入才ラン ~生け花花材の現状~
入才ラン(にゅうさいらん)を生けてみました。入才ランとは、1m程の長さになる葉物です。「ラン(蘭)」と名付けてありますが、胡蝶蘭などの蘭とは全く違うもになります。
昭和40年代~50年代頃の生け花全盛期には、こういった生け花花材として主に使われるものを生産者がどんどん生産していましたが、現在はめっきり生産量も少なくなってきました。
入才ラン ~生け花花材の現状~
生け花の現状
以前投稿したブログ記事「コロナ後の変化~生産者の単一商品作物からの脱却の流れ~」の中で、売れ筋商品は変わっていく旨を記載しました。生け花はこの最たる例であり、生け花全盛期に比べれば、今現在は圧倒的に受講する生徒が少なくなってきています。そしてその影響で、生け花花材の生産量も急減してきています。
これは茶道にも言えることで、今現在、若い人で積極的に茶道教室に行こうとする方はかなり少なくなってきています。
ヤフーオークションの骨董品のカテゴリーを見てみますと、昔ならかなり値が付いたであろう茶道具も、今は誰も買い手が付かないほど大量に出品されています。
時代の趨勢により、売れる商品も変わってきてしまいますが、生け花の先生も「若い人が入ってこない」と嘆いていました。
生け花花材の問題点
問題なのは、生け花の特殊な生け方(明治時代の生け方の再現)をしようとしても、今現在それらの花材を生産する方が極端に少なくなってきており、再現しようにも一部花材が入手困難になってきていることです。
ある意味では仕方が無いことですが、一抹の寂しさも感じます。
生産者の減少
更に近年では枝物の生産者もたいへん少なくなってきており、産地訪問で訪れた福島県福島市の枝物生産者・高野さんのように、いいものを作ってくれる生産者も後継者がいない場合が多い状況です。
30~40年前の生け花全盛時代に比べれば枝物の需要もかなり少なくなってきていますが、かといって全く無くなるのも非常に困ります。
福島県福島市の鉄砲屋 高野さんの圃場について詳しくは
和洋折衷の花材を使った生け込み
さて今回は、和のイメージの入才ランには似つかわしくないかもしれませんが、パイナップルも入れてみました。
一見、ガーベラのように見える花はヒマワリです。
黄色とグリーン主体の生け込みですが、今回は黄色の補色としての淡い紫のトルコキキョウをポイントとして入れてみました。このトルコキキョウは、以前、「産地との連携(福島編)」でご紹介した齋藤さんが生産したものです。
軸が太く、しっかりした、大きい花を咲かせています。
今回は和洋折衷のような花材の組み合わせとなっていますが、生け花の花材も従来の固定した使われ方だけでなく、思い切って洋花と組み合わせてみるなどの斬新な使い方も必要かもしれません。
それこそが、生け花の衰退で使われなくなった花材を生かすことにも繋がるのではないかと考えています。
使用花材
・入才ラン・ヒマワリ・トルコキキョウ・パイナップル・ヒペリカム・アレカヤシ
この記事を書いた人
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こんにちは。フラワーショップ アリスの代表取締役、菊地 充智と申します。
福島県本宮市出身で、元々は教員として子どもたちの教育に尽力していました。その経験は私にとって大切な基礎となり、人と心を通わせる重要性や、強い絆を築くことの意味を深く理解させてくれました。
2007年、私は新たな挑戦としてフラワーショップ アリスに加わりました。それ以来、花々と共に日々成長し、お客様に最善のサービスを提供するために常に努力しています。
そして、花の美しさとそれぞれの物語をより深く理解し、お客様に届けるため、全国の花の産地を訪れています。
私の経営理念は、お客様に最高の満足を提供し、常に改善と修正を行いながら、お客様にとってベストの選択を追求することです。この理念は、私が書く文章にも反映されています。
皆さんが私の記事を通して、花の世界の美しさや、そこに込められた物語を感じ取っていただければ幸いです。それが私が記事を書く大きなモチベーションとなっています。どうぞよろしくお願いいたします。
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