花言葉を超えて~花選びで大切な心に響く色合い~

 時々、お客様から「花言葉がいい花は何ですか?」といった質問を受けます。しかし同じ花でも花言葉には何種類もの意味合いがあり、一概に「これがおすすめです」ということはお答えしにくい状況です。

 今回は、花言葉の由来と花言葉にとらわれない、心に響く色合いについて記載したいと思います。

花言葉を超えて~花選びで大切な心に響く色合い~

花言葉の由来

 花についての花言葉やそれに類するものは世界中にありますが、歴史的に見ると、古代エジプトやギリシャ、ローマ文明でも特定の花が神話や伝説と結びつけられ、象徴的な意味を持っていました。

 また、中世のヨーロッパでは、宮廷文化が発展し、花を贈ることで繊細な感情を伝える習慣が生まれました。この時期には、恋人たちが秘密のメッセージを送るために花を使うこともあったと言われています。

 中国では、古くから詩や文学で花が象徴的に描かれてきており、また、日本では平安時代から花を詠む歌や、花の季節を楽しむ行事が盛んで、花に対する独自の感情や意味が生まれました。

西洋のフラワーランゲージ

 18世紀から19世紀にかけてのヨーロッパ、特にイギリスではフラワーランゲージが発展しました。この時代には、花の種類や色によって様々な意味が割り当てられ、花言葉の辞典が作られるようになりました。この文化は世界中に広まり、現代の「花言葉」に繋がっています。

 「花言葉」としてバラを例に出すと、赤は「愛情」「真実の愛」を表し、ピンクは「感謝」「優雅さ」を、白は「純潔」「尊敬」を、黄色は「友情」「歓び」を象徴するといった意味合いになります。

日本の花文化

 日本では、古くから花に対する独自の感情や意味があります。下に代表的な事例をいくつか挙げましたが、これらは我々日本人が日本で生まれ、日本で過ごしてきたからこそ感じるものであり、日本という文化的な背景に沿ったものと言えます。

  1. 桜 : 桜は日本の国花とされ、春の訪れを象徴します。桜が咲くことで、新しい始まりや希望を感じる人も多いです。また、桜の花が散る様子は「儚さ」や「無常」を表し、人々に美しさと同時に命のはかなさを教えてくれます。花見という行事は、桜を愛でるだけでなく、友達や家族とのつながりを感じる機会でもあります。
  2. 梅 : 梅は春の訪れを告げる花の一つで、寒さに耐えて咲く姿から「忍耐」や「力強さ」を表します。また、梅の香りは清楚で上品とされ、「清潔感」や「純粋さ」を象徴します。
  3. 菖蒲 : 菖蒲は端午の節句(こどもの日)に関連する花で、菖蒲の葉の剣のような形から「勇気」や「戦いの勝利」を象徴します。また、菖蒲は邪気を払うとされており、家庭内の災いを避ける力があると信じられています。
  4. 彼岸花 : 彼岸花は秋分の日に咲くことが多く、仏教のお彼岸に関連しています。死者の魂があの世へ渡る際に彼岸花が咲くとされ、「あの世」と「この世」を繋ぐ象徴とされています。また、その美しい赤い花は「別離」や「哀切」の感情を表すこともあります。

花言葉にとらわれない花選び

その人に合った色合いの重要性

 上記で示した日本の代表的な花の意味合いは、日本に住む我々日本人だからこそ感じるものです。逆に言うと、18世紀から19世紀にイギリスを中心に発展した「フラワーランゲージ」は、西洋の文化が分かってこその意味合いであり、我々日本人が普段からあまり気にして意味合いを考える必要も無いのかなと個人的に思っています。

 それ故に、花選びにおいては他国の文化から作られた花言葉よりも、相手の好みや性格に合った色合いを重視することが大切だと考えています。

 色は感情や印象に大きく関わるため、花の色合いを選ぶことで贈り物に更に深い意味が与えられます。例えば、赤い花は情熱や愛情を表すことが多く、ピンクの花は優しさや可憐さを象徴することがあります。一方で、白や青などの落ち着いた色の花は、清らかさや平和を感じさせることができます。

