コロナ後の変化~生産者の単一商品作物からの脱却の流れ~

 菊の一大産地は愛知県の渥美半島、全国で有名なかすみ草の産地は福島県の昭和村など、これまでは長年培った技術を基に、単一商品の規模拡大と品質向上を目指しながら、単一商品に特化して事業を進めている産地が多く見られました。

 しかしながら今回のコロナ災禍により、結婚式などのイベントの消失、葬儀の大幅な縮小などが発生し、単一商品で全国的なシェアを拡大していた大規模生産者が苦境に立たされました。

 愛知県渥美半島の菊部会では、秀品以外を全量廃棄処分し、価格維持に努めたとの話を伺っていますが、需要が消滅してしまった昨今では、これまでのような単一商品の生産・販売ではどうしようもない状況に陥っています。

 今回はエリンジュームも生け込みましたが、このエリンジュームは国産です。これまで、エリンジュームに関しては基本的に輸入品が大部分を占めていましたが、近年、こういった葉物・実物・草物も国内の生産者が積極的に生産するようになってきています。更に今回のコロナ災禍で、単一商品から葉物・実物・草物などを含めた複数種への作物栽培の転換の流れがより加速しております。

 先日訪問した百合生産者・山形県の池野さんも、従来から百合メインで生産を行っていましたが、今年は圃場の一部でユーカリなどの葉物の生産も開始していました。

 近年はエリンジュームに代表される葉物・実物・草物の需要が高まってきており、Instagramなどでアレンジなどを見てみますと、従来のバラ・かすみ草メインの組み合わせだけではなく、葉物・実物・草物を多用したものも人気が出ています。

 先日、市場(福島花卉)の社長と話をした際、大田花卉の市場調査専門の方が講演を行ったそうで、その話の中で、これからは葉物・実物・草物の需要が高まりますとの話があったそうです。

 講演会に参加していた方々は、本当に流行るのか?などの疑問を持っていたそうですが、世の流れ的にはそちらの方向にシフトしているような気がします。

 ランチェスター経営戦略で著名な竹田陽一先生の著書を読みますと、売れ筋や売れる商品は変わっていくので、時代を読んで対応しなければならない旨が詳細に記載されています(ランチェスター経営戦略 第7部 商品戦略)。

 もちろんそれは花に限らず、どの業界・業種にも当てはまることですが、私自信もアンテナを伸ばし、情報発信も併用しながら、時代に応じた花作り(アレンジや花束)等を追求していかなければと痛感しております。

 幸い、積極的に産地に伺っていますので、生産者サイドでの花の見方・考え方も聞きながら、加工・販売側(花屋)の意見も伝えつつ、有意義な交流を行っています。併せて、現代はYouTubeやInstagramなどのメディアが発達していますので、それらを併用しつつ、今後もブログ等で随時発信していきたいと考えています。

 今回は、エリンジュームの他に、珍しい花粟も生け込んでみました。上記の写真でどこに花粟があるか、分かりますか?

 花粟はこの写真の中では黄緑色の花になります。

 また、紫色の花はカリナディープブルーと呼ばれるハイブリッドスターチスです。これまで見たことのない商品でしたが、あまりにもきれいなので急いで競り落としました。こちらは北海道産となります。

 以前述べましたように、当店では積極的に国内産を応援するために、基本的には国内産をメインで仕入れております。ただし、季節的にどうしても入手不可の商品、或いは高品質なものに限っては、国外の花卉も取り扱っております。

 2020年にパラダイムシフトが起こり、時代が大きく変わるとの話は大分昔からネット上では話題になっていましたが、今回のコロナ災禍で花卉業界も大きな転換を迎えているように思えます。

 今回の生け込みでは、葉物・実物・草物をメインに行いました。20年前にはこういった組み合わせではなく、所謂バラ・かすみ草メインの「華やかな」生け込みが主流だったように思われます。もっとも、20年前、ひいては30年前には、ここまで多様な品種・色合いはありませんでしたが・・・。

 もちろん、バラ・かすみ草を否定している訳ではありませんし、当店も積極的にこれらの花材も使用していますが、価値観の多様化・時代の変遷により、売れる商品・人気の商品も変わってきたように感じます。

(使用花材)
・ドウダンツツジ(福島県産)・ひまわり(茨城県産)・リンドウ(千葉県産)・エリンジューム(福島県産)・ハイブリッドスターチス(カリナディープブルー・北海道産)・花粟(福島県産)・雪柳(福島県産)・ロベ(東京都八丈島産)