当店では、生産者の思いや考えを知り、その熱い思いをお客様にお届けできればと考え、不定期ではありますが全国の産地訪問をさせていただいております。

 花の産地はなかなかお目にかかることがないと思います。この機会に是非ともご覧下さい。

目次

産地との連携

~静岡編~

静岡県藤枝市、JAおおいがわ(2023年)

 2023年1月20日から21日かけて、静岡県藤枝市にある「JAおおいがわ」と各生産者の圃場にお伺いしました。

 JAおおいがわにはおよそ12年ほど前に一度お伺いさせていただき、その後、現在に至るまで生産者の方々とも交流が続いております。しかし残念ながら、前回の訪問時に撮影した画像データが消失してしまったため、今回初の「静岡編」として掲載させて頂きます。

 ちなみに「JAおおいがわ」は静岡県に流れる大井川から取った名前であり、その大井川の周辺にある藤枝市や島田市、吉田町などの生産者で「JAおおいがわ」の部会を作っています。

 JAおおいがわの協議会開催時にJAおおいがわの集荷場にひとまず集まりましたが、入り口には新品種が多数陳列されていました。その中で、特に私が注目したのは、黄バラ「ゴールデンハート」と「バウンティウェイ」、そしてガーベラ「シック」でした。

 現在は試作品の段階だと思いますが、これらが流通した際には是非とも店頭に揃えたいと考えております。

JAおおいがわ 菊部会

 JAおおいがわ 菊部会では、村松さんの圃場を見させて頂きました。
 おおいがわの菊は品質が良く、弊社でも積極的に取り扱っております。

 一輪菊もそうですが、現在は水やりも全ての圃場で自動化されており、下の写真のようにミスト状の水が一定間隔(一定時間)で出ています。

 一輪菊で特に大変なのは「芽かき」の作業です。一般的に流通する一輪菊は、何も手入れをしないと複数の花芽が出、多数の花が咲きます。一輪菊を作る際には、それを手作業で一つ一つ取り除き、一つの花だけを咲かせます。

 花が咲く前は下の写真・左下のような状態となりますが、ここから花芽を一つだけ残し、残りは取り除いていきます。

 右下の写真は本来一つの花芽だけ残すところを、取り切れずに2つの花芽が残って成長した状態。
 昔は「二輪菊」としてこのような花の状態でも流通していましたが、現在はあえて「二輪菊」として出荷している生産者はほとんどいません。

 下の写真は村松さんの圃場脇にあったレッドウィロー。レッドウィローもこの枝を一本一本切って出荷していきます。

JAおおいがわ 一般花卉部会・切花専門部会(ラン)

増田さんの「ラン」

 JAおおいがわ 一般花卉部会・切花専門部会では、「ラン」と「ブバルディア」の圃場を見させて頂きました。

 まずはランの生産者として増田さんの圃場から。
 増田さんは芳香性オンシジューム「スイートフレングランス」やオンシジューム「ハニードロップ」、そして増田氏自身が育種し出荷しているイオノシジューム「ももちゃん」などがあります。

 下の写真はスイートフレングランスの色違い。スイートフレングランスは芳香性のため甘い香りがします。どちらとも同じ香りがしますが、増田さんが主に出荷しているのは左側の赤い方となります。

 もっとも、スイートフレングランスそのものの生産は全国でも増田さんぐらいしかいないため、希少種となっています。

 スイートフレングランスの葉は下の写真のように黒い点々があります。てっきり、寒さで傷んだのかと思い質問してみましたが、この葉の色が標準だそうです。

 また、あえて株の周りに生えた雑草は抜かないとのこと。水が不足するとこの雑草たちが真っ先にしおれてくるため、それが目に見える合図として水やりのタイミングを教えてくれるそうです。

 また、雑草と併用して下の写真の「スパニッシュモス」も株の周りに置き、この状態からも水やりの判断を行っているそうです。

 下の写真はオンシジューム「ハニードロップ」など。オレンジのオンシジュームもありますが、このオレンジのオンシジュームを株分けして何年も生産していると、「黄色」のオンシジュームに変異する場合もあるそうです。

 下の写真は増田さんが育種したイオノシジウム「ももちゃん」。淡いピンク色が特徴的な、品のあるランです。原種のイオノシジウムとオンシジュームを何度も掛け合わせ、十年かけて作り上げた品種となります。

 この「ももちゃん」はフラワーショップ アリスでも取り扱っていますが、この品種の生産は全国でも増田さんのみの超希少種となっています。

イオノシジウム「ももちゃん」を使ったアレンジメント

 下の写真はイオノシジウム「ももちゃん」を使ったアレンジメント。
 線が細いため、ポイントとして使用しています。濃いピンクの八重桜やオレンジのエピデンドラムとは対照的に、ふわっとした柔らかい印象が特徴的な花材です。

神部さんの「ブバルディア」

 続いて神部さんの「ブバルディア」。
 ブバルディアそのものの圃場は初めてだったので、たいへん興味深く見させて頂きました。

 ブバルディアそのものはあまり他社では取り扱っていないと思いますが、フラワーショップ アリスでは年間を通して、この大井川のブバルディアをかなりの量取り扱っています。

