正月の花材:篠竹(シノ竹)と苔梅(朴)

 いよいよ正月が近づいてきました。今回は、正月用花材として代表的な松・千両ではなく、違った花材で正月らしさを表現してみました。

 正月用の花材として今回使用したものは、篠竹・南天・苔梅(朴)・染葉ボタン・キキョウランとなります。

 篠竹(シノ竹)は別名「雌竹(メダケ)」とも呼びますが、主に関東以西の暖かい地域に自生しています。福島県を含む東北地方では、残念ながら寒さのため自生しておらず、福島県民にとっては珍しい花材となります。

 今回は入荷した状態をそのままに、特に切ったりせずに4本生け込んでみました。もちろん竹ですので、柳と違って曲がることもなく、固いまま生け込むことになりますが、その雰囲気がなんとも正月らしさを感じさせる枝物となります。

 苔梅は苔朴(こけぼく)とも呼ばれますが、入荷した状態はこんな感じです。尤もこれは短い苔梅になりますが、長いものでは数mにもなり、枝の幹に天然の苔がびっしりと生えている状態となっています。

 こういった枝物は鋏では切れないため、当然ながらノコギリを使って適切な長さに切っていきます。また、切断面が見える場合は、黒の油性ペンなどでその切り口を染める作業も必要になってきます。

 写真の青い花は染料を吸わせた葉ボタン。こちらは二本松市の武藤さんに特注で作って貰った一品となります。

 葉物類は今回3種類を生け込みました。そのうち、ドラセナは沖縄県の山内さんが作ったミヤケアカネなど2種類、そして八丈島産のキキョウランを使用しました。

 キキョウランは6枚ぐらいがまとまって一つの株として流通しますが、その葉を一枚一枚外して使うこともあります。

 上記写真のアレンジはその一枚一枚を外して生け込んだところ。曲線がきれいで一際目を引きますが、円のように丸めて使うこともあり、工夫一つで造形の面白さを感じ取れる花材でもあります。

 今回はそのキキョウランを敢えて株のまま使い、ボリューム感を出してみました。

 松や千両は正月を感じさせる代表的な花材ですが、南天や篠竹だけでも十分正月らしさを感じ取れます。

 前回はクリスマス風、今回は正月に向けてと、生け込みの雰囲気も様変わりです。花屋もこの時期、特殊花材を多数用意せねばならず、大忙しの月となります。

 昨今は世相が暗い状況が続きますが、せめて気持ちだけでも明るく新年を迎えて頂ければと思います。