千両市

 2020年12月9日、福島花卉にて千両市が行われました。先日の松市に引き続いて、年に一度だけの特別な市となります。

 千両の栽培地域は茨城県以南の暖かい地域。千葉県館山や静岡県藤枝市(大井川)などもいいものを作っています。

 今年は裏年であり、尚且つ7月末までの梅雨の影響で実付きが悪いとの情報を得ていましたが、その中でも千葉県館山の山川さんが作ったもの、そして大井川産のものは実付きがいいとの情報を1ヶ月以上前から聞いていました。そこで今回の仕入れでは、千葉県館山の山川さんが作ったもの、そして大井川産のものを集中して競り落とすつもりで朝5時に起床し、気合いを入れて市場に向かいました。

 ちなみに千両の表年・裏年とは、ミカンと同じように豊作の年、不作の年が交互に現れる状態を言います。今年の千両は裏年であり、不作の年となります。そのため、入荷する数量も少なくなり、実付きも豊作の年に比べれば悪くなり、結果、競りの値段も高騰します。

 写真は市場での千両が積み上がっている様子。この写真は競り前の千両の極一部ですが、同時並行で複数の競り人が千両の競売を始めるため、かなりの集中力を要します。1箱を競るのに10秒もかからない時も多く、ぼやぼやしているとあっという間に流れてしまい、挙げ句の果てに買えないリスクも背負います。

 先述のように、松市や千両市は年に一度の特別な日であるため、この日を逃すと基本的に入手ができなくなってしまいます。「千両が入手できませんでした」では、専門店としては決して許されない話なので、この日の緊張感は普通の競り日の比ではありません。

 競り場には朝早く着きましたが、早速館山の山川さんの千両や大井川産のものを見てみました。裏年と想定していましたが、実付きが十分です。後は、如何に競り落とせるかにかかっています。

 千両にも当然等級があり、上は特級から5等のものまで、様々です。特級と5等のものでは仕入れ値の価格差が10倍以上にもなるため、同じ千両といえども、実付きの状態や葉の色合いなども見極めながら、瞬間瞬間で判断しながら入札していかなければなりません。

 もちろん千両も松と同じく正月用として使用するものが大半であるため、安易に大量に仕入れることもできず、また、値段も張る商品のため、入札には慎重に、かつ大胆に行っていかなければなりません。

 普段の競りではここまでの緊張感が全くありませんが、さすがにこの千両市だけは極度の集中と緊張感で、競り中に数量のメモを取っている際に手が震えて字が書けなくなります。スマホの電卓も併用しながら、入札数量の確保と仕入れ値の計算などを同時並行で行い、尚且つ次々と流れる競り品を瞬間瞬間で判断しながら、入札の可否を行っていきます。

 上記写真は競り落とした大井川産の千両(3等)。実付きが十分です。葉の色付きもよく、裏年と想定していましたが、素晴らしいできばえです。

 今回は入札が非常に上手くいき、館山の山川さんのもの、大井川産のものをピンポイントで、集中的に競り落とすことができました。必要量も十分に確保でき、非常に納得のいく競りとなりました。また、今回の競りでは複数種の等級の千両と、紅(くれない)と呼ばれる深い赤色の実の千両を入手しました。

 これから水揚げです。仕入れた千両の1本1本を全て金槌(かなづち)で根元を潰し、等級ごとに区分けして水を張ったバケツに入れます。

 上記写真は今年の正月のもの。正月用には縁起物の千両が欠かせません。

 関東の大型量販店では、今年は仕入れ値が非常に高額な千両から、輸入のヒペリカムに切り替えているとの話も聞いていますが、やはり千両は千両であり、通年で流通するヒペリカムとは意味合いが違います。

 今年も当店では実付きの良い、素晴らしい千両を豊富にご用意しております。当店の正月用アレンジには縁起物の千両を欠かさずに入れ、お客様にとっても、来年が素晴らしい年になれればとの思いを込めて制作しています。

 正月用アレンジは12月28日頃から店頭に並べます。玄関先などに飾って、新たな新年を迎えて頂ければと思っています。