ロビーでの正月用生け込みの制作事例
今回は、温泉施設のロビーでの正月用生け込み事例をご紹介します。
制作時間、約1時間。ロビーですので、広義でのラウンド型のような、全方位から見られる形でお作りしました。
どんな感じにできあがるのか、是非ともご覧下さい。
まずはオアシスから。事前にたっぷり水を含ませた、固めのタイプの物を用意しました。今回は台座が特徴的で、木の切り株の大型の台座は高さが約70~80cmほどの大きめの物となります。横幅は最大2mほどでしょうか。
ロビーの中央にありますので、生け込みも全方位から見られることを想定して生けなければなりません。
まず始めに苔梅を生け込み、高さを決めます。この苔梅は高さ2m50cm程の大きな枝ぶりの物。枝の先々に花の蕾が付いており、咲く直前の状態です。これほどの大きさの苔梅はほとんど流通しません。市場の競り人に優先で取って頂きましたが、一般的な花屋では滅多に置いていない見事な一品です。
これほど大きな枝物は、オアシスに挿しても固定できずに倒れる可能性が高いです。そのため、オアシスを詰めてできた隙間に入れています。
続いて二段実の南天を生け込みます。二段実の南天はもっと枝が長いですが、今回はノコギリを使って枝を切断し、苔梅との高さのバランスを図っています。
次に千両で横幅を決めています。この千両は2等の物ですが、さすがに等級が高く値段も高いため、枝が真っ直ぐになっています。店頭売り1本1400円となかなか高級な花材ですが、こういった大きな生け込みには必須の枝物です。
千両は特級から5等まで、また色合いも普通の実付きのものから濃い赤の紅(くれない)と呼ばれるもの、黄色い実のものなど、値段が安いものから高いものまで様々で、仕入れ値も10倍以上変わる場合もあります。ぱっと見では等級も値段も分からず全く一緒に見えるかもしれませんが、実付きや枝ぶり、葉の色など、多くの点で違いが見られます。
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◎千両市
続いて二段実の南天の2本目と篠竹を生け込みました。2本目の南天は、当然ながら1本目と高さを変えています。
篠竹は全て同じ長さで現地で切っていませんが、オアシスに挿す深さで高さ調整をしています。
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この写真は百合とスプレー菊、ドラセナを入れたところ。写真はこれまで、全て片面からだけの撮影となっていますが、全体を見回し、空いているスペースがないかどうか等の確認をしながら生け込んでいます。ワンサイドではないため、その分制作時間がかかります。
百合は高知県産の八重百合。スプレー菊は静岡県大井川産、ドラセナは沖縄の山内さんが作ったアトムピンクとなります。2020年の2月に沖縄に産地訪問を行い、山内さんにも直接会って「アトムピンク」を増産して欲しいと交渉した結果、今では定期的に山内さんが作ったドラセナ「アトムピンク」を送って頂けるようになりました。山内さんの作ったドラセナは全国でも引っ張りだこで、全量予約品となっているそうです。
ほぼ完成形に近づいてきました。写真がややピンボケ気味になってしまったのが残念なところ。
トルコキキョウと金色に染めた柳、オンシジューム、そして隙間を埋める感じで短めの千両(3等)を入れ込んだ状態。先述のように、何回もこの生け込みの周囲を回りながら、空いているスペースに生け込んでいきます。
大事なことは、花材全体の高低差を生かしながら、凹凸を付けていくところ。全体が同じ高さで丸い場合、全く面白くない生け込みとなってしまいますので、「目を引く」ような色の組み合わせや凹凸を意識して生け込んでいきます。
胡蝶蘭とバンダ、飾りを付けて完成。さすがに全体として3m近い生け込みですので、苔梅の上の方に飾りを付ける際、この木の切り株の上に昇らないと付けることができません。
胡蝶蘭は鹿児島県産の秀品。花は一般的に「秀品」「優品」「良品」「格外」と4段階に区分けされますが、「秀品」は最も品質が高いものとなります。バンダは青色のものを選びました。全体として赤・ピンクが主体の生け込みです。やはりブルーが入ると全体が締まりますので、青い花材として今回はバンダを選択しました。
違う面から撮影してみました。先述のようにロビー中央に位置しているため、全方位から見られることを想定して生け込んでみました。単なる丸い生け込みではなく、形に変化を見せています。多くのお客様に目が触れるものですので、しっかりとした国産品の花材を使い、丁寧に生け込んでみました。
今回は、ロビーでの正月用生け込みの制作事例についてまとめてみました。
ワンサイド型の正月用生け込み事例として、下の関連記事にリンクを記載しています。宜しければそちらもご覧下さい。
併せて、時期限定のスポットでの出張生け込みにも対応致します。ご要望がありましたら、是非とも弊社にお問い合わせ下さい。
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使用花材
・苔梅・南天(二段実)・千両・八重百合・篠竹・オンシジューム・胡蝶蘭・バンダ・スプレー菊(濃舞風車)・トルコキキョウ・金タレ・ドラセナ(アトムピンク)
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こんにちは。フラワーショップ アリスの代表取締役、菊地 充智と申します。
福島県本宮市出身で、元々は教員として子どもたちの教育に尽力していました。その経験は私にとって大切な基礎となり、人と心を通わせる重要性や、強い絆を築くことの意味を深く理解させてくれました。
2007年、私は新たな挑戦としてフラワーショップ アリスに加わりました。それ以来、花々と共に日々成長し、お客様に最善のサービスを提供するために常に努力しています。
そして、花の美しさとそれぞれの物語をより深く理解し、お客様に届けるため、全国の花の産地を訪れています。
私の経営理念は、お客様に最高の満足を提供し、常に改善と修正を行いながら、お客様にとってベストの選択を追求することです。この理念は、私が書く文章にも反映されています。
皆さんが私の記事を通して、花の世界の美しさや、そこに込められた物語を感じ取っていただければ幸いです。それが私が記事を書く大きなモチベーションとなっています。どうぞよろしくお願いいたします。
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