季節の花たち

春の代表的な花材、桜と配色の組み合わせ ~彩度の変化を取り入れて~

 桜(東海桜)が入りました。
 一般的に認知されている桜の品種としてはソメイヨシノが有名ですが、実はソメイヨシノは切り花としてはほとんど流通しておりません。

 一方で、切り花として流通している桜の品種の代表的なものには、啓翁桜(けいおうざくら)、東海桜、彼岸桜などがあります。

 今回は東海桜との配色の組み合わせとして、エピテンドラムとアルストロメリア(ランカスター)を取り入れました。

 東海桜は薄いピンク色ですので、色の組み合わせとしては同系色の濃いピンク色、或いは水色のデルフィニウムが合うと考えています。

 また、濃いピンク色を入れた場合は、彩度の変化を取り入れるイメージで白系も入れるときれいな組み合わせになると思います。

 下記は彩度のイメージ図です。ピンクの彩度が究極的に低くなると白になり、高くなると赤になることが分かります。

 今回は彩度の低い白系の花材として白い斑入りのキキョウランと白い小さな花が咲く雪柳を取り入れました。

 また、ピンクの彩度を高くすれば赤になりますが、その赤を、朱色の木瓜(ぼけ)を少し入れることで表現してみました。

 アレンジを作る際、同系色との組み合わせ、特に彩度の変化を取り入れて花材選定をすると、軽重を織り交ぜたきれいな作品に仕上がります。

 東海桜のような彩度の低い、淡い色の組み合わせだけでは全体がぼやっとした印象になってしまいます。一方で、彩度の高い、ビビッドな色の組み合わせだけでは、目が疲れてしまいます。

 テーマを持ってそういった作品を作ることも一つの方法です。しかし、特に色合いの指定がない場合は、彩度の変化を取り入れることが、相互の花材を生かすポイントの一つであると考えています。

 今回は春を先取りして桜を取り入れました。本格的な春が待ち遠しいですね。

(使用花材)
桜(東海桜)、木瓜、キキョウラン、エピテンドラム、アルストロメリア(ランカスター)、雪柳、ドラセナ2種類

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冬の花材、木瓜(ボケ)と配色の組み合わせ

 日本人になじみの深い木瓜を生けてみました。木瓜は矯めが効きませんので、直線で生けるか、枝を折って生けることが基本となります。

 木瓜は色合いが朱色ですが、やや明度が低く、色合いの組み合わせが比較的難しい花材だと感じています。

 木瓜を主役としてとらえるならば、真っ赤な原色系の色を組み合わせるのではなく、寧ろ淡いオレンジのような中間色との組み合わせが合うと思っています。

 また、原色系を入れるのであれば、彩度が高いビビットな色合いの黄色をポイントとして添える程度でいいのではないでしょうか。

 今回は、木瓜の朱色と色合いが合う花材として、アーリエスと呼ばれる一輪バラと大輪ガーベラ(アルマ)、アルストロメリア(パピロン)を選びました。

 いずれも中間色の淡い色合いです。
 ポイントとして彩度の高い黄色のLA百合を入れてみました。

 ドラセナは2種類入れました。チョコレート色のドラセナは、木瓜の明度を落としたような同系色のため、なじみます。しかし、明度が低い花材のため、これだけを葉物として取り入れると全体が暗くなってしまいます。そのため、明るい色のグリーンのドラセナを上部に、相対的にやや暗めのグリーンであるハランを下部に入れることにより、全体をボリューム感のある、明るい色合いに仕上げました。

 こちらは先ほどご紹介したアーリエスと呼ばれるバラです。こちらもJAひまわりバラ部会の方々が生産したバラとなります。

 一昔前は原色系のバラが中心であり、淡い色合いや変わり種品種といったものは少なかったです。しかし近年、その種類は爆発的に増加しており、多種多様な品種と共に、色の表現方法も大きな可能性を持つようになってきました。

 当店でもJAひまわりバラ部会のバラを中心に、多くの品種を取り扱っています。写真で見た感じと実際に見た感じでは色合いがまた違って見えますので、近くにお越しの際は、是非当店にお越し下さい。たくさんのバラをご用意してお待ちしております。

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正月の花材、千両

 正月の花材として代表的な千両を生け込みました。

 千両はみかんと同じように表年・裏年があります。実が多く付く豊作の年と実が少ない裏年が交互に現れ、当然ながら仕入れ単価(市場での競り値)も極端に変動します。(生花の競り値は生産者の希望値もありますが、入札参加者としての花屋の需給によって大幅に、時には「極端に」変動します。)