 ブバルディアは苗から分岐した枝を収穫していきます。そのまま放置すると多数の枝が出てきますので、間引きしていきます。一つの苗(木)に6~8本の枝を残し、およそ2~4ヶ月かけて収穫していきます。

 ブバルディアは日照量が必要です。恐らく福島県では冬期間の日照量が足りないため、生産が不適だと思われます。また、ハウス内の最低温度は12度。夜中でも冬でも、12度を下回らないように調整しているとのことでした。

 ブバルディアそのものは、全国でも生産量が非常に少なく、生産者も限られております。ただ、アレンジ等に使うにはなかなか面白い花材ですので、上記のようにアリスでは、このブバルディアを常時切らさないぐらい豊富に取り扱っております。

JAおおいがわ ガーベラ部会

 JAおおいがわのガーベラ部会では、田代さんの圃場を見させて頂きました。田代さんの圃場はおよそ12年前にも見させて頂きましたが、非常にやる気のある生産者です。12年ぶりの訪問となりましたが、この12年の中でも設備投資を積極的に行い、効率化をどんどんと推し進めていました。

 田代さんの圃場でまず特徴的なのが水耕栽培を導入している点。これは12年前もそうでしたが、仮に株が病気になった場合、土耕では一気に病気が広がってしまうところを、被害を最小限に抑える工夫もしています。

 また、水や温度の管理をほぼ自動化・オートーメーション化し、異常があった場合に自身のスマホへ通知する機能を導入しました。これにより人件費等を大幅に削減することに成功しています。

 更に昨今は極力農薬を減らすようにしており、海外で生産した無害のダニを増やし、そのダニで自然発生するダニを食べてもらう、一種の有機農法を取り入れております。

 ちなみに下の写真は海外で生産した無害のダニの卵が入った袋。これは他の生産物で有機農法として取り入れられていますが、それをガーベラ生産にも導入し、有害の葉ダニなどを駆除するのに使うとのことでした。

 下の写真はガーベラの一輪一輪に袋をかぶせる機械。そして収穫したガーベラを出荷するために保管する冷蔵庫。

 先述のように田代さんは機械化の設備投資にも積極的で、これらを総合的に行うことにより、省力化と大量生産に結びつけています。

 ちなみに染めガーベラは真っ白のガーベラで行うと思っていましたが、左下の写真の淡いピンク色のガーベラの方が、よく染まるそうです。

JAおおいがわ バラ部会

 JAおおいがわ バラ部会では柴田さんの圃場を見せて頂きました。

 およそ12年前に訪れた時には、バラの生産者では土耕が大半だった印象を受けていましたが、現在は写真のような水耕栽培を導入しています。

 水耕栽培のメリットはいくつかありますが、その中でも土壌からの病原菌の侵入が無いため、日持ちのするバラが生産できることも挙げられます。

 大井川のバラは比較的欠品が少ない印象を持っており、バラ100本花束など大量に使用する場合には、ここ大井川産のバラをフラワーショップ アリスでは積極的に使うようにしています。

 品質も安定しており、自信を持っておすすめできるバラとなっております。

 ちなみにハウス内の温度は昼の11時頃に28度でした。1月の福島県郡山市とは全く違う温度となっていました。もちろん、大井川といえども、暖房を使用して温度を上げています。

 ちなみに静岡県は暖地のため、山の斜面も隅々まで有効利用されており、一面には茶畑が広がります。ここが寒冷地の福島県とは違うところ。暖地がうらやましいとつくづく感じます。

JAおおいがわ トルコギキョウ部会

 JAおおいがわ トルコギキョウ部会では、八木さん・水野さんそれぞれの圃場を見せて頂きました。

 主に11月から6月に出荷をしています。白・ピンク・ブルーが中心で栽培されていますが、話を伺うと作りやすい品種、そして作りにくい品種があるとのこと。

 フラワーショップ アリスでは下の写真のような「淡いブルー」のトルコギキョウが欲しいのですが、この色合い・品種は相対的に作りにくい品種であるとのこと。
 そのため、どうしても多色に比べて生産量が少ないとのことでした。

 生産者の作りやすい品種と、実際に業務で使う花屋が必要な品種・欲しい色合いはミスマッチをすることも往々にしてあります。
 逆に言うとこのような交流の場での生産者と花屋との情報交換が、非常に大切であり必要だと常日頃から感じています。

 ちなみに上の写真の淡いブルーのトルコキキョウは2月中旬頃に出荷になるとのこと。さっそく注文をし、フラワーショップ アリスへの出荷をお願いしてきました。


 今回は懇親会も含め、2日間に渡っていろいろと情報交換をする機会を設けていただき、たいへんありがとうございました。JAおおいがわの花卉協議会も4年ぶりとのことで、非常に密度の濃い2日間を送らせて頂きました。

 これからも積極的に静岡県大井川産の花を使っていきたいと考えております。この度は有意義な2日間を送らせて頂き、たいへんありがとうございました。

~埼玉編~

埼玉県本庄市、モテギ洋蘭園(2022)

