正月の花材、千両

 正月の花材として代表的な千両を生け込みました。

 千両はみかんと同じように表年・裏年があります。実が多く付く豊作の年と実が少ない裏年が交互に現れ、当然ながら仕入れ単価(市場での競り値)も極端に変動します。(生花の競り値は生産者の希望値もありますが、入札参加者としての花屋の需給によって大幅に、時には「極端に」変動します。)

 2019年は本来、表年であり、実が豊富で入荷量も多いはずだったのですが・・・・。

 千両市は年に一回行われます。
 事前に情報は聞いていましたが、やはり箱詰めされた商品を実際に見ると、愕然としました。

 なんと裏年の昨年(2018年)の入荷量が激減した時よりも更に、大幅に減っていたのです。

 原因は2019年の大型の台風と洪水にありました。
 千両の主要産地である茨城県と千葉県の栽培地が苗ごとやられていたのです。

 千葉県の館山にある山川農園は千両の大規模生産者で、品質が高く当店も積極的に取り扱っていますが、山川農園さんのブログを読むとたいへんな被害に遭っていたことが分かります。

 覚悟を決め、気合いを入れて千両市に参加しましたが、とにかく量を確保しないといけないという思いで、必死に入札し、やっとの事で競り落とし、なんとか去年と同数量を確保しました・・・・。
 年に一回の千両市であり、この日を逃すと入手できなくなるため、もう必死です。

 千両市が終わった後は、心臓の鼓動が酷かったですね・・・。

 生産者がやっとの思いで出荷した千両を、今年はことのほかありがたく使わせていただきました。ありがとうございました。

 閑話休題。
 千両は大きく分けて3種類あります。

 通常の赤い実と黄色い実、そして紅(くれない)と呼ばれる濃い赤の実です。紅は枝も赤く色付いています。

 等級により区分されます。等級は枝ぶりや実付きで決まります。

 今回は千両を使った生け込みを行いました。日本人にとって、正月に欠かせない花材は松と千両です。昨年は台風被害も含め、いろいろとたいへんな年でした。
 今年はいい年になるよう、心から願うばかりです。

この記事を書いた人

菊地充智
菊地充智代表取締役社長
こんにちは。フラワーショップ アリスの代表取締役、菊地 充智と申します。福島県本宮市出身で、元々は教員として子どもたちの教育に尽力していました。その経験は私にとって大切な基礎となり、人と心を通わせる重要性や、強い絆を築くことの意味を深く理解させてくれました。

2007年、私は新たな挑戦としてフラワーショップ アリスに加わりました。それ以来、花々と共に日々成長し、お客様に最善のサービスを提供するために常に努力しています。そして、花の美しさとそれぞれの物語をより深く理解し、お客様に届けるため、全国の花の産地を訪れています。

私の経営理念は、お客様に最高の満足を提供し、常に改善と修正を行いながら、お客様にとってベストの選択を追求することです。この理念は、私が書く文章にも反映されています。

皆さんが私の記事を通じて、花の世界の美しさや、そこに込められた物語を感じ取っていただければ幸いです。それが私が記事を書く大きなモチベーションとなっています。どうぞよろしくお願いいたします。