません。やはり理論的な裏付けのある配色・構成から制作へのアプローチを行う必要があります。

 フラワーショップ アリスでは、補色や3色配色、彩度・明度などの視点から制作へのアプローチを行い、お客様にご満足いただけるような商品作りを目指しております。

 秋には秋らしい生け込み、春には春らしい生け込みと、季節感に応じた生け込みが必要になってきます。
 ここでは、晩秋にふさわしい生け込みについて、花材と色合いの関係を中心に話を展開していきます。

季節感に応じた花材選び⑤~晩秋を表現する~

 はや10月となり、街路樹も紅葉した様子が少しずつ見られるようになってきました。
 今回は「季節感に応じた花材選び⑤~晩秋を表現する~」をテーマに、早くも晩秋をテーマにした生け込みを行ってみました。

黄土色~オレンジの花材「豆柿」

 晩秋というと色のイメージは彩度を抑えた黄土色~オレンジがメインかなと思います。今回は、黄土色~オレンジの花材として「豆柿」と「ファーガス」を用意してみました。

 豆柿は珍しい枝物です。季節限定の花材となりますが、流通量が少なく、セリでもあまり見かけません。別名、信濃柿や小柿とも呼ばれています。渋柿の一種ですが、食用と言うよりは防腐作用のある柿渋を取るために生産されているほうが主となります。

 盆栽でも豆柿はありますが、こちらの枝物は約1m50cmほどの大きめのものとなります。

 今回は黄色に少し熟しかかっている豆柿を使用してみましたが、豆柿そのものが既に晩秋の雰囲気を醸し出しています。

 上記写真は豆柿の枝をノコギリで切っているところ。

 豆柿の枝そのものはそれほど堅い材質ではないため、縦に鋏で割る分にはそれほど抵抗なく割れます。枝物はもちろん全ての形状が違うため、1本1本をどう生け込むのかの創意工夫が必要となりますが、オアシスに入れる下部の20cmほどは直線の形状になっていた方がオアシスに固定しやすいです。

 今回の枝物は下部の10cmほどが曲がっていたため、その曲がっている部分を切り落として直線部分を作り出しています。

秋を表現するには欠かせない「ファーガス」

 続いてファーガス。ファーガスについては以前、ブログ記事「季節感に応じた花材選び④~深まりゆく秋を表現する~」や「秋の花材:ファーガス・フォックスフェイス」に詳細を記載しましたが、端的に言うとプリザーブドのブナの葉です。プリザーブドのため、数年単位で保ちます。

 実際、本当に紅葉した葉を使うと数日以内に散ってしまいますので、紅葉した葉は生け込みには適しません。紅葉(もみじ)なども実際その通りで、紅葉(こうよう)した紅葉(もみじ)は3日と保ちません。

 その点、ファーガスは数年単位で保ちますので、生け込みに全く問題なく使えますが、難点は値段の高さ。さすがプリザーブド処理しているだけあって、なかなかの高級花材です。

 ファーガスにも何種類かの色合いがありますが、今回は晩秋をテーマとしての生け込みですので、「黄土色」のファーガスを中心に生け込みました。

配色の構成「黄土色~オレンジと補色」

 続いて配色の構成。今回は晩秋がテーマですので、「赤」を使うよりも寧ろ「黄土色~オレンジ」を主軸とした構成が「晩秋」を表現するには適切であると考えました。

 黄土色やオレンジを主軸とした場合、その対比として補色の色合いになるのはブルー。12色の色相環図を見ても、ちょうどオレンジの反対側にブルーが位置します。今回は、この「黄土色~オレンジ」をより引き立たせるように、補色のブルーリンドウをポイントとして用いました。

 今回は色のバランスとして黄土色~赤・ピンクまでの色合いで全体の9割5分、そして5分ほどを補色のブルーを入れてみましたが、リンドウのブルーが黄土色~オレンジを引き立たせる補色としての役割を十分に果たしています。

 深まりゆく秋には「彩度の低い赤」をメインに、晩秋には「彩度の低いオレンジや黄土色」をメインに。こんな感じでテーマを決めて生け込むと、季節感のある生け込みが出来ると思います。

使用花材

・豆柿・ファーガス・リンドウ・紫陽花・染雪柳