 2019年は本来、表年であり、実が豊富で入荷量も多いはずだったのですが・・・・。

 千両市は年に一回行われます。
 事前に情報は聞いていましたが、やはり箱詰めされた商品を実際に見ると、愕然としました。

 なんと裏年の昨年(2018年)の入荷量が激減した時よりも更に、大幅に減っていたのです。

 原因は2019年の大型の台風と洪水にありました。
 千両の主要産地である茨城県と千葉県の栽培地が苗ごとやられていたのです。

 千葉県の館山にある山川農園は千両の大規模生産者で、品質が高く当店も積極的に取り扱っていますが、ブログを読むとたいへんな被害に遭っていたことが分かります。

 覚悟を決め、気合いを入れて千両市に参加しましたが、とにかく量を確保しないといけないという思いで、必死に入札し、やっとの事で競り落とし、なんとか去年と同数量を確保しました・・・・。
 年に一回の千両市であり、この日を逃すと入手できなくなるため、もう必死です。

 千両市が終わった後は、心臓の鼓動が酷かったですね・・・。

 生産者がやっとの思いで出荷した千両を、今年はことのほかありがたく使わせていただきました。ありがとうございました。

 閑話休題。
 千両は大きく分けて3種類あります。

 通常の赤い実と黄色い実、そして紅(くれない)と呼ばれる濃い赤の実です。紅は枝も赤く色付いています。

 等級により区分されます。等級は枝ぶりや実付きで決まります。

 今回は千両を使った生け込みを行いました。日本人にとって、正月に欠かせない花材は松と千両です。昨年は台風被害も含め、いろいろとたいへんな年でした。
 今年はいい年になるよう、心から願うばかりです。

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三光松とアマリリスを主体に~色を繋ぐアレンジ~

 長方形の器に、三光松とアマリリス(レッドライオン)を生けてみました。

 本記事では、「アマリリスの特性」と「色を繋ぐアレンジ」の2段階構成となっております。合わせてご覧頂ければ幸いです。

~アマリリスの特性~

 アマリリスは花に負けないぐらい太い茎を持ちますが、中が大きな空洞のため、取り扱いに気を付けないと簡単に折れてしまいます。

 生花の小原流では、アマリリスを取り扱う際に、中の空洞に藁を詰め込んで折れないようにして生けています。

 花屋では当然ながら剣山ではなくオアシスを利用していますが、アマリリスはオアシスへ安易に挿すだけでも折れる可能性が高いです。そこで、アマリリスを挿す位置に事前に空洞を開け、そこにアマリリスを挿すようにしています。

 非常に取り扱いに気を遣うアマリリスですが、その存在感は格別です。品種改良でいろいろな色が出ていますが、切り花で代表的なアマリリスがこのレッドライオンという真っ赤な色の品種です。

~色を繋ぐアレンジ~

 色彩の組み合わせでは、色を繋ぐことが大事であり、全く関連がない色をゴチャゴチャと入れてしまうと、単純にうるさい色の集合体となってしまいます。

 アマリリスを主役(画像1の赤枠)に決めると、それが起点となり、隣にあるカラーやオンシジュームに視点が移ります。その際、視認性が高いアマリリスから色を繋いで行くことがアレンジを作る上では大事になってきます 。
 
 アマリリス(レッドライオン)は花が赤ですが、花粉は黄色です。今回はその花粉の黄色とカラー、オンシジューム、ディスバットマムの黄色を繋いでみました。

 アマリリスの花粉からオンシジューム~ディスバットマム~カラーへと黄色が繋がっていますが、流れてきた視線を受け止めるブレーキの役目としてカラーを配置しました(画像1の青矢印参照)。このカラーの黄色が、見た人の視線を外に逃がさないようにし、再度、アマリリスに視線を戻す役目をしています。


 アマリリスの花の赤は、千両の実の赤へと繋がっています。しかし、全体で見た時に、原色の黄色と赤だけでアレンジを構成すると色がきつくなってしまいます。そこで、淡いピンクのデンファレとヒペリカムを入れることにより、全体の色合いを柔らかい感じに仕上げました。

 更に黄色の補色関係にある紫トルコキキョウをポイントとして入れることで、互いの色を引き立て合う相乗効果も持たせました。

 アレンジを構成する際、花を色として捉え、その色をアレンジのどこに配置すればいいのか….そんな視点からアレンジを作ったり、見たりするのも面白いですよ。

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正月の花材、松

 正月の縁起物として、また、日本人になじみ深い花材として松が上げられます。
 しかし、松と一口に言っても種類が豊富であり、若松、根引松、三光松(さんこうまつ)、大王松(だいおうしょう)、カラゲ松、五葉松、赤松など、市場に流通する代表的な松を取ってみても、多くのものがあります。