 2022年6月25日、埼玉県本庄市のモテギ洋蘭園へお伺いしました。
 モテギ洋蘭園の胡蝶蘭は全国でもトップクラスの品質であり、フラワーショップ アリスでも年間でかなりの数量を取り扱っています。お客様に商品説明をするにしても、とにかく一度伺ってみなければならないと常日頃から考えており、やっとのことで今回、訪問が実現することとなりました。

 訪問して最初に驚いたのがその規模。小学校や中学校の体育館ぐらいの広さのビニールハウスに胡蝶蘭がびっしりと隙間無く置いてあり、なんとそのビニールハウスが19棟もありました。

 最終的に全てのビニールハウス内を案内させて頂きましたが、かかった時間がなんと2時間。そして働いている方々が埼玉県本庄市のモテギ洋蘭園で約80名、そして台湾で約20名。総勢約100名が胡蝶蘭作りに携わっていることに非常に驚きました。

 こちらは胡蝶蘭にワイヤーを入れて仕立てる現場。一人前の職人になるためには最低でも3年はかかるとのこと。

 モテギ洋蘭園の胡蝶蘭の特徴は、成長剤を使用しないこと。そのため、苗の生育期間が20か月以上かかりますが、品質が良く、長持ちのする胡蝶蘭に仕上がります。

 ちなみに成長剤を使用すると苗の生育期間は約16か月と、成長剤を使わない場合に比べ4か月ほど短縮されるとのことですが、とにかく品質にこだわるために成長剤を一切使用しないで生育しています。

 モテギ洋蘭園は台湾に自社工場を持ち、そこで苗を生産しています。台湾での苗の生育期間はトータルで約27か月。そして台湾で育った苗を埼玉県本庄市のモテギ洋蘭園に送り、そこで花芽を出し、最終出荷までに要する期間が約7か月。合計約34か月(約3年)の月日をかけて生産しています。

 胡蝶蘭の値段が他の切り花や鉢物に比べ高額なのは、生育に約3年の月日とそれに関わる人件費や設備の維持費、そして冷房等に使われる電気代、そして冬場の重油代等が加味されるためです。

 ちなみに胡蝶蘭の生産現場では、25度を超えないように、かつ18度を下回らないようにしています。この日訪れた時の外気温は6月としては記録的な約40度。冷房をフル稼働して温度調整をしていました。

 実際に成長途上の株を触らせてもらいましたが、しっとりと、かつ弾力が出ています。また、株には新たに根も張っている様子も見られます。ちなみに新しい根は写真4枚目ではっきりと分かりますが、白い部分です。

 成長途上は茎の芽かきも必要です。1株1株を見ながら、手間暇をかけて育て上げていきます。
 また、天候により温度管理も必要になりますが、全てをオートメーション化するのではなく、熟練職人の「勘」と「経験」により調整を行っています。

 この黄色のミディ胡蝶蘭は「フォーチュンザルマン」。なんと今から150年前にドイツで開発されたもののようです。150年前というと明治初期。日清戦争の20年前というと、なんだかすごい話です。

 毎年数万株を育てると、中には突然変異が起こり、色が変わる変異株も出てきます。写真左側の「ミラクル」はその突然変異で起こった株を商品化したもの。右側の写真の原種から変異したものです。

 「ミラクル」は生産数量がまだ非常に少なく、福島県では全く入荷がありませんが、来週フラワーショップ アリスに送ってもらうように頼んできました。福島県では初入荷となりますので、非常に楽しみです。

 出荷前の胡蝶蘭。この後、箱詰め等が行われ、各市場へ出荷されます。

 こちらがもともとの苗。胡蝶蘭はもちろん「種」などというものは無く、親株からクローンで複製し、この苗の状態にします。この状態が出発点であり、ここから成長させ、大きな胡蝶蘭になるまで育てます。

 箱詰めされ、出荷を待つ胡蝶蘭。ここから全国各地に発送されていきます。

 真ん中のミディ胡蝶蘭が先程述べた突然変異でできた新品種「ミラクル」。来週にはフラワーショップ アリスにも入荷します。
 福島県初入荷、非常に楽しみにしています。

 最後にモテギ洋蘭園社長(写真一番右)の茂木さんと福島花卉の社長(写真右から2番目)、福島花卉専務(写真一番左)との記念撮影。

 モテギ洋蘭園の社長と直接話をすると非常に視野が広く、ビジョンの大きい話をされるので、非常に感銘を受けました。もともと茂木さんのご実家は農家だったそうで、茂木社長1代でここまで大きな会社を育てられたことにもたいへん感銘を受けました。

 この度はモテギ洋蘭園様の全面協力のもと、訪問させて頂く機会を頂き、たいへんありがとうございました。

追記:胡蝶蘭「ミラクル」、県内初入荷!

