「滑川神社×福島県産花×アリス」コラボ企画⑪

 今年も福島県の花をPRする「福島県産花卉(かき)展示開拓事業」が始まりました。
 今回は11回目のコラボ企画をまとめたものとなります。

 7月7日の七夕に合わせ、滑川神社様とのコラボ企画として、7月3日花手水の生け込みを行いました。

「滑川神社×福島県産花×アリス」コラボ企画⑪

滑川神社

当初用意した花材

 昨年も滑川神社様とはコラボ企画を行ってきましたが、今回は多少色合い・花材等を変えようと考えておりました。
 滑川神社様との事前の打ち合わせで、「紫陽花を使ってほしい」とのご要望が出たのですが、あいにく南会津産の紫陽花はまだ出荷がなく、なんとか本宮産の紫陽花を調達してみました。

 しかしながら調達した紫陽花の色合いがピンク中心でしたので、色合い的にひまわりやマリーゴールドを中心に構成しようとしていた分、色の組み合わせの観点から難しい点も出てきました。

当初用意した花材

・ひまわり(福島市)
・夏ハゼ(福島市)
・マリーゴールド(福島市)
・紫陽花(本宮市)
・アスチルベ(飯舘村)
・トルコキキョウ(会津若松市北会津町)

制作の様子

 最初は紫陽花から始めましたが、紫陽花はPCCSの色相番号24番(ピンク)と無彩色の白。そしてひまわりは8番(黄色)となります。取り敢えず24番と8番の2色と白を入れました。

 制作途中、急遽宮司さんから、下の紫陽花も使ってほしいとの要望がありました。この紫陽花は、滑川神社様の氏子さんの庭にあった紫陽花とのことで、氏子さんからの提供だそうです。

地元:須賀川市の紫陽花
地元:須賀川市の紫陽花

 青の紫陽花を入れた途中図。PCCSの色番号で言うと、夏ハゼは10番(黄緑)と2番(赤)の混色、アスチルベがペールトーンの4番(赤みのだいだい)、紫陽花が18番(青)と24番(ピンク)、そして白、ひまわり8番(黄色)と、多色配色のためにまとまりが付かなくなってきました。

 以前「バークホフの美度のブログ記事」でも紹介したように、これでは色が多すぎます。

青の紫陽花を入れた途中図。

 そこで思い切って、ピンクの紫陽花を外してみました。こうすると、基本的には8番(黄)と18番(青)の対照色相配色が中心となり、それに10番の葉物が入るだけですので、多色配色の違和感がなくなってきました。

 厳密に言うとアスチルベの4番や無彩色の白も色としてカウントしますが、ペールトーンはうすい色合いですので、どちらかというと周囲に溶け込みやすい、つまり色を主張しすぎないので、それほど違和感もありません。無彩色の白も同様です。

ピンクの紫陽花を外したところ

 「ふくしまの花を愛でるライフスタイル」の飾りを入れて完成。
 色合い的にも非常に綺麗にまとまりました。

生け込みの完成

 10秒ほどの動画を撮影しました。鳥のさえずりも聞こえ、涼しさや雰囲気が伝わってきます。

最終的な使用花材

 最終的には色合いも加味し、下の花材を使用しました。

・ひまわり(福島市)
・夏ハゼ(福島市)
・紫陽花(本宮市・須賀川市)
・アスチルベ(飯舘村)
・トルコキキョウ(会津若松市北会津町)

配色に当たって

 今回はPCCSの色相番号を念頭に置きながら配色を行ってきました。
 このように配色にあたっては、「感覚」で行うのではなく、理論上から導き出されたものを実践に応用することがプロとしての考え方となります。

 今回は「福島県産」として「できるだけ多くの花材・産地を紹介したい」という意識で制作しました。通常ですとこのぐらいの規模であれば、ここまで多くの花材を使用しないのですが、今回は前述の理由により、多品種構成を採用しました。

 当然ながら花の持つ色相もバラバラですので、それをどう組み合わせていくのかが腕の見せ所ともなります。

 配色で迷った際には、PCCSのトーンや色相を活用しながら、理論的に整理していく手法も有効なアプローチであると考えます。

この記事を書いた人

菊地充智
菊地充智代表取締役社長/1級色彩コーディネーター/UCアドバイザー
こんにちは。福島県郡山市にあるフラワーショップ アリスの代表を務めております、菊地充智です。
元教員としての経験を活かしながら、色彩の専門知識を基に、お客様一人ひとりに寄り添った花づくりを行っています。

全国の産地を自ら訪問し、生産者の声を直接伺いながら、確かな品質と生産者の想いやこだわりが詰まった花を選んでご提供しています。

また、1級色彩コーディネーター/UC(ユニバーサルカラー)アドバイザーとして、色彩の理論に基づいた花束・アレンジメントのご提案や、色彩と花に関する情報発信にも力を入れています。

ブログ記事では、花の魅力や色彩などに関する知識を、できるだけ分かりやすくお届けしています。
ご覧いただいた皆様が、花や色彩の奥深さに興味を持つきっかけになれば嬉しく思います。

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