季節の花たち

珍しい花材、エリンジューム(ブルーダイナマイト)との補色・明度の対比を中心に

 今回は珍しい花材としてエリンジュームを生けてみました。生け込み画像の下側にある青い花材がエリンジュームです。  

 ドライフラワーにも利用されるエリンジュームですが、金属質のような固い質感を醸し出しています。
 
 このエリンジュームはオランダからの輸入品ですが、流通量が少なく、当店でもあまり取り扱わない、珍しい花材となっております。

 先日ご来店いただいたお客様は一輪挿しにとエリンジュームとグリーントルコキキョウをお選びいただきました。

 グリーントルコキキョウともよく合いますが、今回は補色と明度の対比を強調するために、グロリオサと組み合わせてみました。

 エリンジュームは青緑の様な色合いですが、補色としてグロリオサの黄色、そして赤と対比させることにより、グロリオサがより際立つように、そしてエリンジュームが浮き出てくるようにしてみました。

 また、エリンジュームは金属のような光沢感がありますが、明度が低く、落ち着いた色となっています。一方でグロリオサの彩度や明度が高いことによる色合いの対比も面白く感じます。

 今回、生け込みを作成するにあたり、エリンジュームとの組み合わせを色々と試してみました。普段、こういった青緑色の花材と他の花材との組み合わせがないので悩みました。

 エリンジュームは金属のような光沢感・質感があるが、意外と明度が低いこと。明度が低い花材同士で組み合わせても、暗い印象だけが残り、パッとしなくなること。一見青っぽく見えるが、白もあり黒もあり、青もありつつ緑もある、見る角度と光の反射で多様な表情を見せる花材であること。
 以上の点から、組み合わせを考える上では結構、難しい花材だと感じています。

 花単体でのよさももちろんありますが、入荷したばかりの状態では、そのよさが引き立ちません。何の花材と組み合わせれば、その花材のよさが引き立つのか。そこが花を取り扱っている際の面白さかもしれません。

 今回はエリンジュームとグロリオサの補色・明度の対比を中心に、スナップ、アルストロメリア、ドラセナ、ヒムロスギ、アレカヤシを生け込みました。

季節の花たち

ダリアを入れて(花束)

 ダリア(ムーンストーン)を入れて花束を作ってみました。
 
 ダリアの露地物は初夏から秋にかけてが最盛期となりますが、ハウス栽培も含めると、通年で入手できる花材となります (ただし、入荷量は少ないですが…) 。

 種類も豊富で、真っ赤なダリアもあれば、このダリアのような淡い紫や複色のものもあります。
 
 ボリューム感・美しさでは最高の花ですが、残念ながらダリアの欠点は日保ちがしないこと、これに尽きます。
 日保ちの期間は個体差もありますが、市場から仕入れして5~7日ぐらいしか保たない印象です。

 近年はダリアに吹きかけると日保ちが倍に伸びる薬剤もあり、当店も使用していますが、残念ながら業務用であり、一般には流通していません。

 日保ちの点では及第点のダリアですが、これも特性ですから仕方がないものです。(仮に特性として水揚げ後、10日~2週間ほど必ず保つのであれば、当店も毎回必ず仕入れるのですが….。)

 色合いはサントリーが開発した遺伝子組み換えカーネーション「ムーンダスト・プリンセスブルー」に非常によく似ていますね。

 自然界ではなかなかこのような淡い紫の色の花がありません。一方で、紫や青が入ると花束でもアレンジでも色が締まるため、重宝しています。

 他に似た色合いを持つ花はトルコキキョウやスターチス、アルストロメリアの一部などとなりますが、用途等に応じて適時使い分けております。

 先日ご紹介したディスバットマムはダリアと見間違うくらい形状や色合いが似ているものもあり、当店も積極的に取り扱っております。

 ディスバットマムがダリアと決定的に違うのは、やはり葉ですね。葉を見れば、やはり菊科だと納得します。さすがにこちらは菊だけに、日保ちは十分です。

季節の花たち

タブロウの世界。ビバーナム・リュウカデンドロンを用いて。

 タブロウ(tableau)とはフランス語で額縁に入った絵画の意味を示します。
 本日のアレンジは、赤芽柳・バラ・ビバーナム・リュウカデンドロンを用いてタブロウの世界を表現してみました。

