ラナンキュラス ~定番の品種から変わり種まで~
1月から3月頃まで切り花として流通するラナンキュラス。もちろん鉢物(苗物)でも流通しますが、切り花では鉢物で流通しないような珍しい色合いのものもあります。
ラナンキュラスはその美しさから世界中で愛され、特に切り花としての人気が高い花です。品種改良が進み、現在では多様な種類が流通しています。その一部をここで紹介し、ラナンキュラスの魅力をさらに深掘りしていきます。
ラナンキュラス ~定番の品種から変わり種まで~
ラナンキュラスとは
ラナンキュラス(Ranunculus)は、キンポウゲ科に属する多年草の一つで、その美しい花を愛でるために世界中で広く栽培されています。ラナンキュラスは、ラテン語で「小さなカエル」を意味し、野生のラナンキュラスが湿った場所、特にカエルが生息する湿地に生育することから名付けられました。
ラナンキュラスの最も魅力的な特徴はその花です。鮮やかな色彩と花弁の層状の構造が特徴的で、花色は白、黄、ピンク、赤、橙、紫など、様々な色のバリエーションがあります。また、花弁の形状も、単弁から八重咲きまで、品種により異なります。


最近では品種改良が進み、ラナンキュラスは切り花として世界中で流通している数がおおよそ500種類ほどあります。
一部には、今回ご紹介する「ラックスシリーズ」のように、光の当たり方によって花色が変化するように見える品種や、「ミグノン」のように特殊な形状の花を咲かせる品種も存在します。
このように、ラナンキュラスはその多種多様なバリエーションから、切り花としての需要が高く、フローリストや園芸愛好家からも人気があります。そのため、流通する種類は増え続けており、その美しさと多様性から、今後もその人気は続くでしょう。
ラナンキュラスの種類
500種類はあると言われているラナンキュラスですが、ここでは、そんなラナンキュラスの中のいくつかを取り上げ、画像を添えて紹介していきたいと思います。
キティラ
まず始めに、ラナンキュラスと言えばこんな形、色合いを思い出すだろう定番の品種。この黄色のラナンキュラスは「キティラ」。

ラナンキュラスは日持ちがするたいへんおすすめな品種です。黄色だけにとどまらず、多彩な色や形状が特色です。
タソス
続いては淡いピンク~黄色の、複色のラナンキュラス「タソス」。花が開いてくると、中央部分のグリーンも見えてきます。
ふんわりとした柔らかい質感が特徴です。

ミグノン
続いて、これは恐らく福島県内に在住の方はあまり見たことがないだろう、流通量が少ないラナンキュラス「ミグノン」。よくよく見ると、1本1本、微妙に表情や色合いが違っています。
下の鉢物で詳しくご紹介する「ポンポンシリーズ」の一つ。

「タソス」に比べればやや引き締まった印象。試しに今日(2月27日)店頭に並べてみましたが、その質感からお客様が次から次へとご購入されていきました。もともとラナンキュラスは低価格の割に日持ちがするのでお勧めの品種ですが、この「ミグノン」の質感・色合いには何となく惹かれてしまいます。
薔薇でもディスパットマムでもトルコキキョウでも、はたまたガーベラでも、近年は品種改良により「八重化」がことさらに進んでいますが、この「ミグノン」の質感は他では表現できません。
ボンボンガーフィールド

希少種。近年はラナンキュラスの種類も大幅に増え、フラワーショップ アリスでもこのような珍しい品種を多様に扱うようになってきました。
おすすめの品種の一つです。
バスティーユ
次にご紹介するのはラナンキュラス「バスティーユ」。なかなかの個性的な色合いです。最初に見た「キティラ」と同じラナンキュラスに属するとは思えません。

光るラナンキュラス「ラックスシリーズ」
下の写真はラナンキュラスの「ラックスシリーズ」です。一風変わったこの系統は、ラナンキュラスの既存のイメージを一新し、美しい光沢を放つ花弁とその生命力を全面に押し出しています。



このラックスシリーズは独特の光沢があります。更に一般的なラナンキュラスとは異なりスプレー状に花が咲く特性を持つことから、非常に目を引く存在となっています。

上の写真はラナンキュラス・ラックスシリーズ「ティーバ」。
ティーバは、その魅力的な花色で知られています。
深いワインのような色合の一方で、銀白色の輝きを放つ美しさも映し出しており、この二つの色の美しい対比が特徴的なラナンキュラスです。
ロゼヴェール

