季節感に応じた花材選び④~深まりゆく秋を表現する~
フラワーアレンジメントや生け込みは、漫然と制作してもきれいなものができません。やはり理論的な裏付けのある配色・構成から制作へのアプローチを行う必要があります。
フラワーショップ アリスでは、補色や3色配色、彩度・明度などの視点から制作へのアプローチを行い、お客様にご満足いただけるような商品作りを目指しております。
秋には秋らしい生け込み、春には春らしい生け込みと、季節感に応じた生け込みが必要になってきます。
ここでは、深まりゆく秋にふさわしい生け込みについて、花材と色合いの関係を中心に話を展開していきます。
季節感に応じた花材選び④~深まりゆく秋を表現する~

秋と言ったら焼き芋! サンマ! 栗ご飯!

十五夜にはススキも飾りましょうね

花より団子!

日が暮れるのも早くなり、秋の深まりが次第に感じ取れるようになってきました。
本日は「季節感に応じた花材選び④~秋の深まりを表現する~」をテーマに、秋らしい色合いや花材を使っての生け込みを行いました。
秋らしい花材の代表例
生け込みのトップに斑入りの縞ススキを据え、染雪柳である程度の形を作ってからの生け込みです。

中間には紫陽花とキングプロテア、ピンクのリンドウを入れ込みました。
キングプロテアは所謂ワイルドフラワーと総称される南半球で生育する珍しい花材の一つです。
これらワイルドフラワーは近年人気が出てきていますが、お値段もなかなかお高く、このキングプロテアはたった1つで店頭売り1600円(税抜き)もします。
単品で「キングプロテア下さい」とおっしゃるお客様はまずいませんが、これらワイルドフラワーを生け込みや花束に入れると、一際目立つ存在感を醸し出します。
脇役で光る「ワイルドフラワー」

こちらは先日投稿したブログでのワイルドフラワーの使い方一例。ピンクッションとリュウカデンドロンを使用しています。

当店の本日の陳列の様子。まさにワイルドフラワーづくし。多様なワイルドフラワーを並べてみました。
ちなみに今回の生け込みで使用した「キングプロテア」とは、この写真では左下のひときわ大きなうすピンク色の花となります。
薔薇や百合のようにメインの主人公とはなりませんが、脇役として強いインパクトを与えるこれらワイルドフラワー。値段は少しお高いですが、ありふれた花材ばかりではつまらない構成になる中で、脇役で光るタイプの花たちとなります。
秋を表現するには必須の「ファーガス」

続いてこれまた珍しい花材「ファーガス」。
ブナの葉を薬品で染めたものですが、しっとりとした質感で、紅葉(こうよう)した葉特有の「落葉(らくよう)」がありません。
これもなかなかお高く、上記写真のこれら計5本ほどのファーガスで、店頭売りまとめて2600円(税抜き)となります。

ファーガスはプリザーブドフラワーのように色が抜けません。1年以上この状態のままですよ
もっとも、「ファーガス下さい」と言われるお客様はまずいませんが、生け込みに生けると秋らしさが際立ちます。
深まりゆく秋とは

今回は他にツルウメモドキも使用してみました。
単品で購入するとなかなか値の張る構成の生け込みとなってしまいますが、「キングプロテア下さい」とか「ファーガス下さい」と言うお客様はまずいませんので、強いて言えば業務用の花材でしょうか。
今回は珍しい花材を取り入れながらも、深まりゆく秋を表現してみました。
「深まりゆく秋」とはやはり紅葉(こうよう)であり、実物でもありますからね。
使用花材
・縞ススキ・染雪柳・紫陽花・キングプロテア・ファーガス・リンドウ・ツルウメモドキ