 赤芽柳は冬を代表する花材です。赤芽柳も柳の一種ですが、柳は一般的に矯めにより形を自由に変更できる特性を持ちます。まっすぐの直線で行けることもありますが、今回のような曲線にも変形できる面白い花材です。
 赤い皮がむけると銀色のふわふわした芽が現れますが、その状態になると銀芽柳と呼び名が変わります。

 ビバーナム「テイナスレッド」やリュウカデンドロン「ガルピニ」は市場でもあまり流通しない、比較的珍しい花材です。
 ビバーナム「テイナスレッド」は青い実が特徴ですが、あじさいのような小さな白い花が咲き、その花が咲き終わると、この様なきれいな青い実になります。
 リュウカデンドロン「ガルピニ」は白くて丸い実が特徴です。南アフリカ原産ですが、この実も南アフリカから輸入されています。
 
 赤バラにアルストロメリアやトルコキキョウの組み合わせもいいですが、赤バラにこれら実物も、赤バラがパッと引き立つ名脇役になりますね。
(画像をクリックすると拡大します)

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珍しい花材、芳香性オンシジューム「スウィートフレグランス」

 今日(こんにち)、市場で入荷する花材には様々なものがありますが、実は香りがする花材は相当少ない状況です。バラを取り上げてみましても、ごく僅かな品種に香りのするバラがあるだけで、そのほとんどが鼻を近づけてみましても香りがしません。

 品種として特有の香りがあるのは百合とかすみ草ぐらいでしょうか。それ以外の通年で扱う花材(切り花)を思い浮かべましても、特に特有の香りがする花材というものは思い付きません。

 さて、今回は枝ぶりのいいウメモドキを仕入れましたので、ウメモドキを主体に生け込みを行いました。下に垂れ下がっている茶色いランが、芳香性オンシジューム「スウィートフレグランス」です。

 スウィートフレグランスは滅多に入荷することがない珍しい花材です。静岡県大井川産のオンシジュームとなりますが、生産量が少ないため、当店でも年間に1~2回ほどしか取り扱いをしない花材となります。

 スウィートフレグランスが甘い香りなのは確かですが、ネットで検索して出てくるようなチョコレートの香りともまた違うような感じがします。今日、改めて香りを確認してみましたが、これと言って類似の香りが存在しません。

 希少品種の為、なかなか香りを確認する機会もないかと思われますが、もし機会がありましたら、香りを感じてみてください。甘い香りが漂ってきます。

 今回はウメモドキを中心に、白八重百合「アイシャ」、グリーンアナスタシア(菊)「ダークグリーン」、アルストロメリア、芳香性オンシジューム「スウィートフレグランス」、LA百合(進藤園芸)、はらん、ドラセナを生け込みました。

季節の花たち

冬の花材、クリスマスホーリー

 寒くなってきました。まだ雪は降っていませんが、当地にも白鳥が飛来するなど、冬の様相を呈してきました。

 さて今回は、白塗りの枝物を入手しましたので、クリスマスホーリーを葉物として使用しました。
 クリスマスホーリーは別名、西洋ヒイラギとも呼びます。トゲトゲの葉と赤く丸い実が特徴です。

 中央の赤いダリアのような花はディスバットと呼ばれる菊です。ディスバットマムは多様な品種が市場に出ています。従来の白い輪菊ではイメージが固定化して用途が限られてしまいますが、ディスバットマムはアレンジや生け込み、祝い花にも使用できるなど、用途が大幅に広がっています。

 クリスマスホーリーと併せる葉物として、今回はドラセナを使用せず、キキョウランとモンステラを用いました。

(使用花材)クリスマスホーリー、ディスバットマム「マーレッタ」、オリエンタル百合「バンドーム」、キキョウラン、モンステラ、アルストロメリア、野バラ、珊瑚水木

季節の花たち

隠れた名脇役:ドラセナ(カプチーノ)

 生け込みやアレンジは花だけで作ると、ボリューム感が無くなり、いろいろな色が混じり込んでうるさい色合いになってしまいます。そこで必ず必要なのが葉物(グリーン)となります。

 今回の生け込みでは葉物としてドラセナとアレカヤシ、染雪柳を入れました。ドラセナは種類が多く、特に近年は多種多様なドラセナが市場に流通するようになり、従来の単純な緑色、あるいは赤色だけではなくなってきました。

 写真のドラセナはカプチーノと呼ばれる品種です。白い斑入りで色合いは濃いチョコレート色と呼ぶような落ち着いた色合いになっております。葉物単体で主張をしませんので、他の花を引き立てる役割を十分担っています。

 前回前々回の生け込みでもドラセナを使用しておりますが、ドラセナの特徴一つで生け込みの雰囲気が大分変わってきます。実は隠れた名脇役が葉物であり、ドラセナなのです。

 ドラセナは輸入品もありますが、当店で取り扱っているものはそのほとんどが沖縄産となります。通年で多種多様なドラセナが入荷しますので、季節感にあったものなどをその都度選定し、取り扱っております。

 さて、今回は菊を3種類生け込みました。従来の菊のイメージだとどれが菊であるか見分けが付かないと思います。どれが菊だか分かりますか?

