花屋にとっての市場の必要性

 今から十数年以上前からでしょうか。価格破壊や流通破壊などと呼ばれ、市場や仲卸を通さずに産地から直送することがいいともてはやされたことがありました。

 しかしながら産地訪問を繰り返すうちに、花屋にとって市場は無くてはならない存在だと、ひいては最終ユーザーであるお客様にとっても市場は必要であるという考えにますます至っています。

 ここでは、簡略ながら「花屋にとっての市場は何故必要なのか?」について記したいと思います。

1.そもそも市場で買うためには?

 そもそも市場でセリを行う(花を買う)ためには、「買参権」が必要です。買参権にはセリに参加する花屋(社長など)が禁治産者ではないなどの証明書類の提出だけでなく、店舗を所有しているのか、(花屋としての)経験年数が3年以上あるのか、年間買上見込みが1000万円以上あるのかなどの条件があり、その条件を満たさない限り、買参権を取得することはできません。結果、買参権が無ければ、そもそも市場でセリに参加することができません。

 また、一定額の保証金や保証人も付けなければならず、買参権取得にはある程度のハードルの高さが伴っています。

2.産地からの配送料が一括のため、それ以上の負担がかかりません。

 花屋一軒一軒は、その規模や時期に応じて適切な花の量を仕入れますが、産地はトラック便や船便で大量に送ってきます。例えば160本入り1ケースの白の大菊を50ケース、計8000本などを1回のセリ分として市場に送ってきます。とても一軒の花屋では捌ききれない量ですが、それを市場でセリにかけ、各花屋が競り落としていきます。

 花屋は白の大菊だけではなく、黄色の大菊も必要だし、バラも必要。もちろんトルコキキョウもレザーファンも・・・etc。というように、数十~数百種類の花を花屋は一回の仕入れで仕入れますが、個別に産地から送ってもらうと、送料だけでお客様への販売価格が大幅アップになってしまいます。

 大量生産、大量輸送。その結果、輸送費が大幅に節減していますが、それを産直という名の下に各生産者から少しずつ直接買うのは、輸送コストの観点からそもそも無理だということが分かります。

3.支払いが一括で済む分、経費が節減できます。

 当たり前ですが、個別の生産者からそれぞれ買っていたのであれば、支払いもそれぞれになってしまいます。その人的コストを勘案すれば、支払いは市場に一括の方が花屋にとっての経費が削減され、その結果、お客様に余分なコストを負担することなく販売することができます。

4.必要な時に必要な種類(本数)を確保してくれます。

 時期によって、生産者がそもそも作っていなければ無理な話ではありますが、市場の競り人が全国から必要な種類(本数)を確保してくれます。

 しかしこれも裏話があり、産地訪問を通して一緒に競り人や市場の社長と行って気付いたことですが、市場の方々、手土産を持って産地に訪問しています。そして、定期的に訪問することで、生産者との人間関係を構築しています。そもそも生産者と人間関係ができなければ、必要な時に必要な分を(生産者が)送ってくれません。

 この産地訪問や人間関係構築を各花屋がやれと言われても当然ながら無理な話です。

5.時には値崩れ防止のために弊社も買い支えに回ることもあります。

 弊社では「いいものを適正な価格で」との考えに沿ってセリに臨んでいますが、時には相場が大幅に崩れる時があります。

 極端な例が2020年4月の緊急事態宣言後。あの時は全国的に、そして大幅に相場が崩れました。弊社も緊急事態宣言後にキャンセルが相次ぎ、どうしようもない状況でしたが、セリで大幅に値が崩れたために(お客様からの注文が無いのにもかかわらず)トラック満載に、それこそ庫内に寸分の隙が無いほど買い支えに参加しました。この時はセリが終わった後に競り人に感謝されましたが、さすがに(あまりにも)買いすぎたので店に戻ってから大騒ぎされましたが・・・。

 しかしながら常日頃から買い支えに(少しばかりでも)参加しているため、弊社が必要な時には市場の競り人の方々が全力で探して、揃えてもらっています。生産者と市場との人間関係、そして市場と買参人(花屋)の人間関係も、こういった常日頃からの付き合いで構築されていきます。


 このように、花屋にとっては市場は必要不可欠な存在であり、今後も継続して事業を行っていくにあたり、人と人との関わりを大切にしながら進めていこうと私は考えています。

 セリに参加する時には、市場の社長と毎回缶コーヒーをおごり、おごられながら花業界の現状や将来について語っているなんてことも、実はもう10年以上続けています。