紫・赤・オレンジの祝花デザイン~グラデーションの魅力と制作のコツ~

 今回は、紫・赤・オレンジのグラデーションの祝花について、制作やそのポイントをまとめた記事となります。
 パーティーのテーマカラーが「紫・赤・オレンジ」のため、そのテーマカラーに沿ってお作りしました。

紫・赤・オレンジの祝花デザイン~グラデーションの魅力と制作のコツ~

トリコロール配色との違い

イタリア国旗

 トリコロールとは、色相やトーンに明快なコントラスト感のある三色を組み合わせた配色のことを指します。

 フランス語の “tricolore” に由来しており、特にフランス国旗の「青・白・赤」など三色で構成されたものが有名です。ちなみにこの国旗はトリコロール配色のイタリア国旗となります。

 この配色技法は、多くの国旗やロゴ、アート作品で使われており、色の組み合わせによって異なる印象を与えることができます。

 以前制作したイタリア国旗をモチーフとしたトリコロールの祝花の事例では、「緑・白・赤」のうち、白を中心に置くことでセパレーション効果が発揮され、より明快な感じとなりました。

 トリコロール配色は中間に無彩色の白や黒が入ることが多いですが、いずれにせよ3色が明快に分離していることが特徴です。

 一方で、グラデーション配色は複数の色が滑らかに連続して変化するように配置された配色技法です。トリコロール配色のように明快なコントラスト感を強調するデザインとは異なり、グラデーション配色では「色のつながり」そのものがデザインの重要な要素となります。

紫・赤・オレンジのグラデーション祝花の制作過程

花材選定

 今回のグラデーション配色では、色相を紫~赤~オレンジと変化させていきますが、トーンは同じビビッドのトーンで揃えていきました。
 色相とともにトーンも変化させる方法もありますが、テーマ色が紫・赤・オレンジのため、トーンは変化する必要が無いとの判断で花材選定を行いました。

 今回、ビビッドのトーンの花材を各種用意しましたが、これらは1種類あたりロットで50本~100本での仕入れとなります。そのため、使用するのは数本だとしても、合計で数百~千本単位を仕入れしなければなりません。

 使用した主な花材は以下の通りとなります。

紫の花材

  • アルストロメリア
  • ダリア
  • トルコキキョウ
  • グラジオラス
  • サントリー遺伝子組み換えカーネーション「ムーンダスト」

赤の花材

  • ヒペリカム
  • ダリア
  • グラジオラス
  • オリエンタルユリ
  • 赤一輪バラ
  • 赤スプレーバラ
  • 一輪カーネーション
  • 染行李柳

オレンジの花材

  • グラジオラス
  • スプレーバラ
  • アルストロメリア
  • スカシユリ
  • カーネーション
  • 一輪バラ

その他

  • アレカヤシ
  • ユーカリ
  • ドラセナ

 もちろんこれらの花材は季節により入手性が変動しますので、その時の季節に応じて使用花材が変動します。
 例えば今回は特注品として北海道から赤の百合「レッドドーン」を仕入れましたが、この色合いの百合は希少性のため複数の市場を経由して入手するなど、指定花材・指定色合いのため、通常の仕入れよりも一手間も二手間もかかる場合があります。

祝花の制作過程

オアシスを置いたところ

 まずはオアシスを置いたところ。最終的な仕上がりは作る前からイメージしておきます。当然ながら、使用する花材も全て用意してから作っていきます。

制作過程①:高さを決める

 制作過程①で実際に生けていきますが、取り敢えず高さを決めるため、グラジオラスを複数生けていきました。

制作過程①
制作過程①

制作過程②:横幅と中心を配置

 制作過程②では横幅と中心となる百合を生けたところ。紫の花材では今回、紫のバラが入手できなかったため、アルストロメリアで代用しています。

制作過程②
制作過程②

制作過程③:グラデーションを形成

 制作過程③では、各花材をある程度入れたところ。

 紫の花材に関しては、厳密に言うと「紫色」と「赤紫色」、そして「青紫色」は違うのですが、なかなか本来の「紫色」の花材がありません。そのため、今回のトルコキキョウなどの青紫色も代替品として使用しています。本来の紫色は今回使ったようなダリアのような色合いですが、花屋(弊社)ではこの青紫色も「紫」として使用することが多いです。

