隠れた名脇役:ドラセナ「アトムピンク」「カプチーノ」「ミヤケアカネ」を組み入れて

 生け込みやアレンジは花だけで作ると、ボリューム感が無くなり、いろいろな色が混じり込んでうるさい色合いになってしまいます。そこで必ず必要なのが葉物(グリーン)となります。

 代表的な葉物に「ドラセナ」があります。今回は、ドラセナについて「アトムピンク」「カプチーノ」「ミヤケアカネ」を例に取り、ドラセナの魅力について記載ていきます。

隠れた名脇役:ドラセナ「アトムピンク」「カプチーノ」「ミヤケアカネ」を組み入れて

ドラセナ「アトムピンク」

 こちらはドラセナ「アトムピンク」を組み入れたアレンジです。
 アトムピンクは、先日の沖縄産地訪問時に伺った山内さんが生産したドラセナです。

 このドラセナの特徴は、淡いピンクの斑入りということです。

 従来から広く流通しているドラセナは緑色や赤色の単色のものがほとんどでしたが、近年、斑入りのドラセナも流通するようになってきており、ドラセナを入れた表現方法に大きな可能性が出てきました。

全体の色合いとドラセナとの統一感

 以前ご紹介した色を繋ぐアレンジのように、色彩の組み合わせでは色を繋ぐことが大事であり、全く関係が無い色合いをゴチャゴチャと入れてしまうと、単純にうるさい色の集合体となってしまいます。

 今回は薄いピンク色の桜から始まり、(薄いピンク色の)トルコキキョウ~(ピンク色の)一輪バラ~(濃いピンク色の)スプレーバラと段階を追って変化していくピンク色を、中間材としての淡いピンクの斑入りのドラセナを入れることで、統一感のあるアレンジへと仕上げました。

 これまではこのようなピンクの斑入りのドラセナは入手不可能だったため、アレンジに緑色などの単色のドラセナを入れても、そこだけ浮いてしまう欠点がありました。

 「アトムピンク」はその欠点を見事に修正する、素晴らしい色合いのドラセナだと思っています。

ドラセナ「カプチーノ」

 下の写真はドラセナ「カプチーノ」を使った生け込み。

 白い斑入りで色合いは濃いチョコレート色と呼ぶような落ち着いた色合いになっております。葉物単体で主張をしませんので、他の花を引き立てる役割を十分担っています。

ドラセナ「ミヤケアカネ」

  ドラセナ「ミヤケアカネ」は、卒業式の演台の花に取り入れてみました。

 ミヤケアカネは、斑入りの赤・黄・緑が入ったドラセナです。こちらも山内さんが生産したドラセナですが、これまで入荷がなかった品種です。

ドラセナ「ミヤケアカネ」と色合いが似ているトルコキキョウ「小夏オレンジ」との調和

 このドラセナは、トルコキキョウ「小夏オレンジ」(下の写真)とよく調和します。まるで、小夏オレンジの葉がこの色であったのかというような色合いです。

 ミヤケアカネの赤や黄色は光沢感がない落ち着いた色合いのため、ミヤケアカネ単体での自己主張がそれほど強くありません。思ったよりも使いやすい花材だと思います。

まとめ:隠れた名脇役「ドラセナ」

 ドラセナの特徴一つで生け込みの雰囲気が大分変わってきます。実は隠れた名脇役が葉物の代表格、ドラセナなのです。

 ドラセナは輸入品もありますが、当店で取り扱っているものはそのほとんどが沖縄産となります。通年で多種多様なドラセナが入荷しますので、季節感にあったものなどをその都度選定し、取り扱っております。

 ドラセナ一つで雰囲気ががらりと変わってしまうほどの表現力を、複色のドラセナは持ち合わせています。

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この記事を書いた人

菊地充智
菊地充智代表取締役社長
 こんにちは。フラワーショップ アリスの代表取締役、菊地 充智と申します。
 福島県本宮市出身で、元々は教員として子どもたちの教育に尽力していました。その経験は私にとって大切な基礎となり、人と心を通わせる重要性や、強い絆を築くことの意味を深く理解させてくれました。

 2007年、私は新たな挑戦としてフラワーショップ アリスに加わりました。それ以来、花々と共に日々成長し、お客様に最善のサービスを提供するために常に努力しています。
 そして、花の美しさとそれぞれの物語をより深く理解し、お客様に届けるため、全国の花の産地を訪れています。

 私の経営理念は、お客様に最高の満足を提供し、常に改善と修正を行いながら、お客様にとってベストの選択を追求することです。この理念は、私が書く文章にも反映されています。

 皆さんが私の記事を通して、花の世界の美しさや、そこに込められた物語を感じ取っていただければ幸いです。それが私が記事を書く大きなモチベーションとなっています。どうぞよろしくお願いいたします。

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