季節を彩る: ドウダンツツジとバラ、胡蝶蘭の組み合わせ

 本記事では、季節の花材として人気のドウダンツツジを中心に、配色の理論と具体的なアレンジメントをご紹介します。

 豊かな緑色のドウダンツツジと対照的な鮮やかな赤色、そして万能の白色を組み合わせて、季節感を感じさせる生け込みを実践します。

 色相環に基づく配色の理論と白色の重要性についても詳しく説明します。

季節を彩る: ドウダンツツジとバラ、胡蝶蘭の組み合わせ

ドウダンツツジの採取とその特性

 ドウダンツツジが入荷しました。季節は春真っ盛りですが、市場に入荷する花材は夏の花に移行しています。

 ドウダンツツジは主に生産者が山林で伐採して市場に出荷しています。所謂、山取りとなります。このドウダンツツジは、夏の涼しさを感じさせる最適な枝物です。

 枝物なので当然ながら1本1本形状が違い、その枝の特長を生かすよう、葉や枝を落とす工程が必要です。葉や枝を落とす作業は経験と感覚が必要ですが、手っ取り早く習得するためには、生け花をやってみるといいと思います。流派は色々とありますが、私が教わった小原流は系統立てて教わるため、基礎を習得するには最適だと思います。もっとも、一番上の1級免許状を取るためには、20年の歳月が必要ですが・・・。

夏に流通するナツハゼ

 夏に流通する主な枝物としては他にナツハゼ(夏櫨)などもありますが、ナツハゼは落葉低木のため、水盤に生ける場合は重宝しますが、こういった店舗の生け込みにはあまり適しません。

 ナツハゼが店舗のディスプレイなど、大きなスケールの生け込みに適さない理由の一つには、その形状やサイズにあります。ナツハゼは比較的低く広がる性質を持ち、大きなアレンジメントでの中心的な役割を果たすには、その規模や存在感が不足している場合が多いからです。

 また、上記の写真はナツハゼを使った生け込みですが、大幅に葉を落として生けています。この写真の生けた時期は7月ですが、この時期になると大量の実もあるため、葉とともに実も大幅に落とさなければなりません。

 先述のように葉を落とすのには一定程度の熟練度と感覚が必要なため、ナツハゼを生かした生け込みは難易度が高いと私は考えています。

鮮やかな配色でドウダンツツジを引き立てる

 ドウダンツツジの青々とした葉は非常に印象的です。今回は、そのグリーンと補色関係にある赤と白の3色で生け込みを構成しました。

色相環に基づく配色の理論

 下の図は12色の色相環図です。

 ドウダンツツジの青々とした葉の色は色相環上で緑に位置します。緑の補色は赤で、これらの色を組み合わせると、互いに色が引き立ちます。

 それが今回、赤バラ「レディラブ」や真っ赤な百合「リパッソ」を選んだ理由です。赤は緑を強調し、逆に緑も赤を引き立てます

白色を配色に取り入れる意義

 さらに今回は白色も加えました。白はすべての色と調和し、他の色をより鮮やかに見せます。この場合、白の胡蝶蘭と小手毬は、ドウダンツツジの緑と赤バラの色合いを強調し、全体的な配色バランスを保つ役割を果たします。

 白色は全ての色と調和する万能色とも言えます。それは白が光の全ての波長を等しく反射するため、目に映る色としては「色を持たない」とも言えるからです。この特性により、白はどんな色とも自然に調和し、相手の色を活かす役割を果たします。

 白色の花材を配色に使用することで、他の色彩がより鮮やかに見える効果を得られます。それは白が純粋で明るい色であるため、他の色とのコントラストが際立つからです。この場合、白の胡蝶蘭と小手毬は、ドウダンツツジの緑や赤バラの鮮やかさをより一層引き立てます。これにより、アレンジメント全体の視覚的なインパクトと調和が強調されます。

 また、白色は純粋さや清潔感、明るさといった感情やイメージを象徴することもあります。したがって、白い花材を使用することは、アレンジメントや生け込みにに特定の雰囲気や感情をもたらす手段でもあります。

 これらの観点から見ると、白色は配色における重要な要素と言えるでしょう。花材の選択から配置まで、白色はビジュアルバランスを保つだけでなく、作品全体に独特の魅力を加えます。

まとめ

 本記事では、緑色のドウダンツツジ、赤色のバラや百合、そして白色の胡蝶蘭と小手毬を使ったアレンジメントについて詳しく解説しました。

 色相環に基づく配色の理論を応用し、各色が互いに引き立つように配置することで美しい調和を生み出すことができます。

 特に白色は、全ての色と調和し、全体の視覚的バランスを保つだけでなく、作品全体に清潔感や明るさを加える重要な要素となります。

 花材の選択から配置まで、これらの理論を用いて自己流のアレンジを試みてみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人

菊地充智
菊地充智代表取締役社長
 こんにちは。フラワーショップ アリスの代表取締役、菊地 充智と申します。
 福島県本宮市出身で、元々は教員として子どもたちの教育に尽力していました。その経験は私にとって大切な基礎となり、人と心を通わせる重要性や、強い絆を築くことの意味を深く理解させてくれました。

 2007年、私は新たな挑戦としてフラワーショップ アリスに加わりました。それ以来、花々と共に日々成長し、お客様に最善のサービスを提供するために常に努力しています。
 そして、花の美しさとそれぞれの物語をより深く理解し、お客様に届けるため、全国の花の産地を訪れています。

 私の経営理念は、お客様に最高の満足を提供し、常に改善と修正を行いながら、お客様にとってベストの選択を追求することです。この理念は、私が書く文章にも反映されています。

 皆さんが私の記事を通して、花の世界の美しさや、そこに込められた物語を感じ取っていただければ幸いです。それが私が記事を書く大きなモチベーションとなっています。どうぞよろしくお願いいたします。

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