デンドロビウム(ノビル系)のお手入れポイント

 12月下旬から3月下旬にかけて、品質のいいデンドロビウムが入荷します。

 ここでは、簡単になりますが、デンドロビウムの「お手入れのポイントをまとめていきたいと思います。

デンドロビウム(ノビル系)のお手入れポイント

1.原産国(デンドロビウム・ノビル系)と系統について

 インドからタイ、ミャンマー、中国南部などの山岳地帯が原産です。胡蝶蘭と同じように樹木に着床して自生しています。

 デンドロビウムにはいくつかの種類があり、当店でも切り花として取り扱っているデンファレ系や鉢物として流通しているギンギアナム系(写真左)などがありますが、今回はノビル系(写真右)についてのお手入れポイントとなります。

 一般的にデンドロビウムと言えば右側の写真のノビル系のものとなります。   

 ノビル系のデンドロビウムは、大きな花を咲かせる特徴があり、肉厚な葉と丸みを帯びた形が特徴です。

 なお、ギンギアナムやデンファレの鉢物も系統は同じですので、それほど花の管理に違いが見られません。今回のデンドロビウム(ノビル系)の記事を参考にして頂ければ幸いです。

2.冬場の管理

 春から秋までが生長期で、冬は生長休止期です。生長休止期の冬から春にかけて開花します。

 冬は生長休止期のため、水を吸う力がかなり弱く、鉢の表面が乾いてからの水やりで構いません。毎日水やりをやってしまうと根腐れの可能性がありますので、その点に注意して下さい。

 肥料も必要ありません。上記で述べたように生長休止期のため、肥料を吸収する力がありません。

 デンドロビウムは寒さに強く、5度ぐらいの低温でも大丈夫ですが、戸外の零度以下は当然ながら厳禁です。ただし、蕾(つぼみ)は温度変化に敏感で、生産者は15度ぐらいの温度で花を咲かせています。蕾だらけの鉢を購入し、急に寒い室内に置いてしまうと、以降、蕾の生長が止まり、開かなくなってしまうことがあります。半分は開花していて、半分は蕾の株、或いは全て開花している株がおすすめです。

太い茎(バルブ)は切るの?

 花は3~4週間で萎れます。よくお客様から「花が終わったら、太い茎を切っていいの?」というご質問を頂きますが、太い茎(バルブ)は切らないで、花だけを取って下さい。

 太い茎(バルブ)には養分が入っています。次の年に花を咲かせるために必要となります。

 また、温風ヒーターの風が直接当たるところに置くのは厳禁です。水分が飛び、花が萎れてしまいます。

3.夏場の管理

 最低気温が7度以上になりましたら、シンビジウム(最低気温10度以上)と同じように戸外に出すことをおすすめします。シンビジウムと同じように日光が好きな蘭ですので、日当たりと風通しのよいところに置いて下さい。

 夏場は生長期になりますので、水や肥料を与えますが、シンビジウムほど水をたっぷりやる必要はありません。表面が乾いてから水をやる程度で構いません。

 秋になると落葉し、茎(バルブ)だけとなります。その茎の節の所から花芽が出てきて、また休眠期の終わり頃の冬から春にかけて花が咲きます。

 多年草の蘭なので、同じ株が何年も枯れずに花を咲かせ続けることができます。胡蝶蘭も多年草の蘭です。一方、シクラメンは宿根草※1なので、生育に適さない時期(シクラメンは夏)に地上部は枯れますが、地下部(球根)は生き残っており、また生育に適する時期に発育していきます。

※1「多年草」と「宿根草」について詳しく解説

多年草について

 多年草は、名前が示す通り、2年以上生き続ける植物を指します。   

 これらの植物は一度植えれば、適切なケアがなされた場合、何年もの間、庭やポットを美しく彩り続けます。多年草は草本植物※2の一部で、花や葉、そして時には果実をつけます。

 多年草の例としては、ラベンダー、ローズマリー、タイムなどのハーブ類、またホスタやデイリリーなどの花が挙げられます。これらは、季節によって姿を変えながらも、毎年再び花や新しい葉を生み出します。

宿根草について

 宿根草もまた、2年以上生き続ける植物の一種で、一般的には多年草と同じく見なされます。しかし、宿根草は一部特異な特性を持ち、冬季に地上部が枯れてしまうものの、春になると地下の根から新たに芽吹きます。

 これらの植物は耐寒性があり、冬季の寒さを乗り越えることができます。冬季には地上部が枯れるため、一時的に見た目が損なわれますが、春になると再び美しい花を咲かせます

 宿根草の例としては、デイジー、エキナセア、ルドベキアなどがあります。これらは、季節の変化に耐え、毎年再び花を咲かせることで、ガーデンを彩ります。

※2「草本(くさほん)植物」とは

 草本植物は、主に茎が木質化せず、柔らかい繊維質の茎を持つ植物を指します。これらの植物は木本(もくほん)植物(例:樹木や低木)と対比され、大きくなっても木のように硬くならないという特徴があります。そのため、草本植物は一般的には比較的低い成長形態を持つことが多いです。

 草本植物には一年草、多年草、および宿根草といったさまざまなタイプがあります。一年草は、種から生長し、花を咲かせ、種を散布し、その年の間に生命サイクルを完了します。多年草と宿根草は、2年以上生き続け、毎年花を咲かせます。

 草本植物は、野菜、花、ハーブ、穀物など、人間が日常生活で利用する植物の多くを含みます。トマト、バジル、小麦、ダイズ、チューリップなどは、草本植物の一部です。

 当店では、季節限定の商品となりますが、2000円台ぐらいから1万円ぐらいまでのデンドロビウムを幅広く取り揃えております。デンドロビウムをお求めの際には、是非とも一度、当店にお立ち寄り下さい。電話やメールでのお問い合わせもお待ちしております。

この記事を書いた人

菊地充智
菊地充智代表取締役社長
 こんにちは。フラワーショップ アリスの代表取締役、菊地 充智と申します。
 福島県本宮市出身で、元々は教員として子どもたちの教育に尽力していました。その経験は私にとって大切な基礎となり、人と心を通わせる重要性や、強い絆を築くことの意味を深く理解させてくれました。

 2007年、私は新たな挑戦としてフラワーショップ アリスに加わりました。それ以来、花々と共に日々成長し、お客様に最善のサービスを提供するために常に努力しています。
 そして、花の美しさとそれぞれの物語をより深く理解し、お客様に届けるため、全国の花の産地を訪れています。

 私の経営理念は、お客様に最高の満足を提供し、常に改善と修正を行いながら、お客様にとってベストの選択を追求することです。この理念は、私が書く文章にも反映されています。

 皆さんが私の記事を通して、花の世界の美しさや、そこに込められた物語を感じ取っていただければ幸いです。それが私が記事を書く大きなモチベーションとなっています。どうぞよろしくお願いいたします。

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