2022年・松市

 今年も年一回の松市が始まりました。松市と千両市はそれぞれ年1回ずつ、その品種のみのセリを行う特別な日となります。

 今年も品質はいいですが、人手不足の影響により若松の出荷で精一杯で、根引き松の出荷は僅かとなるなど、品種によっては不足感のあるセリとなりました。

2022年・松市

セリ前の松

 下の写真はセリ前の松が並んだ一部分を撮影したもの。手前から三光松。そして台車で隠れて見えないですが、マツカサ付きの小ぶりの松。奥には若松が並びます。

 1m50cmを超えるような大きな松は一本単位でセリにかけられます。枝ぶりや形状から、1本1本セリの価格(付けられる値段)が変わってきます。

 セリにかけられる松は3mを超える大ぶりの松から、数十センチの小ぶりの松まで様々で、品種も多様です。使用用途や生け方により、セリの参加者である我々花屋が競り落とす松も変わってきますが、そこは長年の経験と目利きが必要になってきます。

 写真は何十年とかけて育ったであろう黒松。3m超えの一品。私は競り落としませんでしたが、高い値が付けられていました。

 この松はあまりにも太すぎるため、オアシスのみで固定するのは難しいです。もし生けるのであれば、本格的な木の枠を作り、倒れないように工夫する必要があります。また、トラックで市場から店に持ち帰るのも一苦労します。ハイエースでは入りませんので、運送会社のトラックにチャーターでお願いする必要があります。

 市場では一際目を引きましたが、大きなホテルのエントランスに、きちっとした木の枠を設営し、生けるぐらいの話です。目は引くが、なかなか手が出せない品でした。

苔梅とクリスマス用の枝物

 松市の前に競った苔梅。フラワーショップ アリスでは、一番手前の大ぶりの苔梅を競り落としました。

 下の写真は事前に私が注文していた白塗りの枝物と銀色に染めた西洋ヒイラギ(クリスマスホーリー)。松市と同一日に入荷しました。

 来週には千両も大量に入荷しますので、倉庫の中はクリスマスの枝物・正月用の枝物等が混載し、足の踏み場もないぐらいの状態になります。

今日競り落とした松など

 下の写真は今日競り落とした松の一部。

 左の写真、奥は若松。手前は珍しい「蛇の目松」。そして右奥は画像が切れていますが、大王松や姫五葉松など。若松はこのバケツに入っているだけでも、500本あります。

 上の写真、右側は高さ2.3mと2mの赤松、そして苔梅。こちらは生け込みに使います。

 こちらの写真は松市の前に競った「いかり竹」と「篠竹(しのたけ)」。いかり竹はアレンジに、篠竹は生け込みに使います。

 30年前よりはだいぶ松の需要も減少してきましたが、それでも「松」が無ければ正月が迎えられません。松の生産者も後継者がいるそうで、一生懸命、年数をかけて生産しています。

 来週には千両市が始まります。来年もいい年が迎えられるよう、千両や松を使ったアレンジ等を飾り、正月を迎えてみてはどうでしょうか?

この記事を書いた人

菊地充智
菊地充智代表取締役社長
 こんにちは。フラワーショップ アリスの代表取締役、菊地 充智と申します。
 福島県本宮市出身で、元々は教員として子どもたちの教育に尽力していました。その経験は私にとって大切な基礎となり、人と心を通わせる重要性や、強い絆を築くことの意味を深く理解させてくれました。

 2007年、私は新たな挑戦としてフラワーショップ アリスに加わりました。それ以来、花々と共に日々成長し、お客様に最善のサービスを提供するために常に努力しています。
 そして、花の美しさとそれぞれの物語をより深く理解し、お客様に届けるため、全国の花の産地を訪れています。

 私の経営理念は、お客様に最高の満足を提供し、常に改善と修正を行いながら、お客様にとってベストの選択を追求することです。この理念は、私が書く文章にも反映されています。

 皆さんが私の記事を通して、花の世界の美しさや、そこに込められた物語を感じ取っていただければ幸いです。それが私が記事を書く大きなモチベーションとなっています。どうぞよろしくお願いいたします。

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