使用花材:ドラセナ(カプチーノ)、行李柳、グラジオラス、菊3種類、プロテア、アレカヤシ、染雪柳。

  

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冬の花材、行李柳・珊瑚水木

 いよいよ冬が到来してきました。花材も冬に使われる柳や珊瑚水木(サンゴミズキ)が入荷してきました。

 生け込みに使われる柳も形状や種類が多様です。代表的なものに石化柳(セッカヤナギ)や雲龍柳(ウンリュウヤナギ)、ドラゴン柳、行李柳(コリヤナギ・コウリヤナギ)、赤芽柳、レッドウィローなどがあります。

 行李柳は、現在はあまり使われておりませんが、柳行李(やなぎごうり)などの葛籠(つづらかご)の原料です。この行李柳を編んだものが柳行李となります。

 柳は一般的に矯め(ため)が効き、いけばな等においても矯めを生かして生けることが多い花材です。今回は珊瑚水木やドラセナと組み合わせながら、直線を生かして生け込みを行いました。

(使用花材)
行李柳・珊瑚水木・ドラセナ・アンスリウム・赤スプレーバラ・オリエンタル百合・ヒペリカム・旭ハラン・オンシジューム・モンステラ

季節の花たち

秋の花、フォックスフェイス

 秋も深まってきました。今回は秋の花としてフォックスフェイスを生けてみました。フォックスフェイスは別名ツノナス、或いはカナリアナスとも呼ばれており、ブラジル原産のナス科の植物となります。果実がキツネの顔に似ていることから、フォックスフェイスと呼ばれています。秋限定の花材ですが、面白い形状です。ブラジル原産ですが、国内で生産されております。今回は静岡県産のフォックスフェイスを使用しました。

 今回は、フォックスフェイス、珊瑚水木を中心に、根締めにキングプロテアを入れてみました。

(使用花材)フォックスフェイス、珊瑚水木、キングプロテア、アルストロメリア、バラ、アレカヤシ、ドラセナ(2種類)、ルスカス

季節の花たち

OTハイブリット百合(タッチストーン)

 今日(こんにち)、百合の球根の一大生産地はオランダであり、品種改良等により品種が爆発的に増加しています。20年前と比べてみても、品種の増加とともに色の豊富さも顕著になっております。

 OTハイブリット(OT系)とは、オリエンタル百合とトランペット型の百合(鉄砲百合等)を掛け合わせたものであり、環境の変化等による水下がり等も少なく、扱いやすい百合となっております。

 先日訪問した池野さん(株式会社 千歳園)が栽培しているタッチストーンもOT系の百合です。OT系の百合の代表的な品種としては黄色のイエローウィンや白のザンベジ等があり、いずれも非常に扱いやすく、尚且つ見応えがあり、当店でも積極的に取り扱っております。

 写真の生け込みはOT系百合のタッチストーンを中心に、ピンクッションやウメモドキ、菊等を入れ、先週に引き続き深まりゆく秋を表現してみました。

季節の花たち

秋の花、野バラ

 秋の代表的な花材、野バラを生けてみました。 野バラはバラ科野バラ属の落葉低木で、原種のバラです。 5月から7月頃に白や薄ピンクの花を咲かせますが、花材としては秋に赤く熟した実を使います。実の付き方が独特で、たいへん面白い花材です。小原流いけばなでも野バラはよく使われます。日保ちもしますので、おすすめです。

 中央の赤い百合(タッチストーン)は山形県山形市の生産者 池野さん(千歳園)が作った百合です。池野さんとは10年来の付き合いですが、非常にやる気のある生産者で、いいものを作っています。この赤い百合も軸(茎)がしっかりとしており、扱いやすく、日持ちも十分です。極一部の百合に見られるような環境の変化による水下がり等もありません。安心して使える、いい百合です。

 今回は深まりゆく秋をテーマに生けてみました。