トーンイントーン~淡い紫と赤の組み合わせ~

 フラワーアレンジメントの世界においては、花々の美しさだけでなく、その色の組み合わせが重要な要素となります。
 ここでは、繊細な色彩表現を追求した淡い紫と赤の組み合わせ、その名も「トーンイントーン」に焦点を当て、その美しさと可能性を探ります。

 フラワーショップ アリスでは、色彩理論を活用し、花々の色や形、質感を最大限に生かしたアレンジメントをご提供しています。

 今回の記事では、隣接する色相である淡い紫と赤を使用した「トーンイントーン」のアレンジメントについて、私たちの視点から詳しく解説します。
 一見、控えめな色調の淡い紫が、豊かな赤色との組み合わせによって、どのように豪華さと気品を放つのか、その魅力をご堪能いただきたいと思います。

 各色の選択にあたっては、花の特性や季節性だけでなく、色彩理論に基づいた配色の考え方を取り入れています。
 そんな私たちのアプローチ方法を通じて、フラワーアレンジメントの新たな可能性をお楽しみいただければ幸いです。

トーンイントーン~淡い紫と赤の組み合わせ~

 色相環で隣同士の色の組み合わせのことをトーンイントーンとも呼びますが、今回ご紹介するのは、淡い紫と赤の組み合わせを中心とした生け込みです。

 以前、「トーンイントーン ~緑と黄色の組み合わせ~」の記事でアレンジをご紹介しましたが、今回は淡い紫と赤の組み合わせについてとなります。

 下の画像は12色の色相環図。赤と紫、緑とキロ、オレンジと赤などの類似トーンの組み合わせがトーンイントーンの代表的なものとなります。

淡い紫の花材と赤の花材

紫の花材:デルフィニウム「トリプルラベンダー」

 生け込みの中心には北海道産デルフィニウム「トリトンラベンダー」を据えました。デルフィニウムは以前ご紹介した山形の進藤さんのものもいいですが、通年で流通する北海道産も非常に品質が高く、豪華な花材となります。

サントリー遺伝子組み換えカーネーション「ムーンダストシャンパン」

 今回はデルフィニウムを基調に、紫のグラジオラス、そして先日ご来店いただいたサントリーフラワーズ株式会社様から送っていただいた新品種「ムーンダストシャンパン」をさっそく生けてみました。

 ムーンダストシャンパンは2種類ありますが、従来の遺伝子組み換えカーネーションの流れを継承した斑入りのブルーカーネーションとなります。

 恐らく県内初入荷となります。斑入りがシャンパンの泡を連想するきれいな色合いのカーネーションです。
 ネーミングもいいですね。

 今回はデルフィニウムに色合いを合わせるため、薄い色合いのムーンダストシャンパンを使用してみました。

赤の花材:ドラセナ「アトム」

 更に今回は、トーンイントーンを意識し、淡い紫に合う赤の花材選定を行いました。

 今回は赤のドラセナを使用しましたが、この赤のドラセナは、先日の沖縄の産地訪問で伺った山内さんが生産した「アトム」となります。

 ただ、生け込みのドラセナ全てをこの「アトム」にしてしまうと色がきつくなってしまいますので、中間にはグリーンのドラセナを入れ、ボリューム感と色の変化を付けてみました。

 ちなみにグリーンと赤は補色関係となりますので、「赤」の色合いを引き出すために、補色であるグリーンは効果的な色合いとなります。

赤の花材:キングプロテア

 中央部分にはポイントとして赤のキングプロテアを入れました。また、白い小さな花は雪柳となります。

 白は無彩色のため、どんな色とも溶け込みます。今回は「赤」がややきつめの色のため、白の雪柳を入れることにより、全体的に柔らかい感じにすることができました。

淡い紫の花材と適した配色

 淡い紫の花材は、花材全体を見回しても少ない方です。そのため、淡い紫を生ける際に、その色に合う花材、合う色合いもなかなか思いつかないかもしれません。
 そんな時には色相環から類似色同士の組み合わせであるトーンイントーンを類推すれば、自ずと合う色、合う花材も見つかると思います。

 淡い紫はなんとなく気品があり、優雅さと豪華さが漂います。そんな淡い紫を赤で引き立ててみるのもいいものですね。

使用花材

デルフィニウム(北海道産)、ドラセナ2種類(沖縄産)、グラジオラス(鹿児島産)、キングプロテア(オーストラリア産)、サントリーブルーカーネーション(コロンビア産)、ロベ(東京都八丈島産)、雪柳(福島県産)

この記事を書いた人

菊地充智
菊地充智代表取締役社長
 こんにちは。フラワーショップ アリスの代表取締役、菊地 充智と申します。
 福島県本宮市出身で、元々は教員として子どもたちの教育に尽力していました。その経験は私にとって大切な基礎となり、人と心を通わせる重要性や、強い絆を築くことの意味を深く理解させてくれました。

 2007年、私は新たな挑戦としてフラワーショップ アリスに加わりました。それ以来、花々と共に日々成長し、お客様に最善のサービスを提供するために常に努力しています。
 そして、花の美しさとそれぞれの物語をより深く理解し、お客様に届けるため、全国の花の産地を訪れています。

 私の経営理念は、お客様に最高の満足を提供し、常に改善と修正を行いながら、お客様にとってベストの選択を追求することです。この理念は、私が書く文章にも反映されています。

 皆さんが私の記事を通して、花の世界の美しさや、そこに込められた物語を感じ取っていただければ幸いです。それが私が記事を書く大きなモチベーションとなっています。どうぞよろしくお願いいたします。

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