「ビックパレット×福島県産花×アリス」コラボ企画⑮
全国の工業・商業・農業・水産・家庭・情報など、産業教育を学ぶ高校生たちが日頃の学習成果を発表し、各地域の特色ある教育活動を紹介する「第35回全国産業教育フェア福島大会」。
会場となるビッグパレットふくしまでは、実演・展示・販売など多彩な企画が並び、教育関係者や企業関係者、一般来場者など多くの人が訪れます。
そのエントランスを彩るのが、福島県産花きを使用した大型生け込みです。
今回は、「ビックパレット×福島県産花×アリス」コラボ企画⑮として、県内各地の花を一堂に集め、色彩と構成で福島の豊かさを表現しました。

「ビックパレット×福島県産花×アリス」コラボ企画⑮
使用花材

今回は使用花材を福島県産に限定し、以下の花材を使用しました。
- センダン(福島市)
- ツツジ(福島市)
- ダリア(福島市)
- 黒ほおづき(福島市)
- 木瓜(ぼけ)(福島市)
- 野バラ(福島市)
- トルコキキョウ(福島市)
- ウメモドキ(桑折町)
- 染雪柳(桑折町)
- アンスリューム(川俣町)
- 胡蝶蘭(葛尾村)
- スプレー菊(二本松市:武藤さん)
- 紫陽花(南会津町)
- リンドウ(南会津町:五十嵐さん)
- オリエンタル百合(白河市)
- ブルーファンタジア(須賀川市)
今回は高校生の全国大会ということもあり、なるべく多くの産地の多くの品種を紹介しようと、他にも花材を複数用意しておりました。しかし、これ以上は物理的に難しかったため、今回は上記の花材での構成としました。
センダンについて

センダン(栴檀)は、初夏に淡紫色の小花を房状に咲かせ、秋には黄緑色の実をたわわに実らせる落葉高木です。
古くから「栴檀(せんだん)は双葉より芳し」とのことわざで知られ、成長の早さと香木のイメージを併せ持つ木として親しまれています。
展示で使用したのは、福島市産のセンダン。光沢のある実が特徴で、明るいグリーンが全体の中で爽やかなアクセントとなり、他の花材を引き立てます。
枝ぶりにも動きがあり、空間全体に立体感と生命感を与える重要な要素となりました。
ツツジについて


ツツジ(躑躅)は、日本の山野に自生する代表的な花木のひとつで、春に鮮やかな花を咲かせるほか、枝ぶりや葉の形も美しく、生け込みやいけばなの世界でも広く用いられています。
今回は、福島市産の苔付きツツジを使用しました。
枝全体に自然の苔が付着しており、長い年月を経た木ならではの風格があります。こうした枝物は市場にほとんど出回らず、希少価値の高い高級花材となります。
このツツジの持つ自然な曲線と苔の質感が、作品全体に落ち着きと深みを与え、他の花材を包み込むような調和を生み出しました。
制作過程

まず最初に位置決めです。制作中に若干場所を移動しましたが、取り敢えず当初は元々指定されたこの場所での位置決め。
今回は大型の生け込みですので、器を計3つ用意しました。
若干ながら、器の高さも高低差を付けています。

取り敢えず枝物を生け、高さを決めていきます。
奥の緑の実物は「センダン」。手前の赤い実は「ウメモドキ」。左側の葉物は「ツツジ」です。
この段階ではノコギリを使って枝を切っていきます。当然ながら、あまりにも太い木はハサミで切れません。

百合や野バラを生け込んだ段階。
百合の配置は三角形にしていき、更にウメモドキも追加していくことで、おおよその横幅も決めていきます。

ある程度生け込みが進んだ状態。まだまだ花材は入れ込んでいきますが、上下、両脇を決めてから中に花材を入れ込んでいきます。
色合い的には、基本的に赤と緑の補色ベース。そしてポイントで黄色や赤紫(ピンク)なども入れていきます。
大事なことは、多数の花材を入れる場合、ある程度色を絞っていくこと。
例えば染め雪柳や右側の赤いダリア、スプレー菊の赤など、ウメモドキと同系色の赤の花材をメインに生け込んでいきます。

胡蝶蘭などを入れて完成。
完成に至るまでに、更に木瓜(ぼけ)やアンスリューム、ブルーファンタジア、紫陽花などを入れ込み、ボリューム感を出していきます。
会場を訪れる方々が一歩足を踏み入れた瞬間に、福島の四季と生命力を感じられるよう構成しました。

演台花も福島県産花で制作しました

表彰等が行われるステージ演台花も福島県産花でお作りしました。
通常、演台花というと洋花がメインというイメージがあるかもしれません。
しかしながら福島市にある花見山に代表される福島県中通りは枝物の一大産地。
その特色を活かし、枝の動きと花の彩りを調和させたデザインに仕上げました。
まとめ
今回の生け込みは、福島県内各地で生産された花々を一堂に集め、地域の豊かさと生産者の技を「色」と「構成」で表現したものです。
花は、地域の風土と人の思いが生み出す「文化」でもあります。
今回の展示を通じて、県産花きが多くの人の目に触れ、次の世代へと受け継がれていく一助となれば幸いです。
今後もフラワーショップ アリスでは、福島の花を通して地域の魅力を発信し、色彩とデザインの力でその価値を広げてまいります。
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この記事を書いた人

- 代表取締役社長/色彩講師/UC級講師/1級色彩コーディネーター
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こんにちは。福島県郡山市にあるフラワーショップ アリスの代表を務めております、菊地充智です。
元教員としての経験を活かしながら、色彩の専門知識を基に、お客様一人ひとりに寄り添った花づくりを行っています。
全国の産地を自ら訪問し、生産者の声を直接伺いながら、確かな品質と生産者の想いやこだわりが詰まった花を選んでご提供しています。
また、色彩講師(AFT認定)/UC級講師(AFT認定)/1級色彩コーディネーターとして、色彩の理論に基づいた花束・アレンジメントのご提案や、色彩と花に関する情報発信にも力を入れています。
ブログ記事では、花の魅力や色彩などに関する知識を、できるだけ分かりやすくお届けしています。
ご覧いただいた皆様が、花や色彩の奥深さに興味を持つきっかけになれば嬉しく思います。
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