コロナ後の変化~グローバリズムから国内回帰と地産地消へ、そしてデフレからインフレへの転換へ~

 コロナ禍がもたらした不確実性の中、私たちの生活やビジネスにおける「人・物・金」の動きが大きく変わってきました。特に、花卉業界もこの変化から逃れられない現実を迎えています。

 本ブログ記事では、コロナによる航空便減少から胡蝶蘭の市場変動、そして日本の花卉業界の今後の展望について、深く触れていきます。

 グローバリズムの影から国内への回帰、地産地消の重要性、そしてデフレからインフレへの転換といったトピックを中心に、花卉業界がどのように変化しているのか、その実態とともにお伝えします。

コロナ後の変化~グローバリズムから国内回帰と地産地消へ、そしてデフレからインフレへの転換へ~

コロナが及ぼす日本の半鎖国状態

 2020年初頭にコロナが国内で報道された後、第一波から第二波、第三波と続いていますが、未だに収束の気配が見えません。

 コロナ報道後、「人・物・金」のうち、まず「人」の流れが止まり、それが物流にも大きな影響を及ぼしています。
 日本も各国同様、コロナの対応に追われていますが、現状では多くの国と相互に入国制限措置を取っており、謂わば半鎖国状態となっています。人の流れが止まったため、航空便の便数が大幅に減り、その結果、花卉業界にも大きな影響を及ぼしています。

胡蝶蘭の市場変動

 現在、胡蝶蘭が切り花・鉢物ともに大幅に入荷が減っております。鉢物の胡蝶蘭の多くは苗を台湾で作り、それを国内の生産者が輸入し、それぞれの産地で育てて出荷する構図となっています。しかし現在はコロナの影響で航空便が飛ばず、苗の入荷数量が減少しています。そのため、鉢物の胡蝶蘭の入荷が少なくなっており、必然的に価格も上昇傾向となっております。

 また、切り花の胡蝶蘭も台湾産や中国産などの輸入物が多く入荷していましたが、やはりコロナの影響で航空便が飛ばず、入荷量が減ったために価格が上昇傾向となっています。

国内生産の品質と供給量の問題

 弊社では基本的に輸入品は使わないのですが、台湾産の胡蝶蘭やオンシジュームなどは品質が比較的高く、量も確保できるため、これらに限っては弊社でも積極的に取り扱っています(国内産オンシジュームは静岡県の一部など、生産地・生産量が極めて限定されており、通年での確保が難しい点があります)。

インフレの影響と輸送費の高騰

 しかしながら安価な輸入花卉の減少は、国内の花卉生産への回帰にも繋がっておりますが、価格の上昇傾向にも繋がっており、花卉の仕入れに関してはデフレからインフレへ転換したのを肌で感じています。

 また、国内の運送料も値上がりしており、先日ブログで取り上げた熊本県産のかすみ草や長崎県の大輪ガーベラなども、輸送費を加味すると採算が合わず、価格交渉で難儀し、入荷が止まっているものもあります。

生産者の多品種生産へのシフト

 一方で、以前ブログ記事「コロナ後の変化~生産者の単一商品作物からの脱却の流れ~」で記載したように、単一商品で勝負する産地が苦境に立たされています。

 そのため、例えば山形県の百合生産者、池野さんは今年から百合だけでなく、一部ではありますがユーカリも併せて栽培するようになりました。池野さんはコロナの影響でブライダル需要が減少したたため、ユーカリも含め、百合以外の品種も栽培する方向で取り組んでいます。

 これらの生産者の動きが結果的に海外からの花卉輸入減少分をカバーし、葉物類を含めた多品種生産の国内回帰へと繋がっています。

地産地消の重要性と展望

 また、輸送費の高騰が結果として地産地消による地元での消費行動へと繋がってきており、先述の池野さんの百合や二本松の武藤さんのスプレー菊など、近隣県や福島県で生産したものを当店でもより積極的に使用する方向にシフトしています。

 二本松の武藤さんはスプレー菊以外にも、ヒマワリや葉ボタン、ストックなども生産しており、まさしく地産地消を具現化するような動きとなっています。

パラダイムシフトの訪れと業界の変容

 パラダイムシフトが2020年に訪れるとネットの掲示板で今から5年以上も前から話題になっていましたが、まさかコロナがここまで社会に影響を及ぼすとは考えもつきませんでした。

 そして一度できたこの流れは止まることなく、より加速するように感じています。グローバリズムから国内回帰へ、そして地産地消へという流れ。一方で、30年続いたデフレからインフレへの転換が今、訪れています。

 社会の構造も、そして人々の考え方も、今後ますます時代に対応しながら変化していくと思われます。私自身も、花卉業界の一員として、時代に即しながら臨機応変に対応しつつ、よりベストな方向へと進んでいかなければならないと考えております。

この記事を書いた人

菊地充智
菊地充智代表取締役社長
 こんにちは。フラワーショップ アリスの代表取締役、菊地 充智と申します。
 福島県本宮市出身で、元々は教員として子どもたちの教育に尽力していました。その経験は私にとって大切な基礎となり、人と心を通わせる重要性や、強い絆を築くことの意味を深く理解させてくれました。

 2007年、私は新たな挑戦としてフラワーショップ アリスに加わりました。それ以来、花々と共に日々成長し、お客様に最善のサービスを提供するために常に努力しています。
 そして、花の美しさとそれぞれの物語をより深く理解し、お客様に届けるため、全国の花の産地を訪れています。

 私の経営理念は、お客様に最高の満足を提供し、常に改善と修正を行いながら、お客様にとってベストの選択を追求することです。この理念は、私が書く文章にも反映されています。

 皆さんが私の記事を通して、花の世界の美しさや、そこに込められた物語を感じ取っていただければ幸いです。それが私が記事を書く大きなモチベーションとなっています。どうぞよろしくお願いいたします。

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