初夏の花「ツツジ」と色彩の組み合わせ

 初夏の花々のなかでも特に美しい「ツツジ」の朱色を取り上げ、その鮮やかさとどのように色彩を組み合わせると一段と引き立つかを探求します。

 一見難解そうな色彩の法則も、大輪咲きのダリアやトルコキキョウ、そして補色のスノーボールを活用することで、繊細な美しさを引き立てます。

 初夏の新緑とブルーの調和、そして葉物類の色合いとボリューム感の適切なバランスが全体の調和を生み出します。私たちが日常で見過ごしがちな花々も、適切な色彩と組み合わせ方を知ることで、新たな魅力を放つことを実感していただけることでしょう。

初夏の花「ツツジ」と色彩の組み合わせ

朱色のツツジと彩度の変化

 初夏を先取りして、ツツジを生けてみました。ツツジは、晩春から初夏に見頃を迎えます。

 朱色のツツジは謂わばかすみ草のような細かい花の集合体となっていますので、彩度の変化を取り入れるためには、同系色の大輪咲きの花を選択しなければなりません(同系色といえども、細かい花と細かい花の組み合わせでは、うるさく感じてしまいます)。

 そこで今回は、大輪咲きのダリア「ナマハゲチーク」とトルコキキョウ「マンゴーアンティーク」を取り入れてみました。

大輪咲きの花材:ダリアとトルコキキョウ

 ダリア「ナマハゲチーク」はインパクトのある名前ですが、名前とは裏腹に淡い色合いのダリアとなっています。

 トルコキキョウ「マンゴーアンティーク」は、前回の吉野桜の生け込みでも採用しましたが、たいへんボリュームがある、赤茶色のトルコキキョウとなります。このトルコキキョウは非常に日持ちがしますので、おすすめの切り花の一つです。

補色を活用した配色:スノーボールの導入

 今回は彩度の変化だけでなく、朱色のツツジとの補色関係にあるスノーボールを生け、そのグリーンと朱色をより強調してみました。また、朱色と同系色のみで全体を構成してしまうと、まるで秋を感じさせるような色合いになってしまいます。しかし今回は初夏がテーマですので、このスノーボールを生けることで、初夏の新緑を表現してみました。

 更に、ブルーを入れると全体の色合いが締まるので、この時期定番のデルフィニウムを入れてみました。

 葉物類には青ドラセナの他、ツツジと同系色の入才ラン(赤)を入れ、ボリューム感を持たせるとともに、全体の中で葉物類が溶け込むように色合いを調和させてみました。

まとめ

 色彩の組み合わせは、花の美しさを引き立てるだけでなく、それぞれの花が季節感を表現するための重要なツールとなります。

 この記事を通じて、花々の色彩や組み合わせ方について新たな視点を得ていただければ幸いです。花と色彩の可能性は無限大ですので、ぜひあなた自身も挑戦してみてください。

この記事を書いた人

菊地充智
菊地充智代表取締役社長
 こんにちは。フラワーショップ アリスの代表取締役、菊地 充智と申します。
 福島県本宮市出身で、元々は教員として子どもたちの教育に尽力していました。その経験は私にとって大切な基礎となり、人と心を通わせる重要性や、強い絆を築くことの意味を深く理解させてくれました。

 2007年、私は新たな挑戦としてフラワーショップ アリスに加わりました。それ以来、花々と共に日々成長し、お客様に最善のサービスを提供するために常に努力しています。
 そして、花の美しさとそれぞれの物語をより深く理解し、お客様に届けるため、全国の花の産地を訪れています。

 私の経営理念は、お客様に最高の満足を提供し、常に改善と修正を行いながら、お客様にとってベストの選択を追求することです。この理念は、私が書く文章にも反映されています。

 皆さんが私の記事を通して、花の世界の美しさや、そこに込められた物語を感じ取っていただければ幸いです。それが私が記事を書く大きなモチベーションとなっています。どうぞよろしくお願いいたします。

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