 2022年7月5日、ついに胡蝶蘭「ミラクル」福島県内初入荷しました。間近で見ると、オレンジの色が全体にかかっている訳ではないですね。ほのかなグラデーションのような感じが、なんとも言えない美しさを感じます。

モテギ洋蘭園の胡蝶蘭の切り花

 モテギ洋蘭園では、胡蝶蘭の切り花も取り扱っています。
 写真の胡蝶蘭はモテギ洋蘭園のミディタイプのピンク胡蝶蘭。

 これまでモテギ洋蘭園の切り花の胡蝶蘭は他市場に流れており、福島花卉には全く入荷がありませんでしたが、フラワーショップ アリスでは定期的にモテギ洋蘭園のミディタイプ(切り花)胡蝶蘭を取り扱うことにしました。

 写真はさっそく入荷した切り花の胡蝶蘭をアレンジに入れたところ。淡いピンクが全体の中でポイントとして目に飛び込み、更に胡蝶蘭を入れたことで、豪華さがより際立ってきました。

 これからも産地訪問を通して、いいものはどんどん取り入れ、少しでもお客様に還元していきたいと考えております。

埼玉県深谷市、JA深谷ゆり部会(2022年)

 2022年6月25日から26日にかけて、埼玉県深谷市にあるJA深谷ゆり部会様へお伺いしました。
 副部会長の関和さんとは、かれこれ10年以上お付き合いさせてもらっており、百合で分からないことがあった時には直接電話をするなど、いろいろと助けてもらっています。

 深谷市で百合を生産している方が加入しているJA深谷ゆり部会は総勢20数名の方々で構成されており、若い方を中心に意欲的に生産を行っています。

 非常に品質の高い百合を生産しているため、フラワーショップ アリスでも長年、JA深谷ゆり部会の方々が作った百合を取り扱っております。
 今回はメンバーの中心である6名の方の圃場を見させて頂きました。

 訪問した日はなんと外気温39度超え。隣接している群馬県伊勢崎市で史上初の6月40度超えを記録しましたが、ほぼ隣の市のため、ほとんど変わらない気温となっています。

 ハウス内は扇風機で風を循環させ、側面を開けながら、遮光カーテンも併用して百合を栽培していました。

 作物生産には天候のリスクもあり、7年前は80cmを超える大雪によりハウスが重みで潰れる被害がありました。
 そして直近では雹(ヒョウ)による被害も起こり、ビニールハウスの天井が破れ、百合にかなりの被害が出る状況に陥りました。上記2枚目の写真はハウスの天板が割れて落ちたもの。修繕にも多額の費用がかかります。

 ヒョウが百合の葉に直撃すると写真3枚目のようになります。花の蕾に当たっても同様です。この状況になると出荷できないため、損害も大きくなります。

 LA百合はオレンジと黄色、そして従来はスペシャル品種として出てきましたが、今は生産量が多くなってきた複色の「ザニカ」などが中心です。

 試験栽培も行われており、こちらは新品種の真っ赤のスカシユリ「エスケープ」。50本ほどの試験栽培とのことですので、出荷できるようになったら全量買い取りますと伝えてきました。
 7月中~下旬頃に出荷できるそうなので、非常に楽しみにしています。

 試験栽培は不定期で行われますが、試験栽培で栽培される珍しい百合もフラワーショップ アリスへ送ってもらうよう頼んできました。生産者の方々はユーザーの意見も必要とのことですが、なかなか情報が作り手に来ないそうです。その一助になれればと考えております。

 こちらはオランダから輸入された球根。夏場は右側の写真のように芽を5cmほど出してから定植します。

 有機肥料として藁(ワラ)も使っています。右側の写真は出荷用の段ボールや肥料が積み上がっているところ。近年は段ボールも肥料も何もかも高騰しているため、生産したものを安く売ると赤字に直結してしまいます。

 JA深谷ゆり部会の方々はとにかくいいものを作ろうと熱心に取り組んでいますので、当然ながら私たち花屋側もいいものをより高く評価していかなければなりません。

 市場への出荷前に、液肥を吸わせます。この液肥を吸わせることによって、花がよりきれいに、咲ききるようになります。
 昔は夏場の黄色のLAユリにおいて蕾のまま咲かないこともあったのですが、この液肥処理によってかなりの改善が見られるようになり、私たち花屋側も安心して使うことができるようになりました。

結びに

 2日間に渡り、JA深谷ゆり部会の方々には大変お世話になりました。夜も飲食を共にしながら、品種選定や将来の方向性について熱く語り合う事ができました。また、貴重な話も伺いました。こちらもたいへん勉強に、そして励みになりました。この度は快く訪問を受け入れて頂き、たいへんありがとうございました。

 また折を見て再度お伺いさせて頂こうと考えております。その際はよろしくお願い致します。
 試作品種も随時使ってみた後、フィードバックの形でお伝え致します。これからも素晴らしい百合の生産を期待しております。

~追記~

 本日(2022年7月13日)、試作栽培の新品種「エスケープ」が届きました。開くとどんな感じになるのか、とても楽しみです。

試作栽培の新品種「エスケープ」を使ってみて

 試作栽培の新品種スカシユリ「エスケープ」をさっそく使ってみました。

 開花はやや早めの印象ですが、落ち着いた赤色(やや黒みがかっている印象ですが、落ち着いた赤で高級感が感じ取れます)が、生け込みにも仏花に入れても映えます。「赤」のスカシユリですが、仏用でも全く問題がない色合いです。肉厚の花びらで、しっかりとした咲き方です。

 是非とも本格栽培をお願いしたいところです。

~沖縄編~

沖縄県那覇市~沖縄市~浦添市~名護市の圃場へ 「太陽の花」沖縄県花卉園芸農業協同組合(2020年)