 そのため、花言葉にとらわれず、贈る相手が好む色や、その人にふさわしい雰囲気を持つ花を選ぶことで、贈り物がより心に残るものとなります。また、贈る相手が日本人であれば、日本の花文化や季節感を反映した花選びも喜ばれると思います。このような視点から花選びをすることで、相手に合った色合いの花を選ぶことができ、心に響く贈り物となります。

色彩心理学を活用した花選び

 色彩心理学は、色が人間の心理や感情に与える影響を研究した学問です。それぞれの色には、独自の意味や感情があり、それらを理解することで、相手に合った花を選ぶ際に役立ちます。以下に、色彩心理学に基づいた代表的な色と、それらの色が持つ意味や感情を紹介します。

  1. 赤: 赤は情熱、エネルギー、愛情を象徴する色です。贈る相手に感謝や愛を示したい場合、赤い花が適切な選択となります。また、赤は目立ちやすい色であるため、祝い事やお祝いの席にふさわしいとされています。
  2. 青: 青は安らぎ、信頼、知性を表す色です。友人やビジネス関係者に贈る花に青が含まれていると、安心感や信頼感を与えることができます。また、青はリラックス効果もあるため、病院のお見舞いにも適しています。
  3. 緑: 緑は自然、癒し、安定を象徴する色です。緑の花は、リフレッシュや新しいスタートを願う場面にふさわしい選択です。また、緑は安定感を与えるため、家族や友人への贈り物にも最適です。
  4. 黄色: 黄色は明るさ、活力、希望を表す色です。黄色い花は、元気づけたい相手や、お祝い事に適しています。また、黄色は創造力や知性を象徴するため、新しいプロジェクトの開始や、卒業・進学のお祝いにも適した色です。
  5. ピンク: ピンクは優しさ、可憐さ、恋愛を象徴する色です。ピンクの花は、友人や恋人への贈り物に最適であり、特に女性に喜ばれることが多いです。また、ピンクは癒しやリラックス効果も持っているため、病院の見舞いや新築祝いにも適しています。

 これらの色彩心理学を活用した花選びをすることで、贈る相手に喜ばれるだけでなく、花自体が持つ美しさや表現力を最大限に引き出すことができます。このように贈り物に花を選ぶ際には、花言葉よりも色彩心理学などに注目し、相手に合った色合いの花を選ぶことが大切です。

まとめ

 贈り物に花を選ぶ際には、文化的な背景が違う西洋の花言葉にとらわれるよりも、もらう方をイメージし、相手に合った色合いを重視してみてください。更に色彩心理学なども活用することで、贈る相手の心に響く贈り物になると思います。贈り物に花を選ぶ際は、花に名付けられた意味合いよりも、そんな「心に響く色合い」を気にしてみてはいかがでしょうか?

この記事を書いた人

菊地充智
菊地充智代表取締役社長
 こんにちは。フラワーショップ アリスの代表取締役、菊地 充智と申します。
 福島県本宮市出身で、元々は教員として子どもたちの教育に尽力していました。その経験は私にとって大切な基礎となり、人と心を通わせる重要性や、強い絆を築くことの意味を深く理解させてくれました。

 2007年、私は新たな挑戦としてフラワーショップ アリスに加わりました。それ以来、花々と共に日々成長し、お客様に最善のサービスを提供するために常に努力しています。
 そして、花の美しさとそれぞれの物語をより深く理解し、お客様に届けるため、全国の花の産地を訪れています。

 私の経営理念は、お客様に最高の満足を提供し、常に改善と修正を行いながら、お客様にとってベストの選択を追求することです。この理念は、私が書く文章にも反映されています。

 皆さんが私の記事を通して、花の世界の美しさや、そこに込められた物語を感じ取っていただければ幸いです。それが私が記事を書く大きなモチベーションとなっています。どうぞよろしくお願いいたします。

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