ディープトーンの魅力を徹底解剖!カラーカルクで見る色彩と花デザイン
深く充実した色調が印象的な「ディープトーン」。その活力あふれる色彩は、花束やアレンジメントをより印象深いものにしてくれます。
本記事では、ディープトーンの特徴や効果的な配色例をご紹介し、日常やお祝の場面での活用方法をご紹介します。
ディープトーンの魅力を徹底解剖!カラーカルクで見る色彩と花デザイン
「ディープトーン」とは
「ディープトーン」とは、トーンの中でも濃く、深い印象を持ちます。高彩度・低明度であり、視覚的なインパクトが非常に強いのが特徴です。このディープトーンは暗清色のトーンで、濁りの無い暗い色のグループに入ります。
トーンの印象は「深い」「充実した」「伝統的な」「和風の」というものであり、これはディープトーンを主体にした花束やアレンジでも同じような印象を持ちます。
下は「日本色研事業(株)色彩集計ソフト カラーカルク」のトーン表(図1)となりますが、PCCSのトーン表の中でも、彩度が高く明度が低いグループがディープトーン(dp=deep)となります。

ディープトーンは暗清色のグループの一つですが、暗清色は純色に黒を混ぜた、濁りのない色のことを指します。
ディープトーンの心理効果
ディープトーンは、高彩度かつ低明度の深みのある色調で、以下のような心理的効果を持つと言われています。
- 安心感:落ち着きのある深い色は、見る人に安定感や安心感を与えます。
- 重厚感:高彩度で濃い色調が、格式や高級感を演出します。
- 信頼感:濃い色合いは、誠実さや信頼感を象徴するとされています。
- 情熱や力強さ:特に赤系のディープトーンは、強いエネルギーや情熱を感じさせます。
これらの心理効果は、花束やアレンジメントに活用することで、贈り物や装飾として「伝えたいメッセージ」を強調することができます。たとえば、結婚式の装飾には「格式」を、誕生日祝いの花束には「情熱」を込めることが可能です。

ディープトーンの祝花
ディープトーンのグラデーション祝花
下の画像はディープトーンを主体にした祝花です。カラーカルクのデータ(図2)からは、ディープトーン30.1%、ダークトーン19.9%という配色構成となっています。


図3の黒点がこのスタンド花で使用されている色相となりますが、このデーターからも分かるように、紫・赤・オレンジの3色のグラデーション構成となっています。

図4のトーン出現率のデーターを見ると、赤はディープトーン、オレンジはダルトーン、紫はブライトトーンが多くなっています。また、ダークトーンは緑の葉物類ということが分かります。
スタンド中央の赤のディープトーンが割合としても30%と強く出ているのがこのスタンド花の特徴となっています。

色彩
このスタンド花は、ディープトーンとダークトーン、ダルトーンを主体とした配色構成が特徴です。特に以下のポイントが挙げられます。
- 赤系のディープトーン(中央部分)が約30%を占めており、全体に重厚感と華やかさを与えています。
- オレンジ系のダルトーン(右側)が明るさをプラスしつつ、落ち着きを演出しています。
- 紫系のブライトトーン(左側)で上品さを添えています。
- 葉物のグリーンはダークトーンであり、全体のバランスを整える役割を果たしています。
このグラデーション配色は、紫・赤・オレンジの3色を中心に、自然なつながりと鮮やかさを両立させています。
場面に応じた提案
このような祝花は、華やかな場面にふさわしいデザインとなっています。以下のシーンでの使用をおすすめします。
- お祝いの場面
誕生日や結婚式の会場装飾、または開店祝いや周年記念の贈り物として最適です。 - 華やかなシーン
パーティー会場のエントランス装飾や、イベントスペースのメインディスプレイとして使用することで、高級感と親しみやすさを両立させます。
ディープトーンのトリコロール祝花
トリコロール配色は、色相やトーンに明快なコントラスト感のある3色配色となります。中彩度や低彩度よりも高彩度色の方が適しており、トリコロール配色にはまさにディープトーンが適しています。
明快な3色配色ですので、中間には白や黒といった無彩色を使う場合が多く、イタリア国旗などもその代表例となっています。
下はイタリア国旗をモチーフにしたディープトーンのトリコロール祝花。
カラーカルクのデータ(図5)からは、ダークトーン21%、ディープトーン13.4%、白12.6%、ダルトーン9.5%という配色構成となっています。