 2020年2月18日から20日にかけて、「太陽の花」沖縄県花卉園芸農業協同組合の組合長様を始め、多くの方々の全面ご支援の元、各生産者の圃場にお伺いしました。

 沖縄では、産地の特性を生かした葉物類や小菊、スプレー菊、百合等の生産が盛んで、当店でもかなりの本数・種類を使わせていただいております。

葉物類の生産:山内さんの圃場

 葉物類では、山内さんの圃場を見させていただきました。
 これまで、HPに掲載していない産地訪問を含め、かなりの産地を訪問させていただきましたが、ドラセナの圃場訪問は初めてでした。

 オーソドックスなグリーンのドラセナや赤のドラセナもありましたが、何より注目したのは写真5番目にあるピンクとグリーンの複色であるドラセナ「アトムピンク」でした。

 極少量生産で、福島の市場にも入荷したことがない商品(つまり福島県には入荷していない葉物)でしたが、写真で見る以上にその特性に魅力を感じ、生産者の山内さんに頼んで大幅に増産してもらうこと等、熱く話をさせていただきました(当店に福島県内初となる入荷を来週月曜日になるよう直接お願いしてきました。数量限定品ですが、ありがたく使わせていただきます!)。

 写真6枚目からはジャスミンの圃場です。ジャスミンも下に垂れ下がった場合と上に固定して生育させる場合とでは、葉付きが違います。

 生け込みや結婚式のメインで使用するためにジャスミンを下に這わせるのか、或いは花束の中に入れるのかで使い方(向き・方向性)が違います。当然ながら求める葉付きの形状も変わります。その点を山内さんの方では工夫しながら栽培していました。

 これも、現地に行って直接見ないと分からない点です。

 山内さんの奥様には、自家製のバナナケーキと畑に植わっているマンゴーの木から採れたマンゴーをごちそうになりました。

 上の3枚目の画像はマンゴーの木です。マンゴーもバナナケーキも美味しかったです!

赤土とサトウキビの収穫

 沖縄県の土壌は赤土です。この赤土から各種の花を栽培するには並々ならぬ苦労があったことと思います。頭が下がる思いです。

 上の写真はサトウキビの収穫の様子です。このサトウキビを精糖会社へ輸送し、加工して砂糖を作ります。

 沖縄の従来からの産業として地域特性を生かしたサトウキビの生産も多いのですが、花の一大生産地としての機能も十分に果たしています。

百合の生産:田場さんの圃場と平張りハウス

 百合の生産者としては、田場さんの圃場をお伺いしました。

 先日、市場に入荷した田場さんの百合を当店にても使いましたが、非常に軸がしっかりしており、花の色もしっかりと載って抜群の状態でした。
 これまで沖縄の百合は入荷がなかったために使うことがありませんでしたが、非常に使い勝手がよく、いい百合でした。

 沖縄県では、ハウス栽培、露地栽培以外に、平張りハウスと呼ばれる施設での栽培も行っております。
 平張りハウスとは、上記写真の百合栽培の上部に囲ってあるような網目状のビニールで覆っている施設です。

 平張りハウスで栽培するメリットは、塩害を防ぎ、虫害も防ぐことです。そのため農薬散布の減少にも繋がっております。
 大型の台風が来た場合、本島全域に海から巻き上げられた塩分が付着し、農作物にも被害をもたらしますが、それを軽減するための施設と考えていただければと思います。

小菊の生産:読谷(よみたん)地区の圃場

 小菊やスプレー菊は大規模生産を行っております。沖縄県読谷地区の圃場だけを取り上げてみても、年間の小菊の出荷本数がここだけで約1900万本となっております。

 全国で入手する小菊の多くは沖縄県産と言っていいぐらいの出荷本数となっております。

 品種改良も意欲的に行われており、写真には掲載できないのですが、育種も盛んに行われております。

沖縄に自生する植物とそうきそば

 路肩には普通にドラセナが自生しております。上の写真3枚目はクロトンですが、さすが南国です。こういった色合いの木々も普通に自生しております。

 本場そうきそばも別格です。

中継地点の中部地区集荷センター

 上記写真は中継地点の中部地区集荷センターです。ここから那覇市のセンターに輸送され、船便、或いは航空便で出荷されます。

 真空保冷を導入しており、20分で急冷を行い、庫温3度にて輸送されます。船便でも鮮度が高いのは、この大規模真空保冷設備を導入しているからです。

 各々の圃場から集められた生産物(花卉類)は1日に1万4000箱~2万箱となり、全国へと出荷されています。

沖縄県糸満市の圃場へ「太陽の花」沖縄県花卉園芸農業協同組合(2020年)

 2020年2月20日は糸満市を中心に圃場へお伺いさせて頂きました。

 沖縄は農業が盛んですが、畜産としての肉牛の肥育も行っていました。

ドラセナの生産:山城さんの圃場

 山城さんの圃場では、ドラセナ栽培を行っていました。このハウス一つ(下の写真)で約2万本あります。

 近年は鉢物のドラセナから切り花に主流が移っております。鉢物の衰退原因は貸し植木の需要が減ったこと、輸送費が高騰したことなどがありますが、一方で先述したようにドラセナの切り花需要の高まりから、鉢物の生産者が切り花生産に転換している傾向が見られます。

