ダリアの深掘り: 歴史と色別の種類、そして花束のご紹介


 ダリアは、赤・ピンク・白・紫など豊富な色彩と多彩な咲き方が魅力の花です。切り花や花束、ガーデニングとして幅広く親しまれ、花のサイズや形によって印象も大きく変わります。

 本記事では、ダリアの歴史や起源を振り返り、代表的な品種を色別に紹介。さらに花束の事例や生産現場の様子も取り上げ、ダリアの魅力を実用的かつ多角的に解説します。

ダリアの深掘り: 歴史と色別の種類、そして花束のご紹介

 ダリアの露地物は初夏から秋にかけてが最盛期となりますが、ハウス栽培も含めると、通年で入手できる花材となります 。

 今回の「ダリアの深掘り」の記事では、ダリアの歴史や種類、そしてダリアを使った花束などをご紹介します。

ダリアの歴史と起源

ダリアとは?

 ダリアはキク科(Asteraceae)に属し、マーガレットやヒマワリなどと同じ仲間です。キク科の花は、多数の小花が集まって一つの大きな花に見える「総合花」が特徴で、ダリアもその構造から豊かな色彩や形状を生み出しています。丈夫で環境適応力が高いため、世界各地で広く栽培されています。

ダリア「レッドストーン」

ダリアの起源

 ダリアの起源は、メキシコやグアテマラなど南米の高地に自生する野生種にさかのぼります。名前は、18世紀のスウェーデン人植物学者アンドレアス・ダールに由来し、その功績を称えて名付けられました。

ダリア「ナマハゲマジック」

ダリアの日本への流入

 ダリアは、19世紀半ばに日本に紹介されました。日本への最初の導入は、おそらくオランダ人によるもので、当時の日本とオランダとの間で行われていた貿易を通じて行われたと考えられています。

ダリア「かまくら」

 日本に導入された当初、ダリアはその美しさからすぐに人気を博し、庭園や公園で広く栽培されるようになりました。また、日本独自の品種改良も行われ、多くの新しい品種が生まれました。これらの品種は、日本の風土に適応したもので、日本のダリア栽培の発展に大きく寄与しました。

【色別】ダリアの紹介

 ダリアには5万種以上の登録品種があるとされ、花色や咲き方の多様さは圧倒的です。切り花として流通する品種も非常に豊富で、色彩や形状の違いが楽しめます。

 ここでは、その中の一部となりますが、色別のダリアについて紹介したいと思います。

ダリアの花の大きさ分類(6区分)

  • 超巨大輪(AA/Giant):花径25cm以上。迫力があり、公園や展示会で注目される。
  • 巨大輪(A/Large):20~25cm。大きさと扱いやすさを兼ね備える。
  • 大輪(B/Medium):15~20cm。切り花・庭植えどちらにも人気。
  • 中輪(BB/Small):10~15cm。用途が幅広く扱いやすい。
  • 小輪(M/Miniature):5~10cm。可憐で繊細な印象。
  • 極小輪(Pompon):5cm以下。丸い花弁が密集した球形。

紫系

ムーンストーン

 ダリア「ムーンストーン」は淡いラベンダー色のフォーマルデコラ咲き(注1)の中輪品種です。

 フラワーショップ アリスのトップページには、この「ムーンストーン」と「ナマハゲパープル」の画像を使ってスライドを作っています。

(注1)フォーマルデコラ咲きとは?

フォーマルデコラ咲きは、ダリアを代表する咲き方で、最もポピュラーな花型です。花弁は幅広で舟形をしており、規則正しく整然と並びます。全体としては、丸みを帯びた端正で豪華な花姿が特徴です。花径の大小を問わず、切り花や庭植えなど幅広い用途に適しています。

デコラティブ咲きとの違い

「デコラティブ咲き」は、フォーマルデコラ咲きの仲間ですが、花弁の形や並びによりいくつかのタイプに分けられます。

  • フォーマルデコラ咲き
    → 花弁が均一に並び、全体が整った円形になる。端正でクラシックな美しさが特徴。
  • インフォーマルデコラ咲き(デコラティブ咲きの一種)
    → 花弁が少しねじれたり、不規則に重なったりするため、柔らかく動きのある印象を与える。

