生花祭壇の制作過程

 葬儀で使用する生花祭壇は、通常のアレンジや花束とはコンセプトも作り方も全く違っており、また一定の技術を要するため、どの花屋でもできるかと言うとそうとは限りません。

 生け花では一本一本の花の「表情」が大切であり、それをいかに生かすかが大切になってきます。一方で、生花祭壇は一本一本の花と言うよりも、一つの線(ライン)を描くために花を詰めて挿していくことに特徴があります。

 まさしく、「絵を描く」イメージで作り上げていきます。

 通常は白の大菊でラインを取っていきますが、今回は白のスプレー菊でラインを取っていきました。

 スプレー菊は大菊よりも花の凹凸があるためにラインを取るのが難しく、飛び出た花を一つ一つカットする細かい作業も交えながら、随時修正しながらの制作作業となります。

 生花祭壇のデザインにもよりますが、今回のような左右対称の祭壇を作る場合、微妙なズレも修正しながらの作業となりますので、左右非対称の生花祭壇に比べて、やはり時間がかかります。

 細かい技術的な部分は割愛しますが、当店でも毎年、私を含めたスタッフが技術研修のため東京に赴き、有料指導を受けております。

 上の写真の一番下が一応の完成形となります。この後、実際に斎場でセットし、更に修正を加え、尚且つお客様のご意見等も受けながら、よりお客様がご満足頂けるようにしていきます。

 延べ3時間ほどかけて完成。毎日・毎週同じものを作っていればもっと早くできますが、毎回オーダーメイドで作っているため、やはり時間がかかります。

 埼玉県では通常の花屋が転向して生花祭壇に完全特化して全国展開しているところもあります。直接話を伺う機会がありましたが、関東だけでなく遠くは九州までと、どこにでも資材と花を積んで行くそうです。

 生花祭壇は安いもので数万円から、大物芸能人や政治家などの著名な方の葬儀や大企業の経営者の社葬・合同葬などに使用する数百万円~一千万円台のものまで、金額も様々です。

 こういった生花祭壇に特化した会社では、全国での数百万円レベル以上のかなり大規模な生花祭壇も請け負っています。

 弊社で作成した生花祭壇「波」。

 このようなデザイン性の高い作品も含め、かなり技術的に奥深いのが生花祭壇の特徴であり、これこそが、一般の花屋さんではなかなかできない障壁の高さであり、生花祭壇に特化して全国展開するところも出てくる所以でもあります。

この記事を書いた人

菊地充智
菊地充智代表取締役社長
こんにちは。フラワーショップ アリスの代表取締役、菊地 充智と申します。福島県本宮市出身で、元々は教員として子どもたちの教育に尽力していました。その経験は私にとって大切な基礎となり、人と心を通わせる重要性や、強い絆を築くことの意味を深く理解させてくれました。

2007年、私は新たな挑戦としてフラワーショップ アリスに加わりました。それ以来、花々と共に日々成長し、お客様に最善のサービスを提供するために常に努力しています。そして、花の美しさとそれぞれの物語をより深く理解し、お客様に届けるため、全国の花の産地を訪れています。

私の経営理念は、お客様に最高の満足を提供し、常に改善と修正を行いながら、お客様にとってベストの選択を追求することです。この理念は、私が書く文章にも反映されています。

皆さんが私の記事を通じて、花の世界の美しさや、そこに込められた物語を感じ取っていただければ幸いです。それが私が記事を書く大きなモチベーションとなっています。どうぞよろしくお願いいたします。