 ここでは、生け込みの画像を交えながら、松の一部をご紹介したいと思います。

 代表的な松として、上記画像の若松があります。若松は黒松の徒長苗です。若松は1等から3等までの等級がありますが、等級区分は品質ではなく、太さや長さとなります。

 生け込みでは1等や2等の若松を使いますが、アレンジでは1等や2等は太すぎますので、3等の細めのものを多く使います。3等より更に細くて短い若松はカラゲ松と言います。こちらもアレンジ等に使います。

 上記画像は黒松です。若松が成長したものです。若松と大分違う形ですが、同じ品種です。しかし、生け込みに使うとまた違った雰囲気になりますね。

 続いて大王松(だいおうしょう)。こちらは葉っぱのボリュームがあります。幹も太く、アレンジには不適です。主に生け込み用に使われます。

 大王松は、松類の中では世界一長い葉を持つ、北アメリカを原産とする松です。巨木になり、松ぼっくりも巨大です。
 まさしく松の大王です。

こちらも大王松。中央部分に入れてみました。

 こちらは奥が三光松。手前が大王松。

 三光松が分かりづらいので後ろから撮影。三光松は、葉がポッ、ポッと締まった形でまとまって出ています。幹の長さや太さは色々なものが流通していますので、生け込みからアレンジまで幅広く使われます。

 松はまだまだ種類があり、ご紹介したものはほんの一部です。当店も多くの種類の松を年末に取り扱っております。単品販売も致しますので、ご入用の際には、お気軽にお申し付け下さい。

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珍しい花材、エリンジューム(ブルーダイナマイト)との補色・明度の対比を中心に

 今回は珍しい花材としてエリンジュームを生けてみました。生け込み画像の下側にある青い花材がエリンジュームです。  

 ドライフラワーにも利用されるエリンジュームですが、金属質のような固い質感を醸し出しています。
 
 このエリンジュームはオランダからの輸入品ですが、流通量が少なく、当店でもあまり取り扱わない、珍しい花材となっております。

 先日ご来店いただいたお客様は一輪挿しにとエリンジュームとグリーントルコキキョウをお選びいただきました。

 グリーントルコキキョウともよく合いますが、今回は補色と明度の対比を強調するために、グロリオサと組み合わせてみました。

 エリンジュームは青緑の様な色合いですが、補色としてグロリオサの黄色、そして赤と対比させることにより、グロリオサがより際立つように、そしてエリンジュームが浮き出てくるようにしてみました。

 また、エリンジュームは金属のような光沢感がありますが、明度が低く、落ち着いた色となっています。一方でグロリオサの彩度や明度が高いことによる色合いの対比も面白く感じます。

 今回、生け込みを作成するにあたり、エリンジュームとの組み合わせを色々と試してみました。普段、こういった青緑色の花材と他の花材との組み合わせがないので悩みました。

 エリンジュームは金属のような光沢感・質感があるが、意外と明度が低いこと。明度が低い花材同士で組み合わせても、暗い印象だけが残り、パッとしなくなること。一見青っぽく見えるが、白もあり黒もあり、青もありつつ緑もある、見る角度と光の反射で多様な表情を見せる花材であること。
 以上の点から、組み合わせを考える上では結構、難しい花材だと感じています。

 花単体でのよさももちろんありますが、入荷したばかりの状態では、そのよさが引き立ちません。何の花材と組み合わせれば、その花材のよさが引き立つのか。そこが花を取り扱っている際の面白さかもしれません。

 今回はエリンジュームとグロリオサの補色・明度の対比を中心に、スナップ、アルストロメリア、ドラセナ、ヒムロスギ、アレカヤシを生け込みました。

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ダリアを入れて(花束)

 ダリア(ムーンストーン)を入れて花束を作ってみました。
 
 ダリアの露地物は初夏から秋にかけてが最盛期となりますが、ハウス栽培も含めると、通年で入手できる花材となります (ただし、入荷量は少ないですが…) 。

 種類も豊富で、真っ赤なダリアもあれば、このダリアのような淡い紫や複色のものもあります。
 
 ボリューム感・美しさでは最高の花ですが、残念ながらダリアの欠点は日保ちがしないこと、これに尽きます。
 日保ちの期間は個体差もありますが、市場から仕入れして5~7日ぐらいしか保たない印象です。

 近年はダリアに吹きかけると日保ちが倍に伸びる薬剤もあり、当店も使用していますが、残念ながら業務用であり、一般には流通していません。

 日保ちの点では及第点のダリアですが、これも特性ですから仕方がないものです。(仮に特性として水揚げ後、10日~2週間ほど必ず保つのであれば、当店も毎回必ず仕入れるのですが….。)