カラーカルクのトーン出現率(図6)を見ますと、ディープトーンは赤、ダークトーンは緑の葉物類、ダルトーンは祝花の左側の緑ということが分かります。

色彩
このスタンド花は、ディープトーン、白、ダークトーン、ダルトーンを基調としたトリコロール配色が特徴的です。特に以下のポイントが挙げられます:
- 赤系のディープトーン(右側部分)が約13.4%を占め、力強さと華やかさを演出しています。
- 白のセパレート(中央部分)が全体を明るくし、清潔感と洗練さを与えています。
- 緑のダークトーンとダルトーン(左側部分と全体を囲む葉物)がバランスを保ち、ナチュラルな雰囲気を引き立てています。
このトリコロール配色は、イタリア国旗のような明快な3色構成となっており、フォーマルかつ華やかな印象を与えます。
場面に応じた提案
このような祝花は、特にフォーマルな場面や重要なイベントにふさわしいデザインです。以下のシーンでの使用をおすすめします:
- 開店祝いや周年記念の贈り物
- 赤、白、緑の配色が高級感を持たせ、特別な日を彩ります。
- パーティー会場の装飾
- トリコロール配色が場を華やかにし、視覚的なインパクトを与えます。
- フォーマルなイベント
- 結婚式のウェルカムスペースやセレモニー会場の装飾として使用すれば、格調高い印象を残せます。
ディープトーンの花束
下の写真はディープトーンの赤薔薇の花束。まさに情熱を伝えるのにぴったりです。
カラーカルクのデータ(図7)からは、ディープトーン43.1%、ダークトーン9.8%、白8.4という配色構成となっています。


ディープトーン43.1%とありますが、図8を見ると花束全体の約半分近くが深い赤色で構成されていることを意味します。
赤薔薇と言ってもいろいろな種類がありますが、こちらは「レッドジャイアント」と呼ばれる品種。同じ赤バラである「サムライ」よりも明るい色味で、ボリューム感も抜群です。

色彩
この赤薔薇の花束は、ディープトーンを主体とした配色構成が特徴です。特に以下のポイントが挙げられます。
- 赤系のディープトーン(深紅の薔薇)が約43.1%を占め、情熱的でエネルギー溢れる印象を与えています。
- 白のアクセント(カスミソウ)が全体に軽やかさと上品さを加えています。
- 緑のダークトーン(葉物)が全体のバランスを整え、ナチュラルな雰囲気を引き立てています。
この配色は、深紅と白の対比が明確であり、力強さとエレガントさを兼ね備えた仕上がりとなっています。
場面に応じた提案
このような赤薔薇の花束は、情熱や感謝の気持ちを伝えるのに最適なデザインです。以下のシーンでの使用をおすすめします:
- 特別な贈り物
- 誕生日やプロポーズなど、特別な感情を伝えたいシーンにぴったりです。
- フォーマルなシーン
- パーティーの受付や結婚式の贈呈花束としても、格式高い印象を与えます。
まとめ
ディープトーンはそ花束やアレンジメントに重厚感と情熱をもたらす非常に魅力的なトーンです。「深い」「充実した」「伝統的な」「和風の」といった印象を与えるディープトーンは、祝花やアレンジ、花束などでその特徴を最大限に活かすことができます。
また、ディープトーンを中心にした「トーンイントーン」や、ペールトーンとの組み合わせによる「トーンオントーン」配色を活用することで、多様な演出も可能です。これにより、用途や受け取る人の好みに応じて、印象的で個性豊かなデザインを作ることができます。

ディープトーンの魅力を理解し、効果的に使うことで、花の世界にさらなる深みを加えられるはずです。ぜひ、自分だけのディープトーンの活用方法を見つけて、日常や特別な場面に取り入れてみてください。
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著作権について
本記事はPCCSや「日本色研事業(株)色彩集計ソフト カラーカルク」を活用した事例を元に解説しています。
フラワーショップ アリスでは、これらの用語や内容について、日本色研事業株式会社様に正式な許諾を得た上で使用しており、著作権の範囲内で適切に対応しております。
この記事を書いた人

- 代表取締役社長・1級色彩コーディネーター
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こんにちは。フラワーショップ アリスの代表取締役、菊地 充智と申します。
福島県本宮市出身で、元々は教員として子どもたちの教育に尽力していました。その経験は私にとって大切な基礎となり、人と心を通わせる重要性や、強い絆を築くことの意味を深く理解させてくれました。
2007年、私は新たな挑戦としてフラワーショップ アリスに加わりました。それ以来、花々と共に日々成長し、お客様に最善のサービスを提供するために常に努力しています。
そして、花の美しさとそれぞれの物語をより深く理解し、お客様に届けるため、全国の花の産地を訪れています。
私の経営理念は、お客様に最高の満足を提供し、常に改善と修正を行いながら、お客様にとってベストの選択を追求することです。この理念は、私が書く文章にも反映されています。
皆さんが私の記事を通して、花の世界の美しさや、そこに込められた物語を感じ取っていただければ幸いです。それが私が記事を書く大きなモチベーションとなっています。どうぞよろしくお願いいたします。
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