つまり、フォーマルデコラ咲きは「整然とした端正な咲き方」、デコラティブ咲き全体は「華やかで多様な表情を見せる咲き方」と言えます。

ナマハゲパープル

 ダリア「ナマハゲパープル」。ジャパンフラワーセレクション受賞品種です。

 「ナマハゲパープル」とは、秋田県が誇る世界的に著名なダリア育種家である秋田国際ダリア園の鷲澤幸治氏と秋田県が共同開発した、秋田県オリジナル品種の「NAMAHAGEダリア」の一つです

 花の特徴としては、今までにないビロードがかった魅力的な赤紫色で、豪華な花型、そして圧倒的な存在感があり、和にも洋にも非常に良くマッチする点が挙げられます

ピンク系

ベイビーピンク

 中央部分の濃いピンクが、外側に向かって次第に淡いピンク色に変化していきます。小ぶりなダリアです。

みっちゃん

 ダリア「みっちゃん」とは、濃いピンクが華やかなボール咲き(注2)のダリアで、愛嬌のあるネーミングも相まってとても可愛らしい印象のダリアです。

 草性頑強で草姿が良く、切り花でも人気の品種です。

(注2)ボール咲きとは?

ボール咲きは、ダリアの咲き方の一種で、花弁が筒状または半筒状になり、それが密集して球体を形づくるのが特徴です。花全体がまん丸にまとまるため、可愛らしく整った印象を与えます。

花径は小~中輪のことが多く、花弁の先端はやや内側に丸まり、触れるとしっかりとした厚みを感じます。その形状から「ポンポン咲き」と呼ばれる極小輪系と近い分類ですが、ボール咲きはそれよりもやや大きく、直径5〜10cm前後が一般的です。

耐久性が高く花持ちが良いため、切り花や花束、アレンジメントに重宝され、規則正しい花姿はブーケのアクセントとしても人気があります。

プリティピンク

 非常に使いやすい色合い。濃いピンクの縁取りと、花びらの淡い黄色とうすいピンク色がきれいな一品です。

ナマハゲマジック

 ナマハゲマジックは、ジャパンフラワーセレクション2013-2014 受賞品種です。

 魅力的な紫色のグラデーションが特徴の中大輪系デコラティブ咲き(注3)咲きの品種です。シックな色合いと豪華な花形で、存在感を放つ一方、和風から洋風まで様々なスタイルに適応します。

(注3)デコラティブ咲きとは?

デコラティブ咲きは、ダリアの中でも最も一般的で人気のある咲き方のひとつです。花弁は幅広で平ら、またはわずかに湾曲しており、規則正しく幾重にも重なって咲きます。そのため、花全体が球状や半球状にふっくらとまとまり、非常に豪華な印象を与えます。

さらに、デコラティブ咲きには細分化があり、花弁が整然と並ぶ「フォーマルデコラ咲き」と、やや不規則に湾曲した「インフォーマルデコラ咲き」に分けられます。どちらも存在感があり、切り花やアレンジメント、庭植えとして幅広く利用されています。

はる

 「はる」は、鮮やかなピンクの花色が印象的な中輪咲きのダリアです。花弁の枚数が多く、中心に向かって立体的に広がるフォルムは、見る角度によって様々な表情を見せてくれます。

 花色はクリアなピンク。根元にほんのりとグリーンが入ることで、花全体に透明感と深みが生まれています。

 茎は固くて真っ直ぐに伸び、アレンジや花束にも扱いやすい品種です。

赤系

レッドストーン

 ダリア「レッドストーン」は、赤色フォーマルデコラ咲きの中輪品種です。

朝日テマリ

 赤のダリアと言ったら定番の、絶大な人気を誇る「朝日テマリ」

 赤のダリアは他にも様々な種類がありますが、個人的にはこの「朝日テマリ」が一番好きですね。

 ボール咲きの中輪で、花持ちの良い品種です。

 上の写真では光の反射で白っぽく写っていますが、実際には下のような真っ赤なダリアです。

ガーネット

 ダリア「ガーネット」は、セミカクタス咲き(注4)の中大輪品種で、年間を通して安定した赤色の発色が期待できる品種です。

(注4)セミカクタス咲きとは?