最後にご紹介するのは、上記写真のラナンキュラス「ロゼヴェール」。完全に別品種のような形、そして質感。まるで野菜の「カブ」のよう。これはアレンジの一部を撮影したもの。
全体像は次の写真。

「ロゼヴェール」を使った生け込み
こちらはラナンキュラス「ロゼヴェール」も入れた生け込み。ミモザと桃とラナンキュラス「ロゼヴェール」、そしてドラセナでのみで構成したもの。
あくまで桃とミモザがメインですが、ポイントに目を引く「ロゼヴェール」を入れてみました。

ラナンキュラスは弊社では基本的にフラワーアレンジメントに入れていますが、このように生け込みにも入れることがあります。
ラナンキュラスの生産地を訪ねて
下の写真はラナンキュラスを生産している福島県南相馬市の根本園芸さんの圃場の様子。
根本園芸さんは鉢物の生産者ですので、鉢の状態で生産を行っています。


下は2024年1月下旬に生産していたラナンキュラス「ポンポンシリーズ」の一部。
「メルリノ」「イグルー」「ハーマイオニー」などのポンポンシリーズは切り花でもたいへん人気がある品種。最近は年間を通して暖かいため、出荷は2月一杯とのことでした。



下は全国の市場に出荷する直前のラナンキュラス。フラワーショップ アリスでも鉢物のラナンキュラスは取り扱っております。
シクラメンで毎年金賞を取る根本園芸さんのラナンキュラスも取り扱っております。
鉢物で必要な際は、弊社にお声かけ頂ければ、お取り寄せもできます。

ポンポンシリーズの鉢物
根本園芸さんにお願いし、さっそくポンポンシリーズの鉢物(6号鉢)を送ってもらいました。また、お手入れ方法についても、根本園芸さんに聞いてみました。

品種紹介
- 黄色「メルリーノ」
- オレンジ「フローラ」
- 赤「マルヴァ」



お手入れ方法
- 花が終わったら、10月いっぱいまで水をやらずに休眠させ、屋内で保管してください。
- 11月になったら、たっぷりと水を与えてください。そうすることで、来年も美しい花を咲かせます。
注意: 地植えは不可です。

ラナンキュラスの鉢物の取り扱い時期等
ラナンキュラスは球根から育ちます。上記の写真は6号鉢と大きめの鉢となりますが、この球根がそもそも高いため、販売価格は税込6000円ほど。なかなかのお値段ですが、流通量が少なく、希少種となっています。
また、近年は気候変動で暖かくなっておりますので、1月下旬~2月いっぱいまでがラナンキュラスの取り扱い時期となっています。
この期間は、ラナンキュラスが最も美しく咲く時期であり、フラワーショップ アリスではこの時期に最高品質のラナンキュラスをお届けします。
ラナンキュラスの珍しい鉢物もフラワーショップ アリスでは取り扱っていますので、もしご入用の際には是非ともお問い合わせ下さい。
まとめ
ラナンキュラスはその美しい花と多様な色や形状から、世界中で愛される花であり、特に切り花としてその人気が高いことが見て取れます。品種改良が進んでおり、現在では約500種類ものラナンキュラスが世界中で流通しています。
本文中で紹介した品種「キティラ」、「タソス」、「ミグノン」、「ボンボンガーフィールド」、「バスティーユ」、「ラックスシリーズ」、「ロゼヴェール」などは、その一例です。


それぞれが独自の色彩と形状を持ち、見る者を魅了します。これらの花々は、その美しさや特異性からフローリストや園芸愛好家に人気があり、その需要は増え続けています。
「ラナンキュラス」は鉢物だけでなく、一輪花の切り花としてもお勧めです。珍しいものやきれいなもの、かわいらしいものがラナンキュラスにはたくさんありますので、是非とも飾ってみませんか?
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この記事を書いた人

- 代表取締役社長・1級色彩コーディネーター
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こんにちは。福島県郡山市にあるフラワーショップ アリスの代表を務めております、菊地充智です。
元教員としての経験を活かしながら、色彩の専門知識を基に、お客様一人ひとりに寄り添った花づくりを行っています。
全国の産地を自ら訪問し、生産者の声を直接伺いながら、確かな品質と生産者の想いやこだわりが詰まった花を選んでご提供しています。
また、1級色彩コーディネーターとして、色彩の理論に基づいた花束・アレンジメントのご提案や、色彩と花に関する情報発信にも力を入れています。
ブログ記事では、花の魅力や色彩などに関する知識を、できるだけ分かりやすくお届けしています。
ご覧いただいた皆様が、花や色彩の奥深さに興味を持つきっかけになれば嬉しく思います。
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