 実際に圃場を見させて頂いて、この量は圧巻でしたが、山城さんはここだけではなく、更に複数の平張りハウスでの生産も行っております。

トルコキキョウの生産:嘉数さんの圃場

 嘉数さんの圃場では、トルコキキョウや夕霧草、ハイブリッドスターチスなどの生産を行っていました。

 沖縄のトルコキキョウの出荷時期は1月頃から5月初め頃までとなっていますが、この時期のトルコキキョウは別格で、軸もしっかりとしています。日保ちも抜群です。当然ながら当店でも沖縄産を積極的に取り扱っております。

 土壌はひび割れていますが、あえて生長期に水をやらないことがコツです。つまり、大地にしっかりと根を張らせることで、しっかりした、品質のいいトルコキキョウを作ることができるのです。

 嘉数さんはダリアも作っています。残念ながらダリアは日保ちがしないため、このダリアはほぼ沖縄県内の流通にとどまっています。(船便で輸送すると4日かかるため、鮮度重視のダリアは長期輸送が向かないため。)

 「太陽の花」さんで作っている肥料。もちろん沖縄産。

 今回の沖縄訪問で唯一観光らしい観光がここ、知名崎灯台。久高島が見えました。それ以外はびっしり産地訪問の3日間でした。

結び

 今回は 「太陽の花」沖縄県花卉園芸農業協同組合の組合長様を始め、多くの方々の全面ご支援の元、各生産者の圃場にお伺いさせて頂き、大変ありがとうございました。

 沖縄は立地上の利点も含め、一大花卉生産地となっていることを改めて認識させて頂きました。

 ここに書き切れないことが多数あるのですが、沖縄産の花卉の魅力を今後とも伝えるべく、当店も積極的に使っていきたいと思っています。

  「太陽の花」沖縄県花卉園芸農業協同組合の皆様には大変お世話になりました。心から御礼申し上げます。ありがとうございました。

~山形編~

山形県山形市、千歳園・進藤園芸(2021年)

千歳園

 2021年2月13日に山形県山形市の百合生産者 池野さん(株式会社 千歳園)と、同じく山形県山形市の進藤さん(進藤園芸)の圃場にお伺いしました。前回(2020年6月16日)お伺いしてから8ヶ月ぶりの訪問です。

 写真は出荷場に併設してある直営の販売店の様子。千歳園では、百合を直接買うこともできます。

 続いて圃場の外観。冬季に訪問するのは初めてでしたが、さすが山形。福島ではすっかり雪が溶けていますが、こちらでは降り積もった雪が溶けずに残っています。

 続いて圃場の中へ。左上の写真が3月下旬出荷予定のLA百合。左下が5月中~下旬出荷予定のLA百合です。千歳園の池野さんのハウスは何棟もあるため、通年で出荷できる体制を整えています。品種にもよりますが、定植から約3ヶ月半で出荷となります。

 続いてオリエンタル百合の圃場。左上の写真は出荷直前の様子。あと1週間ほどで出荷でしょうか。右上の英語表記は白百合「センピオーネ」。球根はオランダで作られています。

 百合に限らず、花卉の等級は秀・優・良・格外の概ね4つに分類され、秀品が一番いいものという状態で競りにかけられます。生産者も数万本~数十万本生産する全量が秀品なら高値で取引されるのでいいはずですが、もちろん全てが秀品になることはありません。

 下の写真は葉焼けをしてしまったもの。山形県は地域特性として冬季に曇天が多く、また、冬期は根からの水の吸い上げもよくありません。そのため、葉からの蒸散も少ないのですが、冬期と言っても、今日のようにからっと晴れる日もあり、その際に葉からの蒸散が間に合わないと葉焼けを起こしてしまいます。葉焼けをするともちろん秀品では出せなくなるため、池野さんは葉に石灰を散布するなど工夫をして、冬期における葉焼けを防止するように努めています。

 遮光カーテンをすればいいのかというとそうでもなく、遮光カーテンをすると葉の色合いが薄くなるなどの弊害もあるため、この冬期での栽培が非常に大変だとの池野さんの話でした。

 品種によっても葉焼けをしやすいものなどがあるため、試行錯誤をしながら、山形県での栽培に適した品種選定を常に行っています。

新藤園芸

 午後は進藤園芸の進藤さんの圃場に伺いました。まずはフリージアの生産現場。1棟で約1万5千本ほど栽培しているそうです。右下の写真は出荷直前の状態。最初の蕾が黄色く色付いた状態が出荷判断だそうです。

 続いてデルフィニウムの圃場。3月頃に1番花、5~7月頃に2番花の収穫となります。2017年に伺った際には、2番花の出荷中の状態でしたが、今回は成長途上の状態です。

 デルフィニウムは切り花にすると花が落ちやすい特性を持つため、収穫後に落下防止剤を吸収させてからの出荷となります。

 弊社では進藤さんのデルフィニウムや夏頃からの出荷となるLA百合も積極的に使っていますが、いいものをこだわりを持って作っています。

追記

 新藤さんが作ったデルフィニウム。約1m20cm。立派に育っています。
 これは一番花。まさに産地訪問時に伺った時に成長途上であった花たちです。

 ちなみに二番花は7月頃の出荷となります。

山形県山形市 千歳園(2020年)