 色合いはサントリーが開発した遺伝子組み換えカーネーション「ムーンダスト・プリンセスブルー」に非常によく似ていますね。

 自然界ではなかなかこのような淡い紫の色の花がありません。一方で、紫や青が入ると花束でもアレンジでも色が締まるため、重宝しています。

 他に似た色合いを持つ花はトルコキキョウやスターチス、アルストロメリアの一部などとなりますが、用途等に応じて適時使い分けております。

 先日ご紹介したディスバットマムはダリアと見間違うくらい形状や色合いが似ているものもあり、当店も積極的に取り扱っております。

 ディスバットマムがダリアと決定的に違うのは、やはり葉ですね。葉を見れば、やはり菊科だと納得します。さすがにこちらは菊だけに、日保ちは十分です。

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タブロウの世界。ビバーナム・リュウカデンドロンを用いて。

 タブロウ(tableau)とはフランス語で額縁に入った絵画の意味を示します。
 本日のアレンジは、赤芽柳・バラ・ビバーナム・リュウカデンドロンを用いてタブロウの世界を表現してみました。

 赤芽柳は冬を代表する花材です。赤芽柳も柳の一種ですが、柳は一般的に矯めにより形を自由に変更できる特性を持ちます。まっすぐの直線で行けることもありますが、今回のような曲線にも変形できる面白い花材です。
 赤い皮がむけると銀色のふわふわした芽が現れますが、その状態になると銀芽柳と呼び名が変わります。

 ビバーナム「テイナスレッド」やリュウカデンドロン「ガルピニ」は市場でもあまり流通しない、比較的珍しい花材です。
 ビバーナム「テイナスレッド」は青い実が特徴ですが、あじさいのような小さな白い花が咲き、その花が咲き終わると、この様なきれいな青い実になります。
 リュウカデンドロン「ガルピニ」は白くて丸い実が特徴です。南アフリカ原産ですが、この実も南アフリカから輸入されています。
 
 赤バラにアルストロメリアやトルコキキョウの組み合わせもいいですが、赤バラにこれら実物も、赤バラがパッと引き立つ名脇役になりますね。
(画像をクリックすると拡大します)

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珍しい花材、芳香性オンシジューム「スウィートフレグランス」

 今日(こんにち)、市場で入荷する花材には様々なものがありますが、実は香りがする花材は相当少ない状況です。バラを取り上げてみましても、ごく僅かな品種に香りのするバラがあるだけで、そのほとんどが鼻を近づけてみましても香りがしません。

 品種として特有の香りがあるのは百合とかすみ草ぐらいでしょうか。それ以外の通年で扱う花材(切り花)を思い浮かべましても、特に特有の香りがする花材というものは思い付きません。

 さて、今回は枝ぶりのいいウメモドキを仕入れましたので、ウメモドキを主体に生け込みを行いました。下に垂れ下がっている茶色いランが、芳香性オンシジューム「スウィートフレグランス」です。

 スウィートフレグランスは滅多に入荷することがない珍しい花材です。静岡県大井川産のオンシジュームとなりますが、生産量が少ないため、当店でも年間に1~2回ほどしか取り扱いをしない花材となります。

 スウィートフレグランスが甘い香りなのは確かですが、ネットで検索して出てくるようなチョコレートの香りともまた違うような感じがします。今日、改めて香りを確認してみましたが、これと言って類似の香りが存在しません。

 希少品種の為、なかなか香りを確認する機会もないかと思われますが、もし機会がありましたら、香りを感じてみてください。甘い香りが漂ってきます。

 今回はウメモドキを中心に、白八重百合「アイシャ」、グリーンアナスタシア(菊)「ダークグリーン」、アルストロメリア、芳香性オンシジューム「スウィートフレグランス」、LA百合(進藤園芸)、はらん、ドラセナを生け込みました。

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冬の花材、クリスマスホーリー

 寒くなってきました。まだ雪は降っていませんが、当地にも白鳥が飛来するなど、冬の様相を呈してきました。

 さて今回は、白塗りの枝物を入手しましたので、クリスマスホーリーを葉物として使用しました。
 クリスマスホーリーは別名、西洋ヒイラギとも呼びます。トゲトゲの葉と赤く丸い実が特徴です。

 中央の赤いダリアのような花はディスバットと呼ばれる菊です。ディスバットマムは多様な品種が市場に出ています。従来の白い輪菊ではイメージが固定化して用途が限られてしまいますが、ディスバットマムはアレンジや生け込み、祝い花にも使用できるなど、用途が大幅に広がっています。

 クリスマスホーリーと併せる葉物として、今回はドラセナを使用せず、キキョウランとモンステラを用いました。

(使用花材)クリスマスホーリー、ディスバットマム「マーレッタ」、オリエンタル百合「バンドーム」、キキョウラン、モンステラ、アルストロメリア、野バラ、珊瑚水木