染めバラのメリット・デメリット

 先日、お客様から「染めた青バラの花束はありますか?」という、お問い合わせを受けました。

 染めバラは、その美しい色彩が鑑賞者を引きつけますが、一方でその生産や取り扱いにはいくつか特異な側面があります。
 特に、現在日本国内では染料を吸わせた染めバラの生産はほとんど行われておらず、その多くが輸入品となっています。

 この記事では、そんな染めバラの特性、メリット・デメリットを詳しく解説し、染料を吸わせたいくつかの花材の紹介も行います。

染めバラのメリット・デメリット


 今回、当店にある下の写真のオレンジバラ(カルビディーム)と業務用の青の染料で試しに12時間ほど吸わせてみましたが、イメージ的にはこのような写真のように仕上がります(※オレンジのバラに青の染料を吸わせたので、グリーンになっています)。

 白バラではもっときれいに青く染まりますが、今回は白バラが手元になかったため、上記写真の一輪オレンジバラ「カルビディーム」での染色となりました。

 半日吸わせましたが、オレンジバラの面影はすっかり消え失せ、「ブルー」の色合いとなっています(元々がオレンジバラだったため、グリーンとも言えますが…)。

 次に、染めバラのメリット・デメリットを述べたいと思います。

メリット

・そもそも「青い」バラというものは自然界に存在しません。また、サントリーの遺伝子組み換えで作ったブルーローズ・アプローズ(下の画像)は、1本あたり税込み3300円と高額で、強香性のため日持ちも悪く、なかなかお手軽には入手できません。

 輸入品の染めバラは1本あたり880円程度と、サントリーの「ブルーローズ・アプローズ」に比べれば安い点が上げられます。この金額なら、染めバラだけでの花束も数千円~の金額でできます。

・自然界にない色合いなので、もちろん貰った方のインパクトは大きいです。きっと印象に残ること、間違いないと思われます。

デメリット

・染料を吸わせているため、やはり通常の状態のバラよりも日持ちがしません。体感的には通常のバラが1週間~2週間持つとすれば、5日ぐらいでしょうか。もちろん体感なのでピタリとはいきませんが、染料を吸わせた分、持ちません。

・花だけでなく、葉も青くなります(下の写真参照)。バラによって、また個体差によってばらつきはありますが、染料が花だけでなく葉にも回ります。

・ご要望があれば弊社にても白バラ等を染めることもできますが、生産者から購入しようとすると、基本的に国内産は無く、輸入品だけになります。

・バラにも個体差があるため、全く同じ染め上がりになる保証ができません。人と同じように同じバラであっても個体差があります。ほぼ同じようにはできますが、「全く同じ」にはなりません。

・染め上がるまで半日を要しますので、至急のご要望には対応できません。また、白バラは常時入荷しておりませんので、白バラで染めてほしいとの至急案件にも対応できません。

・染めバラに関してはキャンセルができません。ご予約いただいた段階で、キャンセル不可のご注文となります。
 また、上記のようなバラの個体差もありますので、イメージと違う・染め上がりにバラツキがある等の理由やお客様都合による返品もできません。

染料を吸わせた花材の紹介

 例えば白バラに青の染色を吸わせ、青のバラを作るというだけでなく、下で紹介するようなレインボー色に染めたバラや、染料を吸わせたガーベラ・かすみ草、胡蝶蘭などもあります。

 ここでは、国内で流通する染料を吸わせた花材のいくつかについてご紹介致します。

青の染めバラ「ベンデラブルー」

 下の写真はオランダ産の青バラ「ベンデラブルー」。白のバラに青の染料を吸わせ、更に周りからも塗料を吹き付けて作ったものです。
 こちらの商品は専門の業者が色を染めているため、非常にきれいに仕上がっております。花そのもののボリュームもあり、豪華な一品です。

 ただし値段は1本あたり税込550円~880円と、相場状況によって値段は変わってきますが、一般に流通するバラに対して少し高くなります。
 こちらの商品もお取り寄せできます。

 なお、必要な日時の1週間前までにご連絡を頂ければと思います。

青バラ「ベンデラブルー」27本を使った花束

 下の写真はオランダ産染バラ「ベンデラブルー」27本とかすみ草を使った花束です。
 小学校教員時代の教え子が結婚することになり、奥様に渡すとのことでお作りした花束です。