 2020年6月16日に山形県山形市の百合生産者、池野さんの経営する千歳園にお伺いしました。

 池野さんとは10年以上の付き合いとなり、当店でも積極的に池野さんが生産した百合を取り扱っています。
 メインはオリエンタル百合の生産ですが、他にもLA百合なども手がけています。

 さっそく圃場の様子。写真左は8月のお盆頃に出荷予定のオリエンタル百合。LA百合とオリエンタル百合では球根からの生育期間が違いますが、LA百合では平均で50日前後で出荷、オリエンタル百合は平均60日~70日前後での出荷となります。

 右側の写真は収穫後の様子。ところどころ残しているのは、色合いや花の大きさ、日持ち等について確認するため、あえて収穫しないようにしています。

 この後トラクターが入りますが、うなるだけでもハウス片面で2時間はかかるそうです。球根は残せばもちろん次も咲きますが、品質にばらつきが出てきてしまうため、基本的には1回のみの定植~収穫にとどめています。

続いて定植の様子。
 球根はオランダから輸入しています。品種改良も全てオランダで行われており、その球根を世界中に輸出しています。

 お国柄で好みの色合いというものがあり、中華圏では黄色の百合が好まれ、欧米でははっきりした色合いの百合が好まれます。
 一方、日本では白、或いは淡い色合いのピンクなどが好まれています。

 近年は無花粉と呼ばれる、花粉が付かない百合も開発されています。ピンクの無花粉百合は当店でも取り扱っていますが、白の無花粉百合については開発中(※)で、将来的には流通すると思いますが、まだ先のようです。
(※一応、白の無花粉もあるにはあるのですが、品質等について課題がまだまだ多く、また、ピンク無花粉に比べ全国での流通量が少なく、改良待ちの状態です。)

 オランダから輸入した球根もそのまま植える訳ではなく、ある程度芽を出してからの定植となります。

 溝も丁寧に掘って定植しています。近年は機械導入によりだいぶ楽になったようですが、手掘りはかなりの労力がかかるそうです。

 左の写真は収穫前のオリエンタル百合の様子。そして右側はLA百合の生長途上の様子。

 ビニールハウスも1棟だけではなく、何棟もあるため、収穫期間を少しずつずらしながらの定植を行っています。

(写真左)池野さんが生産した八重百合「エリナ」。季節限定の珍しい一品です。当店では珍しい八重百合を積極的に取り扱っていますので、八重百合が必要な際には、是非とも当店にお問い合わせください。
 もちろん、生産者のお墨付きですよ。

(写真右)株式会社 千歳園 代表取締役 池野さん。非常にやる気のある生産者で、品質向上・事業拡大に精力的に取り組んでいます。私も産地訪問で度々伺っておりますが、行く度に刺激を受けます。

山形県山形市 千歳園・特別寄稿「ユリへの想い」(2020年)

 ここで、池野さんから特別寄稿「ユリへの想い」を頂きました。熱い思いが伝わってきます。是非ともご覧下さい。

~ ユリへの想い ~

 ユリは蕾が咲くという感動を楽しむ花です。

 咲くと豪華。そしてユリの清らかな香りや癒やしも魅力の一つです。

 私たち千歳園は、親子二代で培った土作りの技術を生かした有機物の富んだ土に、ひとつひとつのユリの球根を植えています。

 スタッフによる丁寧な手仕事と、山形の四季豊かな気候により、時間をかけて、とても豪華で大きな蕾、そして日持ちのするユリを作っています。

 是非、飾って頂けたらと思います。

山形県山形市、千歳園・進藤園芸(2019年)

千歳園

 2019年10月23日に山形県山形市の百合生産者 池野さん(株式会社 千歳園)と同じく山形県山形市の進藤さん(進藤園芸)の圃場にお伺いしました。

 写真は年末の出荷に向けての現在の圃場の様子です。

 二人とも非常にやる気のある生産者で、いいものを作っていこうという意識が強い方々です。お付き合いさせていただいて約10年になりますが、花業界を盛り上げていこうという意識は共通しており、本音を言い合える仲でもあります。

 ビニールハウスの1つの棟で約1万2千本の百合を栽培しており、その棟が何棟もあることで、常に供給できる体制を整えております。また、他の生産者が手掛けにくいような希少種・マイナー種も意欲的に生産しており、その意欲や熱い思いは非常に刺激になります。

 切った後の処理にも気を付けており、いかに百合を長く保たせるかに気を付けながら、市場への出荷に対応させています。

新藤園芸

 進藤園芸の進藤さんの方では、百合以外に正月に使われる葉牡丹の生産も行っていました。進藤さんの夏に出るデルフィニウムも品質が高く、当店でもかなりの本数をアレンジ等に使わせていただきました。

 花屋が市場だけでなく、生産者の圃場まで見に行くケースは非常に少ないのですが、当店では、生産者の思いや考えを知り、その熱い思いをお客様にお届けできればと考え、不定期ではありますが全国の産地訪問をさせていただいております。もちろんそのためには、市場の社長様を始め、多くの方々の協力がなければできないことではあるのですが、国内の生産者を守らなければならない、また、花業界を盛り上げていかなければならないという意識の元に伺っております。