制作過程③
制作過程③

制作過程④:葉物で仕上げる

 制作過程④でほぼ完成したところ。ユーカリなどの葉物も入れ、ボリューム感を出しています。ここで大事なことは、花だけでボリューム感を出そうとしても難しいこと。やはり下地としてのグリーン(葉物)を細部まで入れないとボリューム感が出せません。

 今回は葉物として「ユーカリ」「ドラセナ」「染行李柳」「アレカヤシ」の4種類を使用していますが、複数種の葉物を入れることでボリューム感だけでなく、変化も出しています。

制作過程④
制作過程④

祝花の完成、そして設置

 下は完成後に会場に設置した画像。今回は2段花ですので、先ほどの上段の部分だけでなく、下段の部分も別途作成しました。当然ながら色合いも合わせての制作です。

 最終的には名札を挿して設置しました。

お客様の声

フラワー君

後日、お客様からメールを頂きました。

昨日、ダンス発表会で2段スタンド花をお願いしました○○と申します。
実際、私も見に行きましたが見栄えのするセンスの良い派手なスタンド花でした。コンセプトにも合う花々で送り主がたいへん喜んでくれました。
時間もあまりなかったのに誠にありがとうございました。

アリスさんのHPも見やすく素晴らしいです^_^

アリスちゃん

お喜びのメールを頂き、私たちスタッフ一同、たいへん励みになりました。ありがとうございます。

まとめ

 紫・赤・オレンジのグラデーション祝花は、暖かさと情熱、そして紫がもたらす神秘的な印象を融合させた、豪華で視覚的にインパクトのあるデザインです。今回の制作では、色相やトーンの統一感を大切にしながら、花材選定や配置に細心の注意を払い、テーマカラーに沿った華やかな祝花を完成させました。

 グラデーション配色は、滑らかな色の移り変わりによって全体的な調和を生み出し、見る人に心地よい印象を与える一方で、テーマに応じた個性を表現することができます。特に、パーティーやイベントの雰囲気に合わせた彩りを添える場面では、非常に効果的な配色技法です。

 フラワーショップ アリスでは、お客様のご要望に応じた特注の祝花デザインを承っております。テーマカラーやイベント内容に合わせた花材選定からデザインまで、プロフェッショナルな視点でご提案いたします。
 グラデーション配色を活かした祝花をお考えの際は、ぜひお気軽にご相談ください。皆様の大切なシーンを彩るお手伝いをさせていただきます。

この記事を書いた人

菊地充智
菊地充智代表取締役社長・1級色彩コーディネーター
 こんにちは。フラワーショップ アリスの代表取締役、菊地 充智と申します。
 福島県本宮市出身で、元々は教員として子どもたちの教育に尽力していました。その経験は私にとって大切な基礎となり、人と心を通わせる重要性や、強い絆を築くことの意味を深く理解させてくれました。

 2007年、私は新たな挑戦としてフラワーショップ アリスに加わりました。それ以来、花々と共に日々成長し、お客様に最善のサービスを提供するために常に努力しています。
 そして、花の美しさとそれぞれの物語をより深く理解し、お客様に届けるため、全国の花の産地を訪れています。

 私の経営理念は、お客様に最高の満足を提供し、常に改善と修正を行いながら、お客様にとってベストの選択を追求することです。この理念は、私が書く文章にも反映されています。

 皆さんが私の記事を通して、花の世界の美しさや、そこに込められた物語を感じ取っていただければ幸いです。それが私が記事を書く大きなモチベーションとなっています。どうぞよろしくお願いいたします。

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