セミカクタス咲きは、ダリアの咲き方の一種で、花弁が細長く、先端がやや尖りながら外側に反り返るのが特徴です。全体の印象は、フォーマルデコラ咲きよりも軽やかでシャープですが、カクタス咲きほど鋭くはありません。

花弁の幅は中程度で、花全体に動きが生まれるため、華やかさと力強さを兼ね備えた印象を与えます。大輪や中大輪に多く見られ、舞台装飾やアレンジメントで存在感を放つ品種が多いのも魅力です。

エタニティールージュ

 品種改良されたダリア「エタニティーシリーズ」は、日持ちが一般的な品種の1.4~2.1倍に向上しています。

 日持ちも良く、鮮やかな色合いのこの品種もおすすめです。

 花型が整ったフォーマルデコラ咲きで、くすみのないきれいな赤色のダリアです。

ルージュマジック

 ルージュマジックは中大輪のフォーマルデコラ咲きです。写真では明るく撮影されていますが、実際に見ると「真っ赤」という言葉がふさわしい色合いです。

黒蝶

 ダリア「黒蝶」。名前の通り、黒と赤の混色のダリア。気品があり、存在感が抜群です。

 直径は約15cmの大きめのダリアで、ダリアブームの火付け役になりました。

白系

かまくら

 ダリア「かまくら」。ジャパンフラワーセレクション2008年・2009年 受賞品種です。

 純白度が高い品種で、存在感のある大輪の花が特徴です。ダリアの中でも花持ちが良く、おすすめの品種となります。

彩雪

 ダリア「彩雪 (さいせつ)」は形状も純白の色合いも素晴らしく、美しい一品です。

 純白である雪に彩りを添えるという名前の通り、花びらが幾重にも重なって咲きます。
 中心部はクリーム色で外側にいくにつれて透明感のある白になります。

複色系

ムーンワルツ

 中大輪の「ムーンワルツ」。花径は約17cm前後となります。
 桃色から黄色へと美しく変化するグラデーションが特徴です。このやわらかな雰囲気の花容は、見る人を魅了します。

 下の写真はダリア「ムーンワルツ」のみを使った花束となります。

ルル

 赤い縁取りが特徴的なダリア「ルル」は、季節によって花色が変化する品種です。
 高温期はベージュがかった白、気温が下がると白地に赤の縁取りが現れる複色の花になります。

 柔らかく上品な印象を持ちながらも、一輪でしっかりとした存在感があり、ブーケやアレンジのアクセントにも最適です。
 他の花とも合わせやすく、季節感を演出する花材としておすすめの一輪です。

