【花卉業界の変化】インフレが及ぼす影響と地産地消への取り組み
2020年11月23日に弊社ブログ記事「コロナ後の変化~グローバリズムから国内回帰と地産地消へ、そしてデフレからインフレへの転換へ~」でお伝えした変化が、いよいよ市場や生産者も巻き込み、地産地消へと具現化してきました。
昨今は当時の予想通りインフレが急激に進んできており、今現在、ガソリン価格も1L180円を超えるぐらいまで値上がりをしてきました。
更に追い打ちをかけるのが、「2024年問題」と呼ばれるトラックドライバーへの残業時間に強制力のある制限がかかることにより、物流が大幅に滞る懸念が生じていることです。
「2024年問題」についての賛否についてはここで論じることはありませんが、これらの影響により花卉業界がどのように変化していくのか、具体的な事例でお伝えしようと思います。
【花卉業界の変化】インフレが及ぼす影響と地産地消への取り組み
「2024年問題」以前の話として、コロナの前後から物流コストが大幅に上昇してきており、更に追い打ちをかけるように段ボール等、その他資材も大きく値上がりしてきています。
そのため、これまで当たり前のように北は北海道から南は沖縄まで、列島を横断する形で様々な産地から「花」が届いていましたが、物流コストの上昇等が価格転嫁という形で吸収できず、遠方の産地からモノ(花)が届かないという状況が多くなってきました。
これは福島市にある市場「福島花卉」だけが特別だというではなく、例えば鹿児島県の沖永良部(おきえらぶ)で生産しているグラジオラスが、年間で取扱量がかなり多い北海道の市場に出荷をしない判断をするなど、各産地が急激なコスト上昇を吸収できない各卸売市場への出荷を止める動きが続出しています。
地産地消への移行
これらの状況は業界の変化にアンテナを張っていれば、2020年頃には容易に予見できたことであり、弊社ブログ記事でもお伝えしたとおり、今後は地産地消への流れに移行すると私自身は考えておりました。
つまり地産地消への移行は、当地福島県を例に取ってみると、これまで東京や関西まで出荷されていたもの(花)が相当量、地元で消費する流れになるということです。
例えばこれまで、浜通りの生産物の多くは東京に出荷され、東京でセリにかけられていましたが、ものによっては「まわりもの」と業界で呼ばれるように、再度福島県に流れてくることがありました。それを、福島県で直接セリにかけられるルートを作ろうという取り組みが、直近になって具現化してきました(資料1)。
浜通りの花
以前、弊社ブログ記事『オリンピック「ビクトリーブーケ」とトルコキキョウ』でお伝えしたJINフルールさんが栽培したトルコキキョウのように、いいものを作る生産者・やる気のある生産者が浜通りにも多くいます。
福島花卉の担当者の方からは、将来的に浜通りだけでなく、会津地方などにもこの取り組みを広げていきたいと話を伺いました。
取り敢えず今回は「2024年問題を踏まえての流通効率化:試験輸送」という形ですが、私も産地訪問を通して、直接、生産者の方々の熱い想いを伺おうと考えています。
結びに
私たちが直面しているこれらの課題と変化の中で、花卉業界がどのように変化し、持続可能な未来を築いていくのかは、単なる業界の問題ではありません。それは私たち一人ひとりの生活の中にも密接に関わっています。
地域で生産された美しい花々が、私たちの身近な場所で取引され、手に入れやすくなることは、コミュニティ全体の絆や地域の活性化にもつながります。
今後も、地産地消を促進し、より持続可能な取り組みを推進していきたいと個人的に考えています。しかし、これは業界だけの力では実現できません。消費者としての皆さまの理解と協力が不可欠です。
最後に、あなたは地産地消にどのような期待を持っていますか?是非、コメント欄やSNSを通じて、私たちと共有してください。皆さまの声を業界の未来を築く糧として、前進していきたいと思います。
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この記事を書いた人
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こんにちは。フラワーショップ アリスの代表取締役、菊地 充智と申します。
福島県本宮市出身で、元々は教員として子どもたちの教育に尽力していました。その経験は私にとって大切な基礎となり、人と心を通わせる重要性や、強い絆を築くことの意味を深く理解させてくれました。
2007年、私は新たな挑戦としてフラワーショップ アリスに加わりました。それ以来、花々と共に日々成長し、お客様に最善のサービスを提供するために常に努力しています。
そして、花の美しさとそれぞれの物語をより深く理解し、お客様に届けるため、全国の花の産地を訪れています。
私の経営理念は、お客様に最高の満足を提供し、常に改善と修正を行いながら、お客様にとってベストの選択を追求することです。この理念は、私が書く文章にも反映されています。
皆さんが私の記事を通して、花の世界の美しさや、そこに込められた物語を感じ取っていただければ幸いです。それが私が記事を書く大きなモチベーションとなっています。どうぞよろしくお願いいたします。
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