OTハイブリット(OT系)の百合とは

 OTハイブリット(OT系)とは、オリエンタル百合とトランペット型の百合(鉄砲百合)を掛け合わせたものであり、環境の変化等による水下がりも少なく、扱いやすい百合となっております。

 池野さん(株式会社 千歳園)が栽培しているタッチストーンもOT系の百合です。
 OT系の百合の代表的な品種としては黄色のイエローウィンや白のザンベジ等があり、いずれも非常に扱いやすく、尚且つ見応えがあり、当店でも積極的に取り扱っております。

山形県山形市、千歳園・進藤園芸 (2017年)

千歳園

 2017年5月24日に 山形県山形市の百合生産者 池野さん(株式会社 千歳園)と同じく山形県山形市の進藤さん(進藤園芸)の圃場にお伺いしました。

 池野さんの方では、八重百合の生産も行っていました。

 池野さんが生産している上記写真の八重百合とは品種が違いますが、八重百合とは下記の画像ような八重咲きの百合となります。

 実はこの八重百合の生産には非常に手間がかかり、上記写真のように蕾(つぼみ)一つ一つに保護としてのネットをかぶせます。1本2本ならたいしたことのない作業のように感じますが、数百~数千本の百合の蕾一つ一つにネットをかぶせる作業はたいへん骨が折れます。(通常の百合ではネットをかぶせることはありませんが、八重百合は手間が倍以上かかります。)

 今日(こんにち)、品種改良により莫大な種類の百合が開発されていますが、品種改良や研究開発、また、球根そのものの出荷はオランダで行われております。

 オランダで生産された球根は世界中に向けて輸出されますが、色の好みは国ごとに違いがあります。例えば中国や台湾では黄色が好まれており、黄色の百合の球根が多く中華圏に輸出されております。

 一方、日本では白やピンク色の百合が好まれており、池野さんや進藤さんもオランダから輸入したそれら球根を育成して各市場に出荷する形を取っています。

 日本人は淡い色が好きな傾向がありますが、海外ではドレットな、はっきりした色合いが好まれます(バラも同じです)。そのため、日本は世界の中ではマイナーな買い手となってしまうため、どうしても淡い色合いの球根が品薄になったり、品種改良が行われなくなってしまったりする傾向があります。そこが池野さんや進藤さんの悩みの一つになっています。

 毎回訪問させて頂く度、どの種類が今後主流になるのか、或いは花屋にとって使いやすい百合は何なのか等についても話をさせて頂いております。また、上記のような生産者サイドでの、花屋では体験し得ない貴重な話も伺うことで、双方が有意義な連携を取れるようにしております。

新藤園芸

 進藤さんの方ではデルフィニウムの生育も順調でした(上の画像左側)。夏限定の出荷となりますが、当店でも進藤さんのデルフィニウムをかなり(数千本)使わせてもらっています。

 今回も非常に有意義な話をさせて頂き、感謝しております。
 花屋と市場、生産者が連携を取りながら、お客様がご満足頂けるような商品を今後も取り扱っていきたいと思っています。

 生産者の方々も非常に前向きでやる気のある方が多いです。当店も国内の生産者を応援する形で、積極的に国内産の花を取り扱っていきたいと考えています。

~愛知編~

愛知県豊川市、JAひまわりバラ部会(2015年)

 2015年10月24日に愛知県豊川市のJAひまわりバラ部会の圃場へお伺いしました。

 愛知県に到着してまず感じたことは、とにかく暖かい、体感的に福島県の5月初旬頃の気候と同程度と感じました。

 各生産者がそれぞれの施設で生産したバラをJAひまわりのブランドで出荷しています。栽培品種は約150種、年間で1600万本を出荷している一大産地となります。また、若い生産者も多く、意欲的に栽培していることが印象的でした。

 JAひまわりバラ部会の圃場が特徴的なのは、水耕栽培を全面的に行っていることです。この水耕栽培により、土壌からの病原菌等の侵入を防ぎ、結果的に日保ちがするバラ、いわゆる高品質なバラを生産することに成功しています。

 圃場内の温度管理や水の管理も全て自動化されており、上部のスプリンクラーからミストが吹き付けられている様子を見た時は圧巻でした。

 また、圃場内は18度に管理されており、冬は家よりも暖かい状態が維持されています。

 下の画像は同日に行われた品評会のバラの画像です。色合いや特徴は全く違いますが、今後どの品種が主流になるのか等について、積極的に意見交流を行って参りました。

 当店でも積極的にJAひまわりバラ部会のバラを使用しております。ブログにも随時掲載しております。ご覧頂ければ幸いです。

JAひまわりバラ部会の品評会で展示されたバラ一覧

 当店で製作したJAひまわり産のバラを使ったフラワーアレンジメントや花束のリンク集です。写真なども併用して詳細に記載しております。よろしければご覧下さい。

福島編はこちらから

 福島県内の生産者と圃場を巡った「産地との連携(福島編)」ページもありますので、宜しければそちらもご覧下さい。