 青が好きなので、青い花でお願いしますとのことで、青バラをメインとした花束をお作りしました。

カラフルな染めバラ「レインボーローズ」

 下の写真は染めバラ「レインボーローズ」。オランダからの輸入品です。

 上記に記載した「メリット」・「デメリット」の特性を十分受け継いでいます。この商品に関してはフラワーショップ アリスで注文する場合、完全にお取り寄せの商品となります。

 航空便でオランダから輸入されますが、受け取り日の1週間前までにご注文を頂ければと思います。こちらの商品に関しては、予約注文した段階でキャンセル不可となりますので、ご了承下さい。

 2022年10月20日段階で1ドル150円の円安となっておりますので、おおよそですが税込で1本あたりの販売価格が550円~880円ぐらいと見て頂ければと思います。

染料を吸わせた青い大輪ガーベラ

 こちらは青い大輪ガーベラ。 

 右と左の写真のガーベラは同じものです。撮影時の光の加減で2枚の「青」の色合いが違いますが、実際に見ると右側の写真の方が色合いとして近いです。

 本来、青い薔薇も白バラに染料を吸わせればこのような色となります。

染料を吸わせたかすみ草

 下の写真は染料を吸わせたかすみ草。全国的にも有名な福島県昭和村のかすみ草となっています。

 この鮮やかで可愛らしい色合いが特徴的な昭和村の染めかすみ草は、今までのかすみ草のイメージを一新させます。

 思わず目を引く彩りは、昭和村の技術と情熱の賜物です。

染料を吸わせた青い胡蝶蘭

 下の写真は青い染料を吸わせた、ブルーの胡蝶蘭「ブルーエレガンス」。

 特殊な染色を施しており、染料を吸わせたにもかかわらず、日持ちが通常の胡蝶蘭と変わりません。

 非常に珍しい一品。こちらは予約注文となり、場合によっては、2~3週間ほど待っていただくことになる、限定生産の胡蝶蘭となります。

紫の胡蝶蘭「パープルエレガンス」

 こちらも同じ「エレガンスシリーズ」の中で、ブルーと同様におすすめの品種「パープルエレガンス」となります。

 白の胡蝶蘭に特殊な染色を施しており、染料を吸わせたにもかかわらず、日持ちが通常の胡蝶蘭と変わりません。  
 非常に珍しい一品。こちらも予約注文となり、場合によっては、2~3週間ほど待っていただくことになる、限定生産の胡蝶蘭となります。

 金額はブルーと同様に税込30000円となります。

まとめ

 今回は、染めバラのメリット・デメリットについてまとめてみました。

 自然界にはない色合いですので、貰った方のインパクトは大きく、きっと驚かれ、喜ばれると思います。
 もしご注文される場合は、メリットとデメリットを勘案していただければと思います。

 また、上記でご紹介したガーベラやかすみ草、胡蝶蘭などもフラワーショップ アリスで取り扱っております。いずれも予約対応となります。早めにご予約いただければ対応可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

菊地充智
菊地充智代表取締役社長
 こんにちは。フラワーショップ アリスの代表取締役、菊地 充智と申します。
 福島県本宮市出身で、元々は教員として子どもたちの教育に尽力していました。その経験は私にとって大切な基礎となり、人と心を通わせる重要性や、強い絆を築くことの意味を深く理解させてくれました。

 2007年、私は新たな挑戦としてフラワーショップ アリスに加わりました。それ以来、花々と共に日々成長し、お客様に最善のサービスを提供するために常に努力しています。
 そして、花の美しさとそれぞれの物語をより深く理解し、お客様に届けるため、全国の花の産地を訪れています。

 私の経営理念は、お客様に最高の満足を提供し、常に改善と修正を行いながら、お客様にとってベストの選択を追求することです。この理念は、私が書く文章にも反映されています。

 皆さんが私の記事を通して、花の世界の美しさや、そこに込められた物語を感じ取っていただければ幸いです。それが私が記事を書く大きなモチベーションとなっています。どうぞよろしくお願いいたします。

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