寿宝

 鮮やかな赤と白のコントラストが美しい「寿宝(じゅほう)」。鮮やかな赤と白の対比が、華やかさを引き立てています。

 祝いの席やギフトにぴったりの存在感ある品種です。

ダリアを使った花束

ダリア「ムーンワルツ」を使った花束

 写真はダリア「ムーンワルツ」を入れた花束。淡い色合いでお作りしました。

 身長約160cmの女性が持つと、こんな感じの大きさになります。ボリューム感も十分です。

ダリア「ガーネット」を使った花束

 お客様から、赤・オレンジ・グリーン(葉物)の3色を使ったブーケのご注文を頂きました。

 今回は、ダリア「ガーネット」と赤バラ、オレンジのスプレーバラとユーカリ、そして八丈島産のルスカスを入れてお作りしました。

ダリア「朝日テマリ」を使ったフラワーアレンジメント

 下の写真はダリア「朝日テマリ」を使ったフラワーアレンジメント。原色の組み合わせに白の八重百合を中央に据え、全体の色の調和を図っています。

ダリアの花束の制作

 今回は、ダリア「ムーンワルツ」のみを26本使った花束の制作をご紹介します。

 ムーンワルツをテーブルに載せた状態。

 1本1本をよく見ると、花の向きや角度が全く違います。

 向きや角度を揃えながらスパイラルに組んでいきます。

 組み途中の段階。上向きの花もあれば、完全に横に向いている花もありますので、どの花をどこに配置するか構想を練りながら組みます。

 向きや角度を修正し、完成。この後、ラッピング作業に移行します。

 ラッピングを行っていきます。ラッピングの色合いは、花の色合いを加味しながら決めていきます。

 今回のダリアは黄色とピンクの複色ですので、それに見合った色合いのラッピング用紙を選択しました。

 リボンを付けていきます。

 完成。豪華なダリアの花束ができました。

ダリアの日持ち

 体感的に15~20年前は、ダリアの日持ちは3~5日ほどと、日持ちがしない切り花の代名詞との認識を私は持っていました。

 しかしながら近年は、切り花のダリアは7日以上と、ずいぶん日持ちがするようになってきたと感じています。
 恐らくこれは、生産者が収穫した後、日持ちのする液肥に浸けてから出荷しているのだと考えています。

クリザール:ミラクルミストff
クリザール:ミラクルミストff

 更に近年は、ダリア専用のクリザール製「ミラクルミストff」のような鮮度保持剤が開発されたことにより、更に長持ちすることも多くなってきました。

 フラワーショップ アリスでは、お客様が一日でも長く鑑賞できるようにと、この業務用の「ミラクルミストff」をダリア入荷時に必ず使用しております。
 実際、この「ミラクルミストff」を使用すると、7日どころか10日間持つ場合もあります。

ダリアの生産現場

 写真は2月に産地訪問で伺った沖縄県の嘉数さんが生産しているダリアの圃場の様子。

 花を沖縄から本土へ船便で輸送すると4日かかります。鮮度重視のダリアは長期輸送が向きません。そのため、この嘉数さんが生産したダリアは沖縄県での流通にとどまっています。

 ダリアの生産は、種子または塊根(注5)から始まります。

 ダリアは成長が早く、適切な条件下では数ヶ月で開花します。生産は温度管理が重要で、冷涼な気候を好むダリアは、過度な暑さや寒さを避ける必要があります。

(注5)塊根とは?

塊根(かいこん)とは、植物の根が肥大して養分を蓄える役割を持つ「貯蔵根」の一種です。普通の根よりも太く膨らみ、いも状の形になることが多く、植物が生長に必要なエネルギーを蓄えて次の発芽に備えます。

サツマイモやカラスウリ、そしてダリアが代表例で、ダリアの場合はこの塊根から翌年も新しい芽が出て花を咲かせます。

球根(たまねぎやチューリップのような茎が肥大したもの)とは異なり、塊根は「根そのものが肥大している」点が大きな違いです。

まとめ

 本記事では、ダリアの魅力を歴史的背景から品種ごとの特徴、実際の花束制作や生産現場の様子まで、幅広く紹介しました。

 また、本記事で取り上げたように、品種ごとの色や形、花持ちの違いを理解することで、より実用的に花束やアレンジメントに取り入れることができます。

寿宝

 近年は鮮度保持技術の進歩により日持ちも向上し、より身近で扱いやすい花材となっています。
 本記事が、皆様のダリア選びや花に対する理解を深める一助となれば幸いです。

この記事を書いた人

菊地充智
菊地充智代表取締役社長/色彩講師/UC級講師/1級色彩コーディネーター
こんにちは。福島県郡山市にあるフラワーショップ アリスの代表を務めております、菊地充智です。
元教員としての経験を活かしながら、色彩の専門知識を基に、お客様一人ひとりに寄り添った花づくりを行っています。

全国の産地を自ら訪問し、生産者の声を直接伺いながら、確かな品質と生産者の想いやこだわりが詰まった花を選んでご提供しています。

また、色彩講師(AFT認定)/UC級講師(AFT認定)/1級色彩コーディネーターとして、色彩の理論に基づいた花束・アレンジメントのご提案や、色彩と花に関する情報発信にも力を入れています。

ブログ記事では、花の魅力や色彩などに関する知識を、できるだけ分かりやすくお届けしています。
ご覧いただいた皆様が、花や色彩の奥深さに興味を持つきっかけになれば嬉しく思います。

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