季節感に応じた花材選び① ~夏の涼しさを演出する~

 フラワーアレンジメントや生け込みは、漫然と制作してもきれいなものができません。やはり理論的な裏付けのある配色・構成から制作へのアプローチを行う必要があります。

 フラワーショップ アリスでは、補色や3色配色、彩度・明度などの視点から制作へのアプローチを行い、お客様にご満足いただけるような商品作りを目指しております。

 秋には秋らしい生け込み、春には春らしい生け込みと、季節感に応じた生け込みが必要になってきます。
 ここでは、晩秋にふさわしい生け込みについて、花材と色合いの関係を中心に話を展開していきます。

季節感に応じた花材選び① ~夏の涼しさを演出する~

 TPO、所謂 Time(時間)・Place(場所)・Occasion(場合)に応じて、適切な服装や言動などを取ることが社会生活では必須ですが、店舗の生け込みなどにおいても、季節感を踏まえての花材選びや構成が大切になってきます。

 暑い夏には涼しさを、冬の寒さには暖かさを、晩秋には黄昏(たそがれ)を。そんなテーマで毎回生け込みを作っていますが、今回は夏の涼しさを感じ取れるような生け込みを演出してみました。

夏の涼しさを演出するための使用花材

 今回のメイン花材は奥から順にドウダンツツジ、グリーントルコキキョウ、カンパニュラ、アルストロメリア、ダリア(ムーンストーン)となります。他に、リアトリス、デルフィニウム シネンシス、アレカヤシ、ドラセナも使用しました。

「ダリア」

 ダリア(ムーンストーン)は、美しい紫色のダリアです。紫は暖色でも寒色でもない中性色との位置付けです。夏の涼しさを演出するためには、こういった紫や寒色系のブルーを基調にしますが、葉物としてのドウダンツツジの生け方にも工夫が必要です。

視覚的なアプローチ

 生け花でもそうですが、実際には風が吹いていないのに風が吹き込んでいるような、そんな生け方。或いは大幅に葉をカットし、風が今にも抜けそうな空間を作ることが視覚的にも大切になってきます。

 今回は右上のリアトリスから吹き込んだ風が、真ん中のドウダンツツジを通り、左下に抜けるイメージで枝を配置しました。

TPOを意識したスタンド花

 話は変わりますが、こちらは書道展でのお祝いのスタンド花。

 お祝いのスタンド花なので、当然ながら華やかな色合いの薔薇やひまわりも使用しますが、今回は「和」がテーマです。本来であればアレカヤシを使用するところを、TPOに沿って枝物(ドウダンツツジ)を使用しました。

まとめ

 今回は「季節感に応じた花材選び①~夏の涼しさを演出する~」をテーマに、寒色系や葉物・枝物を中心に生け込みを行いました。ただ、赤などの「暖色系」も一部に使わないとつまらない色合いになると感じたため、赤と白の複色のアルストロメリアをポイントで使用しました。

 この辺は制作者それぞれの感覚ですね。もっとAIが進化すれば、アレンジや生け込みの写真などから最適な色の組み合わせや比重が出るのかもしれませんが、まだ技術的にも需要的にもそこまで求められていないのでしょうか。花材の組み合わせは最終的にはその人その人の感覚による部分が大きいかと思います。


 (もちろん当店は花屋なので、当然ながらお客様のご予算があり、その範囲の中から最大限の季節感に沿った組み合わせを、数百種類・数千本の花材の中から考えなければなりませんが。)

 まあ、ここが生け込みを作成する面白さ、ひいては花屋の面白さかもしれません。

使用花材

・ドウダンツツジ・リアトリス・カンパニュラ・アルストロメリア・デルフィニウム シネンシス・ダリア・アレカヤシ・トルコキキョウ・ドラセナ