花屋の裏側~大型冷蔵庫の入れ替え~
花屋の裏側~大型冷蔵庫の入れ替え~
弊社では下の写真のような大型の冷蔵庫が合計4つありますが、今回は一番古い大型冷蔵庫の入れ替えを行いました。
花屋では、場所によってはこのような大型冷蔵庫を持たないところもあると思いますが、弊社では多量の花を一時的に保管するため、鮮度維持にどうしても必要な機材となります。
30年以上使用した冷蔵庫
弊社でもっとも古い大型の冷蔵庫は使用歴が30年以上となり、中の断熱材が劣化・収縮し、試算すると新品に比べて断熱の効果が半分以下となっているとの話を受けました。
上の写真は商品を中から取り出している最中の様子。
30年以上使用したため、これまでも定期的に掃除はしていましたが、よごれも酷くなっていました。
新品の冷蔵庫への入れ替え
新品の冷蔵庫を設置している途中の様子。
設置完了。温度は8度に設定しました。
中の様子。毎回、入荷したばかりの花を庫内に保管していますが、鮮度が違って見えます。
実際に運用して数日が経ちました。今回は冷蔵庫の入れ物のみを交換し、数年前に交換したモーター等は入れ替えていませんが、断熱材が非常に効いています。
今までは24時間モーターが動きっぱなしでした。また、それが当たり前だとも考えていましたが、入れ替えて5分程度運転したかと思うと、すぐに設定温度まで落ち、そのままの状態を維持するため、ほとんどモーターが止まっています。
入れ替えたことで、昨今高騰している電気代も大幅に節約することになると思います。
積極的に設備投資をすることで、これからも鮮度のいい花をお客様に提供したいと考えています。
冷蔵庫の入れ替えは、どの花屋も恐らく伝えないだろう、花屋の裏側の一面です。
コラム:低温保管が花の鮮度管理になぜ重要か?
- 老化プロセスの遅延:花が光にさらされると、光合成プロセスが促進され、それに伴い花の代謝活動も活発になります。代謝が活発になると、花はより速くエネルギーを消費し、その結果、老化が早まることになります。ですから、光の量を制限することは、代謝速度を下げ、花の寿命を延ばすのに役立ちます。
低温保管は、このプロセスに二重の効果をもたらします。まず、低温自体が花の代謝活動を遅らせるため、エネルギー消費が抑えられ、老化が遅くなります。さらに冷蔵庫内は通常暗く、光の露出が限られています。これにより、光合成活動が減少し、代謝がさらに抑制されるので、花の鮮度がより長持ちします。 - しおれの減少:低温は花のしおれを減少させ、外見をより長く保つのに役立ちます。これにより、花の質感や色が長持ちします。
- 呼吸プロセスの遅延:低温環境は花の呼吸プロセスを遅らせ、劣化の速度を減少させます。
- 市場価値の維持:適切に管理された温度と湿度は、花のしおれ、褐色化、花弁の変色を減少させ、品質と市場価値を維持します。
※「褐色化」とは、花や植物の一部が茶色に変色する現象を指します。これは通常、花や植物の老化、病気、乾燥、またはその他のストレスによるダメージの兆候として発生します。褐色化は特に切り花において顕著で、花弁や葉が茶色に変色し、しおれたり枯れたりすることがあります。 - 理想的な温度範囲:ほとんどの生産者や施設は、切り花には2〜8度が理想的な温度範囲であると述べています(注1)。理想的な温度範囲に関しては、特に花の生産者や専門の生花店での管理が重要です。
一般のお客様が家庭で花を楽しむ場合、これらの低温条件を完全に再現する必要はありません。家庭環境では、直射日光を避け、涼しい場所に花を置くことで、その美しさを十分に保つことが可能です。
重要なのは、花を極端に暑い環境や冷気の直接当たる場所に置かないことです。このような簡単な注意点を守ることで、家庭でも花を長く楽しむことができます。
参考サイト:(注1)
To Cool or Not To Cool (That’s the Question)
この記事を書いた人
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こんにちは。フラワーショップ アリスの代表取締役、菊地 充智と申します。
福島県本宮市出身で、元々は教員として子どもたちの教育に尽力していました。その経験は私にとって大切な基礎となり、人と心を通わせる重要性や、強い絆を築くことの意味を深く理解させてくれました。
2007年、私は新たな挑戦としてフラワーショップ アリスに加わりました。それ以来、花々と共に日々成長し、お客様に最善のサービスを提供するために常に努力しています。
そして、花の美しさとそれぞれの物語をより深く理解し、お客様に届けるため、全国の花の産地を訪れています。
私の経営理念は、お客様に最高の満足を提供し、常に改善と修正を行いながら、お客様にとってベストの選択を追求することです。この理念は、私が書く文章にも反映されています。
皆さんが私の記事を通して、花の世界の美しさや、そこに込められた物語を感じ取っていただければ幸いです。それが私が記事を書く大きなモチベーションとなっています。どうぞよろしくお願いいたします。
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