秋の花、蓮の実・ツルウメモドキ・染雪柳と「スプリット・コンプリメンタリー配色」
8月のお盆頃から流通し始める蓮の実を活けてみました。
蓮は水の吸い上げが極端に悪く、特殊なポンプを使わないと水が上がりません。
蓮の花が何故花屋に流通しないのかというと、ポンプを使って水を吸い上げても、一晩しか花が保たないから。つまり、蓮の花はたいへん可憐ですが、日持ちが極端に悪いのです。
(いけばなの小原流では蓮も活けますが、そういった特殊用途でない限り、一般に活けることも流通することもありません。)
一方、蓮の実は日保ちします。また、枯れかかってもそれが風情を感じさせる、たいへん味わい深い色や質感に変化します。平家物語の諸行無常ではありませんが、蓮の実それ自身が、たいへん趣のある実ものであると言えます。
雪柳は紅葉してから切り取って使えばいいという考えもありますが、残念ながら、本当に紅葉してしまうと切り花の日持ちが極端に悪くなります。(紅葉したモミジも同じで、切り取って活けると3日も保ちません。)そのため、生産者が青々とした雪柳に塗料で色を染め、秋を感じさせるようにしています。
12色の色相環図(影と明るい色、基本見本)
また、今回の配色の組み合わせとしては、「スプリット・コンプリメンタリー配色」を採用しました。メインカラーのグリーンの補色(対局の色)は赤ですが、その対局の赤と隣り合う2色を利用した、合計3色で構成する色の組み合わせです。ここでは、グリーンの蓮とピンクのトルコキキョウ、そしてオレンジのツルウメモドキ・染雪柳をメインとした3色構成です。
コントラストの高い配色ですが、補色を利用しないことで色の激しさを抑えてみました。
朝晩だけでなく、日中も長袖を着るぐらい肌寒くなってきました。今回は深まりつつある秋をテーマに、「スプリット・コンプリメンタリー配色」も意識しながら生けてみました。
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